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百戦錬磨の社長

 サオリとリリィが魔王城裏のらぁみょん屋に飛ばされている一方、タケアキとドンズはポッピンホテルの部屋内でくつろいでいた。タケアキは相変わらず、モンスター図鑑を眺めながらニマニマしており、ドンズは熱心に、槍の訓練を行っていた。


 「ちょっと、危ないじゃないですか。やめてくださいドンズさん、ここは修練場でもないのですよ。私がその鋭利な先端に当たってしまったら最悪、ここよりも、さらに天空に行く羽目になってしまいますよ。それにしても、朝食バイキングはあるという話でしたが、ディナーのことを聞きそびれてしまいましたね。おなかがすきました」


 「ほな、ナオン2人には黙って、31階にいってみようか?あのポピンちゅー男、隠れてご馳走を食べているかもしれへんで!!あるいは、なにかレアなモンスターがいるかもしれへん。とにかくなにかを、隠してはるで!!!ワイの勘がそういってますわ!ワイはねー、百戦錬磨の社長だったんよー!!!最後は破産したけどな!!!」


 「社長の話はなにを言っているのか理解に苦しみますが、たしかに、彼の話しぶりからして、伏線のようにも感じられましたね。サオリさんはつかれたでしょうから休んでいただく必要がありますし、伝説の魔法少女に頼り切りでは心許ないですよ。我々がレベルアップするための仕掛けが用意されているのかもしれません。もっとも私の場合、モンスターのレベルアップということになりますがね」


 こうして、2人は30階の部屋を飛び出し。渡り廊下をグルグルと回った。


 「タケアキさん?上に上がれる気配がないんやが、どうせいっちゅうねん」


 「困りましたね。ぱっとわかりません。これではまるで、廊下を歩いてリハビリしている病院患者のようですね。間抜けにも見えます。実はねドンズさん、こういうときのため、とっておきのモンスターがいるのですよ。でてきなさい。カクシミッケ!」


 タケアキが異空間からキューブを取り出し、右手で掴んだまま、そのキューブから初見のモンスターがあらわれた。それは小柄な2足歩行のコアラといった雰囲気であり、戦闘という面に関していえば、デカネズミにも遠くおよばなそうだった。爪がやけに鋭く見えるが、かといって獰猛性は感じず、どちらかといえば学者タイプであった。


 「ご無沙汰ですねえカクシミッケさん、ダンジョンの攻略といえば、あなたしかいないのですよ」


 「シバラクトジコメテオイテ、ツゴウノヨイトキダケヨビダス。サスガデスネェ」


 「それは弁明のしようがありません。我々は31階に登りたいのですが、エレベーターが作動しないのです。隠し通路があると踏んだのです。見つけて下さい!」


 「ソンナコトグライ、ジリキデヤリナサイヨ。マァワカリマシタ。マズハ、25カイヘイドウスルノデス。センタクベヤガアリマス。ソコマデタドリツクノデス」


 「わかりましたよ」


 こうして、タケアキとドンズも、魔王城裏へつながる秘密の部屋へたどり着いたのであった。

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