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なぜか魔王城前へ

 「それにしても、どうやって31階に昇るのよ、リリィちゃん。空間転移魔法ではこれ以上昇らないようブロックされているじゃない。階段も見当たらないし」


 「んー。たしかねー。どこかに隠し階段があったはずなのー。お洋服を洗濯できる魔法の込められた樽と、お水を補給できる装置のあるエリアがあるはずだよー。」


 「リリィちゃん。それは25階よ。1階のフロア案内に書いてあったわ」


 サオリは石橋を叩いて渡るタイプの慎重な女性だったので、もっとも、この場合の石橋を叩いて、という表現について言えば、決して、サオリが生きていた時代に日本で総理大臣を務めていた人物を叩いてたというわけではないし、そもそも政治には疎く、当該の総理大臣が日本にとって良い方向に導いてくれるのか、はたまたその逆、つまりは売国奴と呼ばれるタイプの政治家であるのか、サオリには皆目判断がつかなかった。ただ一つ言えることは、絶命し、その世界からリタイアしてしまったということであるが、ともかく、受付時にシノブの説明を入念にきき、しっかりとメモを残し、また、案内図等もしっかりと記憶していたのであった。もっとも、この慎重すぎる性格ゆえに、なかなか行動を起こすことができず、足がすくんでニートの子供部屋おばさんとして前世を過ごしていたわけだが。


 「え、よくみてるねサオリちゃん!一緒にいてよかった!じゃあ、25階いこ~」


 こうしてサオリとリリィは2人でまた空間転移魔法で稼働するエレベーターに乗り、25階へ向かうよう指示をした。すんなりと目的の階へ移動してくれたようだった。扉を出て少しまっすぐ歩いたところの左手に扉があり、大きく「洗濯室」と書かれていた。洗濯室のドアノブを左に回して手前に引くと、コインランドリーほどの部屋となっており、右手には、人一人が入れそうな樽が3つ並んでおり、それぞれ、鍋のようにとってのついた蓋が付いていた。左手には、ウォーターサーバのような、水の入った透明のタンクが壁に備え付けてあり、下部に蛇口が取り付けてあった。タンクの右側には使い捨てと思しき紙製のコップが50個ほど、テーブルの上に備え付けてあった。


 「リリィちゃん、ここは洗濯室のようだけど、31階にいくこととなにか関係があるの」


 「うん、ちょっとね。順番があるのー。たしかね」


 「じ、順番?」


 そうしてリリィはトコトコと樽の方に歩いていき、奥の樽正面に立った。おもむろに、蓋を開け閉じた。そしてまた、同じ動作を一回繰り返した。次に、手前の樽の前に立ったかと思うと、またしても、閉じ。しばらくじっとしていた。


 「なにをやっているの?遊びたくなっちゃったの?」


 「ううん。ちがうの」


 15秒ほど待つとリリィは、紙コップを3個、テーブルから取り出し、蛇口をひねって1つのコップに満杯になるまで水を注いだ。そして1つをサオリに手渡し、残り2個にも水を注ぎ、両手に持った。


 「サオリちゃん、真ん中の樽の蓋をあけて?それでね、コップの水をいれるの」


 「よくわからないけど、わかったわ」


 言われた通りにサオリが行動を開始すると、続いてリリィも2杯分の水を注いだ。ちょっと意味が分からなかったが、30秒後、事態は急変することになる。部屋の上の方から、エレベーターと同じ音声がきこえてきたのであった。


 「かしこまりました。いまから空間内のお二人を、アキパラパーの魔王城前某所に転移いたします」


 「あ、まちがえちゃった!テヘペロ!!!」

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