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せっかく異世界に来たので、言いつけを守らないということを生まれてはじめてしてみる

 リリィ突然の叫び声に、サオリは愕然としてしまった。さきほど支配人のポピンが、くれぐれも31階以降には登らないように、と注意してくれたばかりじゃないか。一体なにを考えているのか。言語能力が著しく劣っているのだろうか。生まれてこの方、親や先生の言いつけを守ってきたサオリにとって、それは信じられない事なのであった。なぞと驚愕していると、機械的な女性の声がまたどこからともかく響いてきました。


 「その階へ移動することはできません。2階から30階まで指定してください」


 「なるほど、ちゃんとこの転移魔法では、31階以降へ上がられないよう、制御されているというわけですね。リリィちゃんは欠陥がないのか、テストをしてくれたとも言えそうですね。熱いヤカンが熱いぞと言われたら、触らずにはいられないタイプですね!」


 「その結果、魔王くんに負けちゃったけどね~~!!!じゃあ、30階いって~」


 「かしこまりました。ご指定の階へ移動いたします。しばしお待ち下さいませ」


 2秒後、何の変化も感じられなかったものの、またしても自動音声のようなアナウンスが流れた。


 「30階に到着いたしました。ドアが開きます」


 ドアがウィーンと開き、そこは通路となっていた。出てると、正面、それに、左に長く通路が続いていた。また、正面の通路は奥で左に曲がっており、左手は右に曲がれるような造りであった。つまり、どちらへ向かっても、一周すれば同じ場所に到着できるようであった。


 「それではサオリさん、リリィちゃんとお二人は左側奥のようですね。我々は正面の一番手前のドアのようです。ゆっくり休んで、明日の朝にまた朝食バイキングで合流しましょう」


 こうしてタケアキ・ドンズ組と、サオリ、リリィ組に別れ、それぞれが部屋に到着をしたのであった。リリィとともに入室したサオリであったが、リリィはすぐさまベッドへ駆け寄って、腰掛けながら両足をパタパタと前後に動かし、そうしてサオリの方をジーッと見つめていた。


 「リリィちゃんどうしたのよ。お腹すいたの?そういえば朝食バイキングの話ばかりしていたけれども、夜ごはんはどうするのかしらね」


 「ううん。そうじゃないの。リリィね、31階に上がってみたいの〜」


 「だからダメだって言っていたじゃないの」


 「ポピンくんはね、元々リリィと同じパーティーだったんだよー。だからね。ポピンくんの性格は大体わかるのー。きっと、上の階になにか、あるはずなのー!たとえば、勇者のつるぎだとか!」


 「でも、勇者いないじゃない」


 この突っ込みに対し、リリィは唐突に、大爆笑してしまった。彼女のツボに入ってしまったようである。しかしながら、過去に魔王に挑んだことのあるリリィのいう事を信じて、一緒に上の階にいくべきだという気持ちがサオリに湧いてきたのである。


 「わかった。せっかく異世界に転生したことだし、元々いた世界ではやらなかったことを、やろうじゃないの」


 「やったぁ~~~!!!」

 こうして、サオリとリリィは2人で、ポッピンホテル31階へ昇ることことにしたのであった。

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