エレベーターに乗ろう
ポピンが丁寧なお辞儀をしていると、ホテルのドアが開き、それはちょうど自動開閉式のガラス張りであり、両側が動くタイプのドアであったが、一人の女給と思しき、パワフルな女性が現れた。推定女給が外に出てサオリ一向の目の前にたつと、ドアはまた閉じた。
「はじめまして、私はフロントスタッフの、シノブと申します。サオリ御一行様を、お待ちしておりました。早速ですが、中にお入りくださいませ!」
こうして、ホテルの中に入り、ポピンが見守る中、受付を済ませ、ホテルの部屋を案内された。女給はサオリ、リリィ組と、タケアキ、ドンズ組にそれぞれ部屋番号を言い渡した。つまり前者は3002号室、後者は3011号室であり、それぞれ同じフロアの、30階までいくようであった。シノブにバトンタッチし、ポピンが説明を続けた。
「皆様、明日の朝は6時半から9時半まで朝食バイキングがございますよ。大浴場もございます。いずもこの1Fフロアになります。それからこれは大事な注意点ですが、くれぐれも、31F以降には上がらぬようにお願いいたします。とんでもないことに、巻き込まれてしまうのです」
「それは、えらい、意味の深い注意ですね。ところでポピンさん、朝食バイキングに、ブロッコリーと、ウィンナーはあるのですよね?」
「タケアキさん、いい質問です。もちろん、ブロッコリーとウィンナーを準備してございますよ。明日の朝を無事に迎えられれば、ですがね」
ポピンは意味深な笑みを浮かべつつも、サオリ組とタケアキ組は、それぞれ鍵を渡され30Fへ向かうこととなった。ここでふと疑問点が浮かんだ。つまり、このスカイワールドにはエレベーターなぞという高度な乗り物が発明されているのであろうか、ということであった。ボンヤリと考えていると、ドンズの関西弁が響いてきた。
「サオリはん、なにボーッとしてんねん。地蔵やないねんから、はよ階段あがるで!!!」
「ん、そうよね。宿屋を昇る手段は、階段しかないものね(ええ、ただ上がるだけなの?」
安心したような、絶望したような、よくわからない感情が渦巻いていたが、とにかく受付右奥に、上への階段がみえており、そちらを地道に登っていくより無いようであった。しかしそこで、シノブが口を開いた。
「いえいえ皆様、その必要はございません。左手奥にございますお部屋に入っていただければ、空間転移魔法が発動され、ご希望のフロアに瞬間移動が可能ですよ。もっとも、この魔法では31階以上への移動はできぬよう、制御されておりますがね」
「ドンズっち、勝手に説明しないで~」
「まぁええやん。ほな、左手奥にいくで!」
とくにドンズは自分の間違いを訂正する様子もなく、サオリ一向はフロア左手奥にある扉へ向かい、ドンズが左右にスライドさせ開いた。そこは物置ほどのスペースで、5~6名が入って満員となる程度の広さであった。部屋のどこからともなく、女性の機械的な声が聞こえてきた。
「こちらはポッピンホテルのエレベーターです。いまからワープを開始します。行きたいフロアを教えて下さい」
「31階!!!」
リリィが大声で叫んだ。




