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クラスチェンジ

 「グォォォォォ」


 まるで周りの大地から、すべての生命力を集められたように空気が淀んだまま、オヂキメラの3つの頭からそれぞれ、赤、青、黄色のレーザービームが放たれた。それはかつてトミゾウを襲ったフワフワしたものでなく、もっと強力にみえるものだった。物凄い勢いでランスキメラの方角へ向かい、ちょうど、光線が重なるかというタイミングで、そのまま、ランスキメラを貫通した。


 「キィィィィ!!!」


 「やったの?」


 サオリが驚嘆しながら声を上げたが、まだランスキメラは耐えていた。その鋭い眼光はサオリ一向を睨みつけており、またしても発射体制に入った。巨大なツノはサオリの方へ向いていた。そして彼女はふとわれに帰り、未だに、最強勇者は現れないし、なぜ自分がいるのだかわからない状況が続いていることを思い出して憂鬱な気分に浸ってしまった。


 「んっ、んっ。あっ、もしかしてサオリちゃん」


 息も絶え絶えのリリィが何かを気付いたように、サオリに話しかけた。かとおもうと、突然、非常に和やかなオーラがサオリの周りを包みだし、本人もみるみるうちにエネルギーが湧いてきた。いまならなんでも出来るぞという気分に覆われてきた。


 「なんだか、清々しい気持ちだわね。どういうことなのかよくわからないけど」


 「サオリちゃん、詳しいことはあとで教えるからー、全身からスプリンクラーの水をだすようなイメージしてみてー!!!」


 「そんなこと急に言われてもわからないわよ!」


 「いいから!やるの!!」


 「え、、わかったわ。こう?あってるかわからないけど」


 サオリは直立したまま両腕を斜め45度に開き、手のひらを空側に向けた。すると、ポワワワワンという音とともに、まるでミストサウナのような霧がサオリから噴出され、辺り一帯を包みこんだ。なんと、タケアキ、ドンズ、リリィの体力、それに魔力が全回復したかのようだった。


 のみならずその霧がランスキメラをも覆いだすと、一角の獣は縮こまりだし、蒸発するかのように消えてしまった。


 「覚醒しましたね。トミゾウさんにもご勇姿を見せてあげたかったですよ」


 タケアキが事情を知っているかのように呟いた。とにかく危機は脱したようであり、気づけば、馬車運転手が運転していた2体の馬までもが、回復していた。サオリは自分自身がもっとも、なにが起こったかわからないような状況に陥っていた。


 「一体どういうことなの?これは」


 「サオリちゃんすごいよー!最上級の全体回復魔法、ドヒールだよ!!!その場にいる死んでない子は全回復するやつー!!!」


 「制御ができておらず、敵にまでかかってしまいましたがね、しかしながら運よく、対象がアンデッドだったので、ドヒールの回復力がすごすぎるため消滅まで至ってしまったというわけです。サオリさん、おめでとうございます。どういうわけかあなた、大僧侶にクラスチェンジしたようですよ。勇者の母親候補が稀に、別の影響をうけるとこのルートに入るみたいです。いかんせん勇者候補がいまのところ現れていなかったり、いままでにお会いした方の影響だったりでそうなったようなのです。でもこんなことになるというのは、モーリーの魔法をかけられないと起きないと思うのですがねぇ。すごいことですよ」


 オークボパークでモーリーに出会ったことは、特に意味があるわけでもないが言わなかった。


 そんな中、一人、不満そうにしている男がいた。彼は、なにか喜ばしいハプニングが潰えたかのような顔をしていたのであった。

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