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ランスキメラ

 明らかにピンチな状況の中、タケアキは目をキラキラと輝かせながら大きな一角トカゲを眺めていた。リリィはたまに喘ぎ声をもらし、グッタリと座り込んでいた。サオリはその様子を見守っていた。ドンズもオヂキメラの活躍を見守るよりなかったのである。


 「おお、、、素晴らしいじゃありませんか。あれは私も初めてですよ!ランスキメラとでも名付けましょうか!!ドンズさん、試しに、一戦交えてみてください!!!試合ですよ!試合!!!」


 「タケアキはん?この状況でなにいうとるん?あなたオタクちゃうん?試合いうてないで!いまはそのランスキメラいうんを倒すのが先決ちゃうん?ホンマに、アホンダラいいますよ?」


 「んー。それはたしかにそうなのですがね」


 ドンズにたしなめられている間、なにかこう、喘ぎ声のようなものが聞こえてきた。その主は、伝説の魔法少女リリィだった。


 「んっんっ......」


 「ちょっと、リリィちゃん大丈夫?」


 どうやら、先程のドファイヤーで膨大な魔力を消費した代償のように見える。彼女といえども、使える魔力量には限度があるらしい。


 「あんっ...んっ......ごめんね、しばらくだめみたい、んんっ.......」


 「あらら、リリィちゃん、ここは私に任せてください。モンスターを得意分野とするこのタケアキが、対処して差し上げましょう!!!」


 同時にオヂキメラが羽根を羽ばたかせて浮遊すると、それだけで暴風が吹き荒れた。サオリ一向は吹き飛びそうになってしまいつつ、なんとか耐えた。馬車の運転手も馬にしがみつき、怯えながらその様子を見守っていた。砂埃によりランスキメラは目の前がよく見えないようだった。両者は20メートルほどの距離をとって向かい合っている。中央のシャチ、右側のニジマス、左側のブラックバスそれぞれが鋭いツノのトカゲを睨みつけていた。


 「グォォォオオン!!!ボゥッ」


 オヂブレスではないようだった。右側のブラックバスのみが、燃え盛る炎の玉を吹き出し、ランスキメラに直撃した。その一角トカゲは咆哮を上げながら、ややダメージを受けているようだが、致命傷とはいかないようだった。ランスキメラは、ツノをオヂキメラに向けながら、プルプルと震えだした。かと思おうと、とてつもない殺気が周囲をおおった。


 「キィィィィ!!!ボゥッ」


 「えっ?そんなことできるの」


 サオリが驚きながら、ツノがそのまま抜けて、オヂキメラ方面へ発射された。それを高く飛翔し躱すも、背にしていた大木に直撃し、そして、折れて、右側倒れてしまった。ツノがなくなったかと思いきや、またニョキッと生えてきた。


 「タケアキくん、大丈夫なの?ランスキメラ、相当強いわよ!」


 「あれは一撃必殺のランス砲ですね~。もう少し弱らせて仲間にしたいのですがね。難しいかもですねーー!!まいった!!!」


 どうにもタケアキは、ここでパーティが全滅するかもしれないという緊張感に欠けているように見える。つまり、リリィは魔力切れで横たわり、ドンズも厳しそう、そしていまだ自分がどうしているのか疑問が拭えないサオリは戦闘において無力、という中、タケアキの所持する何体かのモンスターのみが頼りという局面において、倒すことよりも、捕獲できるかどうかしか興味がなくなっているようだった。モンスターのこととなると、他のことが見えなくなるようだった。


 「なんか楽しんでいる感じに見えるけど、そもそも全員死ぬかもしれないのよ、わかっているの?」


 「もー、わかっていますよ!私はこう見えて一流のモンスターテイマーなのですよ」


 「キィィィ!!!!ボボ!」


 またしてもツノがオヂキメラ方面へ向かったかとおもうとカーブし、おまけに今度は単発でなく、2発、続けざまに発射したのであるが、それぞれ、馬車の馬二頭を串刺しにしてしまった。運転手かろうじて馬から離れたものの、完全に青ざめてしまったと同時に、サオリ一向は交通手段がたたれてしまったのであった。


 「なんてこったい!私の商売道具が!どうやってこれから生計をたてていけばいいんだよ!!!」

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