テンガロンハッター
亜空間からまたしても現れたヤリオトコに対して、ドンズが改めて迎撃したが、トドメは刺さず牽制しながらの防御に徹していた。何せ、倒してもまた新たなヤリオトコが現れるかと思うと、対処法が見つかるまでは時間を稼ぎ体力温存をした方が良いと言う判断である。
「このまま倒しても同じことになるでぇ。どうすりゃええんや。アホンダラァ!いいますよ」
相変わらずテンガロンハットの馬車警察は、運転手に説教をしながらなにか、書類を書いている。
「うーん。まさか。。」
タケアキがゴニョゴニョと独り言を呟いていると、リリィちゃんが魔法を唱えはじめた。
「んー、、スロウ!!」
輪っか状の光線がヤリオトコをおおいはじめ、動きがだいぶゆっくりになった。相変わらず一所懸命にドンズを攻撃しようとするものの、余裕でかわされていた。
「おお!リリィちゃんさすがやで!動きが鈍くなったで!この間に、ヤリオトコの謎を解明してくれや!タケアキはん!!」
「解明したいのは山々なのですがね、どうなっていることか」
テンガロンハット男は戦局をいっさい無視し、運転手に説教を繰り返しながら、木製のバインダーに挟まれた用紙になにかメモをとっていた。
「あなたのお名前は、ハルヒコさんですね。年齢は?27?ずいぶん老けてますね~もっと年上かと思いましたよ。悪いことばかり考えているから、老けるのがはやいんじゃないですかぁ?(カキカキカキカキカキカキ)」
その間に、ドンズと戦っているヤリオトコの呪文が解けはじめたようで、また突きの速度がはやくなってきた。
「突きぃ!!!(グサッ)」
「ア、アカン!逆に、緩急がついた攻撃みたいになってしもって、喰らってしもたやん!痛いやん!!!」
急所は外したものの、ドンズの右肩あたりを槍が穿ってしまった。
「ふむぅ~」
「ファイヤー!」
「え、リリィちゃん、同じことをしても、無駄じゃないの?」
また、ヤリオトコの首が撥ねられるかと思いきや、撥ねられたのはテンガロンハットの馬車警察だった。そのままテンガロンハットの男は倒れてしまった。
「ふむふむ。どうやらあの馬車警察モドキは、死の世界からアンデッドを呼び出すネクロマンサーだったようですね。なんとか倒せましたね。ただね、ヤリオトコがまだ消えてないのですよ」
「シュッシュッシュッ」
片腕で槍をもち、このモンスターの突きを相変わらずドンズは躱していた。
「リリィちゃん、傷を直してくれへん?」
「ドンズくんごめん!忘れてた!んっ」
リリィが魔法を唱えると右肩の傷がみるみるうちに癒えていった。
ドンズが応戦しつつも優勢になってきて、ついにこの戦いが終わるかと思うと、馬車警察からなにか禍々しいオーラが漂ってきた。とつじょホール型の亜空間が発生し、それは以前の5倍にはなろうかという大きさだった。なんと、次から次へと、ヤリオトコが飛び出してきた。50体前後はいるように見える。
「あらら。絶対絶命ですねこれは」
「アカンやろぉ!!!」
と、言いつつも、最初の敵を倒すことは成功していたようだった。
「んー、全部でおわったかなぁ~~」
「亜空間が閉じ、どうやらテンガロンハットの男が管理しているヤリオトコはすべて登場しつくしたようで円形にサオリ一向を囲んでしまった」
「なんなんこれ~無理やろがい!!!」
「タケアキくん、なんとかならないのこれ?」




