魔法少女リリィちゃん
「チギュアァ!!!」
デカネズミはこちらを睨んでいたものの、戦力差を察知したのか、北西側へ消えてしまった。トミゾウとタケアキ、サオリは、ラーミョン屋の方に向かうと、悲惨な状況になっていた。オークのチャーシューがすべて食い散らかされ、麺も1本か2本を残しすべてなくなっていた。
「すばしっこいやつじゃのう。それにしても店長さんや、大丈夫か!!」
頭に白いタオルを巻き、目が見えてるのかわからないぐらいタオルがかぶさっている店長は狼狽した様子だった。
「勘弁してくれよぉ!あのデカネズミに、オークラーミョンの魂ともいえる、オーク肉が全部食われてしまったし、サカイド製麺特注の麺ももっていかれたよ!!!なんとかさあ、従業員は無事だったけれど、これじゃあ商売にならないよ!!クソネズミ!!!」
「それは、災難じゃったのう。儂らが退治したら、オークラーミョン3杯、ごちそうしてくれんかのう。あ、ワシは塩味ね」
「いくらでもごちそうしますよ!とにかくあのクソネズミを、退治してくれ!!!」
「あい、承った」
「しかしまたどこかに消えてしまいましたなぁ。ボクのワームが捜査してますがね。あ、たぶんあそこにいそうだなぁ」
「あそこって、どこよ」
タケアキがいい加減なことを言っていると感じ、サオリが質問をした。
「んんん、オークボパーク反応で反応がありますなぁ。いってみますか」
「わかったぞい」
こうして3人は、駆け足でオークボパーク周辺へ向かったが、なんと事はすでに終わっていた。巨大なネズミが横たわっており、ピクンピクンと震えていたが虫の息だった。まだ呼吸はあるようで絶命はしていなかった。そして、そのデカネズミを静観している少女がいた。身長は150センチ程度の小柄な女性だった。
タケアキが彼女を知っているかのような雰囲気でぼやいた。
「あ、あの子は、、、」
トミゾウも追随した。
「おそらくそうじゃなのう」
「お二人ともご存知なの?」
ポカンとした表情のサオリが問い合わせた。
「彼女は、伝説の魔法使いであり、賢者も兼任できる、リリィちゃんじゃよ。オークボパークの結界を張った張本人じゃ。魔法少女リリィちゃんじゃ」
リリィちゃんは我々3名の方を振り向き、ニコッと微笑んだ。
「あ、トミゾウじゃん!タケアキくんもいる!それに、お姉さんは、、、あ、お世話がかりの子ね」
お世話係?なにもしていないが?なぞと思いつつ、トミゾウが口を開いた。
「久しぶりじゃのうリリィちゃん。結界の中のオヂキメラは討伐し、タケアキくんのキューブに収められておるぞい」
「かわいそうなので、このデカネズミも仲間にしますよ。えぃ。まぁ攻撃力と敏捷性を強化すれば活躍できるでしょう」
タケアキが持参している正方形のキューブ内にデカネズミが吸い込まれていった。リリィちゃんが尋ねた。
「ところで3人そろって、楽しいことでもするの?トミゾウはもうそんな元気ないでしょう。タケアキくんはわからないけれども。それとも、ついにあのボケ魔王を倒しにアキパラパーいくの?」
「後者じゃよ、セクハラはしないでくれるかのう。そこでなんじゃが、、、」
トミゾウが次の言葉を出そうとすると、リリィちゃんはニッコリと微笑み、被せた。
「うん。わかったよん、リリもいく~!なんとなく今回はいけそうな気がする。前回は負けてしまったけどね。もう坊主のところには戻りたくないから今回こそは倒そうね」
「うむ、とりあえず宿屋に戻るぞい。明日出発じゃ。あ、その前にオークラーミョンを食べにいかんとなぁ。報酬をいただかんと」
タケアキがたしなめるかのように囁いた。
「トミゾウさん、あなたは、鬼畜ですか?もう食材がないじゃないですか。チャーシューも麺もないのに、ラーミョンは食べられないですよ。少しは店長さんのことを思い遣ったらどうなのですか!」
「フォッフォッフォ。冗談じゃよ」
そして翌朝、トミゾウ、タケアキ、リリィ、サオリの4名でデッカイドに向けて、サイドポート港へ出発したのである。なんとなく4人集まればいけそうな気がしてきた。それにビーストテイマーのタケアキがキューブに収めているモンスターもいる。いや、サオリは何もしてないが、そのことは考えないことにした。なんか生きているのが楽しい。それが重要なのだ。もっとも実際は死んだらしいのだけど。
一旦休載します。再開は4月19日以降の予定となります。