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隼人とアストリスの激突

 広場に緊張が張り詰める中、隼人のシステムが冷静に状況を解析していた。


――「戦闘態勢、完全移行。目標:アストリス。リスクレベル高。衛星リンクを開始します」――


 隼人はバックパックから噴射される推進力で横に滑り、アストリスにライフルを向けた。


 「いくぞ!」


 そう叫びながらトリガーを引き、一瞬のうちに複数の光弾がアストリスに向かって放たれる。


 しかし、アストリスはその場を動かず、手に顕現させた剣を軽く振るだけで、すべての弾丸を正確にはじいた。

 金属音が響き、弾丸が四方八方に弾き飛ばされていく。


「面白いわね」


 アストリスは余裕たっぷりの笑みを浮かべながら言った。


「こんな変形するなんて、あなた機械だったの?」


 隼人はその言葉に一瞬も動揺を見せず、冷静に答える。


「ああ、そうだ」


 隼人は言葉を終えると、さらに横移動を繰り返しながらライフルを撃ち続ける。

 高精度なシステムが弾道を補正し、アストリスの防御の隙を狙うが、彼女の動きはあまりにも無駄がなかった。

 剣を振るだけで次々と弾をはじき返し、まるで踊っているかのように軽やかだった。


――「衛星リンクを完了しました。敵の動きの解析を開始します」――


 隼人の視界に戦術データが流れ始める。

 アストリスの動きがリアルタイムで解析され、次に動くであろう位置が赤いラインで示される。

 隼人はさらに距離を取るために上空へ跳躍した。

 ライフルの連射を少し間隔を空けながら撃つことで、アストリスに防御のタイミングを狂わせようと試みる。


 しかし、アストリスの剣が放つ残像は、すべての弾道を読み切ったかのようにすべて弾丸を弾き飛ばした。

 

「ねえ、本当にそれでいいの?」


 アストリスは隼人を見上げながら、余裕たっぷりに口元を歪めた。


「あなたの攻撃、すべて読めてるわよ。もっと本気を見せてくれないと、つまらないわ」


 隼人は一瞬、彼女の言葉を無視しようとしたが、アストリスの冷たい笑みがどこか不気味だった。

 システムの警告が再び響く。


――「目標の防御精度、極めて高。接近戦に移行することを推奨」――


「接近戦か……」


 隼人は短く呟いた。

 バックパックの推進力を最大出力に切り替え、一気にアストリスとの距離を詰める。

 アストリスは軽く剣を構え直し、隼人に向かって微笑む。


 「そう、それでいい。もっと私を楽しませて」


 激しい攻防の火蓋が再び切られた。


 隼人はバックパックの推進力を最大出力に切り替え、瞬時にアストリスの背後へ回り込むと同時に、左腕をブレードへと変形させた。

 その刃は鋭い軌跡を描き、アストリスの背中を狙う。


 だが、アストリスは隼人の攻撃が届く寸前に剣を振り返し、正確にブレードを受け止めた。

 鋭い金属音が響き、両者の武器が激しく火花を散らす。


「早いわね。でも、まだ甘いわ」


 アストリスの冷たい声が隼人の耳に届くと同時に、彼女は剣を押し返し、素早く反撃に転じた。

 鋭い斬撃が隼人を狙う。

 隼人はジェットパックを全力で吹かし、後方へと無理やり下がりながら、その一撃を何とかかわす。


 アストリスは再び距離を詰める。

 彼女の動きは美しくも恐ろしいほど滑らかで、隙が一切ない。

 隼人が再びブレードを構えると、彼女の剣が唸りを上げ、隼人に襲い掛かった。


「ぐっ……!」


 その一撃を受けた隼人は、防御姿勢を取るのが精一杯だった。

 アストリスの剣は凄まじい威力を持ち、隼人の体に直接的なダメージを与えるほどの衝撃を伴っていた。


――「被害状況:軽度のダメージ。装甲に亀裂が生じています」――


 システムが淡々と損傷状況を報告する中、隼人はその場を再び推進力で離脱し、距離を取った。


「このまま時間をかければかけるほど不利だ……」


 隼人は内心で状況を分析する。

 アストリスの攻撃は一撃一撃が重く、持久戦に持ち込むのは得策ではなかった。


――「衛星からの情報に基づき、目標の死角を解析しました」――


 システムの冷静な声が響き、隼人の視界にアストリスの動きから算出された「死角」がマークされた。


「ここだ……!」


 隼人は光学迷彩を発動させ、姿を消した。

 彼女の死角に潜り込み、一気に攻撃を仕掛ける。


 だが、アストリスはその攻撃を察知したように身をかわし、弾道の予測を嘲笑うかのように絶妙なタイミングで避けてみせた。

 彼女は一切ダメージを受けることなく、その場に立ち続けた。


「これもダメなのか……!」


 隼人は息を荒らげながら独り言を漏らす。

 今の攻撃はほぼ完璧な形で仕掛けたつもりだったが、それでもアストリスには通じなかった。


「なるほどね」


 アストリスは冷静に微笑み、剣を軽く下ろした。


「そんな攻撃方法もあるなんて、ちょっと感心したわ。」


 隼人のシステムが次の戦術を解析しようとする中、アストリスは隼人の前に再び歩み寄った。

 彼女の目は戦いを楽しんでいるようで、その余裕に隼人は冷や汗をかきながらも構えを崩さなかった。


 戦いはさらに激化しようとしていた。

 隼人の攻撃スピードが徐々に加速していく。

 バックパックの推進力を最大限に利用し、ライフルの連射とブレードを絡めた立体的な攻撃を仕掛けた。


「これでも避けられるのか……!」


 隼人のブレードがアストリスを狙い、鋭く斬りかかる。

 しかし、アストリスはその攻撃を悠々と捌き、弾丸の雨も剣の一振りで次々と弾き飛ばしていく。


「ふふっ、速さは悪くないわね。でも、それだけじゃ私には届かないわ」


 アストリスは微笑みを浮かべながら、隼人の攻撃に対応し続けていた。

 隼人がさらに攻撃を加えようとした瞬間、アストリスは突如として動きを止めた。

 剣を軽く肩に担ぎ、冷静な表情で隼人に問いかける。


「そういえば……『ナノちゃん』だったわね、あの子の新しい名前。あの子の制限、どうやって解除するかあなた分かる?」


 その質問に隼人はわずかに眉をひそめたが、攻撃の手を緩めることなくライフルを構え直し、弾丸を撃ち放つ。


「知らないね!」


 弾丸がアストリスを直撃するかと思われたが、彼女は首を軽く傾けるだけで弾道を避ける。

 次の一撃を放とうとした隼人の目の前で、彼女が静かに溜息をつく。


「まあ、そう言うわよね。でもね、穏便に済ませたかったのよ。残念だけど、直接あなたの体に聞いてみることにするわ」


 アストリスの剣が一気に重く、鋭くなる。

 今までの余裕を見せた戦いとは一変した真剣な眼差しで、隼人に迫る。


「くっ……!」


 隼人は迫る斬撃を察知し、避けようとバックパックを噴射させたが、攻撃の速さはそれを凌駕していた。

 アストリスの剣が唸りを上げ、隼人に襲いかかる。


――「防御動作を実行」――


 咄嗟に隼人は左腕のブレードと右腕のライフルを交差させ、剣の一撃を受け止めた。

 衝撃は凄まじく、金属が擦れる耳障りな音と共に、隼人の両腕に圧力がのしかかる。


「ぐっ……!」


 力負けした隼人はそのまま吹き飛ばされ、地面を転がるようにして何とか体勢を立て直した。

 ライフルの銃口がひび割れ、ブレードの先端にもかすかな傷が残っている。


「なんて威力だ……!」

「さて、次はどうするの?」


 アストリスは剣を軽く振り、一度大きく息を吸った。

 微笑みを浮かべながらも、その視線は鋭く隼人を見据えている。


 隼人とアストリスの一対一の戦いが続いていた。

 しかし、アストリスが次の攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、魔法の矢が彼女の背後から飛来した。


「何?」


 アストリスは素早く振り返り、剣を一閃させてその矢を弾き飛ばす。

 放たれた魔法の矢は地面に落ち、軽い爆発音を立てて消えた。

 視線の先には、ノアとリーシャ、そしてナノちゃんが立っていた。


 ノアとリーシャの顔には、薄く光る奇妙なバイザーのようなものが装着されていた。

 それは通常の装備品とは異なり、どこか未来的な雰囲気を漂わせている。


「ノア、リーシャ……お前たち!?」


 隼人が驚きと困惑の入り混じった声を上げると、ノアが明るく応えた。


 「援護するね、ハヤト!」


 その言葉と同時に、ノアは魔力の矢を放つ杖を構え、再びアストリスに向けて矢を放った。

 リーシャは盾を構えながら突進してきた。

 その動きには迷いがなく、盾からはかすかに炎が立ち上る。

 彼女はまっすぐにアストリスに向かい、隼人との連携を図ろうとしていた。


 一方でナノちゃんは、自信満々の表情を浮かべながら胸を張った。


 「ナノの作ったバイザーで見えるようにしたよ!」


 彼女は自慢げに言いながら、ちょっと得意気にえっへんとポーズを取る。


「これで、みんなアストリスが見えるよね!」


 ナノちゃんの言葉にノアとリーシャも頷いた。

 アストリスは、突如として増えた敵に少し驚いた様子だったが、それ以上に楽しそうに笑い出した。


「いいじゃない、面白くなってきたわね。もっとやりましょう!」


 彼女は剣を構え直し、戦闘態勢を取る。

 ノアの放った矢がアストリスに迫るが、彼女は軽々と剣でそれを弾く。

 一方、リーシャは盾を構えて接近し、そのままアストリスに体当たりを試みた。


「あら、ずいぶん積極的ね」


 アストリスはその攻撃をかわしながらも、剣を一振りしてリーシャの動きを封じようとする。

 しかし、炎の障壁が剣を阻み、彼女の攻撃は届かなかった。


「面白い盾を使うじゃない」


 アストリスは興味深そうに笑みを浮かべた。

 戦場に活気が戻り、隼人、ノア、リーシャ、そしてナノちゃんの連携がアストリスに迫る。

 戦況は一対一から、仲間との連携を活かした集団戦へと変化していった。

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