「P.A.L.A.D.I.N.」覚醒
隼人が脱出口付近にて戦闘をしている間、隼人のシステムが古の機械の制御権を握るべく動いていた。
――「システムにアクセスを開始……データ構造解析中」――
隼人の視界に浮かぶシステムメッセージが、次々と進捗を伝えてくる。
――「制御プロトコルを確認。接続準備中……アクセス権限を取得しました」――
低い振動音が地面から伝わり、目の前の巨大な機体がゆっくりと目覚めるかのように動き始めた。
その瞬間、古の機械のコックピットのモニターが点灯し、鮮明な文字列が画面全体に映し出された。
「P.A.L.A.D.I.N.」
モニターには文字が大きく表示され、その下には機体のステータスが次々と流れ始めた。
隼人のシステムが古の機械の制御権を確保した瞬間、モニターに新たなメッセージが次々と表示され始める。
「出撃準備シークエンスを開始」
それに続いて、低く響く機械音とともにモニターには詳細なプロセスが映し出されていく。
「出撃用エレベーター起動」
エレベーターの制御系統が起動され、機体を地上に送り出す準備が整えられる。
周囲にあるパネルが輝きを増し、エレベーターの振動が伝わってきた。
機体がゆっくりと持ち上がり始める。
「発進用ゲート解放」
地面が震えるような音とともに、隠されていた天井部分のゲートがスライドして開き、地上への道が照らし出される。
「動力炉出力安定化中」
「P.A.L.A.D.I.N.」の中枢動力が調整されていく。
低い唸りがコックピットを包み込むように響き、機体全体にエネルギーが満ちていく感覚が伝わってきた。
「主兵装起動確認」
モニターには機体に搭載された武器システムのアイコンが一つずつ点灯していく様子が映し出される。
システムが進捗状況を確認する中、最後に大きな文字がモニターに映し出された。
「準備完了。出撃可能。」
コックピット全体に響き渡るような電子音声が、発進の準備が整ったことを知らせた。
脱出口付近で激しい戦闘を繰り広げていた隼人。
その背後で地面が震えるような重低音が響き渡る。
エレベーターによって上昇してきた「P.A.L.A.D.I.N.」が、堂々たる姿を現した。
隼人はシステムに促されて搭乗口に駆け上がると、システムのガイダンスに従って座席に腰を下ろした。
座席に触れた瞬間、周囲のパネルが次々と光を帯び、モニターに未知の文字列が表示される。
「"Protector And Loyal Automaton Designed for Interstellar Neutralization"」
「略称:P.A.L.A.D.I.N.」
「パラディン……。これが、機体の名称か……!」
隼人がつぶやくと、システムが冷静な口調で解説を始めた。
――「現在、本ユニットと神経リンクと同期中。全制御は思考に基づき動作します」――
隼人が問いかける間もなく、コックピット全体が柔らかな光に包まれる。
脳波とリンクした感覚が頭の中に広がり、機体の巨大な四肢の動きが自分自身の手足のように感じられる。
隼人は右腕を軽く動かそうと考えただけで、外部カメラが映す映像に合わせて「パラディン」の右腕が力強く持ち上がった。
「……思った通りに動く……!」
巨大な手を見上げる隼人は、自分の操作が完璧に反映されることに驚きを隠せなかったが、コックピットの外では敵のロボットが「パラディン」のその巨体に向かって攻撃を開始してきたため、頭を切り替える。
「頼むぞ……こいつで逆転する!」
コックピットで意識を集中させながら、口元を引き締める。
「さあ、行こうか……!」
隼人の一声とともに、「パラディン」の巨体が大地を踏みしめ、迫りくる敵のロボットに向かって前進した。
接近した敵のロボットが隼人に向かって爪を振り下ろす。
隼人はすぐさま思考を集中させ、右腕を動かすと「パラディン」の巨大な右腕が反応し、その攻撃を受け止めた。
金属同士が激しくぶつかり合い、火花が散る。
「くっ……!」
衝撃で機体が後退しながらも、隼人はすぐさまカウンターで拳を叩き込む。
拳が敵のロボットの装甲をへこませ、内部から火花が飛び散る。
「効いてる……か?」
隼人はさらに間髪を入れず左のアームで敵のロボットの胸部に向かって強烈な一撃を叩き込んだ。
「もう一発!」
重い衝撃音とともに、敵のロボットの胸部装甲が一部崩れ、そこから無数のケーブルや内部機構が露出する。
しかし、敵は怯むどころか、すぐさま鋭い爪で反撃してきた。
隼人は瞬時に後退し、爪を避けたものの、その動きには異様な速度と精度があった。
「……マジかよ、まだ動けるのかよ!」
隼人の焦りが声に滲む。
その疑問はすぐに現実となり、彼を打ちのめす。
敵のロボットが周囲に転がる小型ロボットを吸収すると、ダメージを受けた装甲が瞬時に修復されていく。
隼人の一撃で歪んだ部分が元通りどころか、さらに強固なものに進化しているようにさえ見えた。
「なっ……!これじゃキリがない!」
隼人は焦燥感を滲ませながらつぶやいた。
敵は物量で押し切るどころか、自らの損傷を完全に補いながら戦闘を続行していた。
その時、隼人のシステムが冷静な音声で提案してきた。
――「現在『P.A.L.A.D.I.N.』のシステムは思考を完全にフィードバックしています」――
――「そのため、本ユニットにて使用可能な兵装、すなわちライフルとエネルギーブレードの展開が『P.A.L.A.D.I.N.』でも使用可能」――
隼人の目が見開かれる。
自身が使用していたライフルやエネルギーブレードが、この巨大な「パラディン」でも再現できるというのだ。
「本当に使えるのか?」
隼人は思考を巡らせ、左腕に意識を集中させた。
すると、「パラディン」の左腕が変形を開始し、巨大なエネルギーブレードが展開された。
その輝きは、まるで戦況を切り開く光そのもののようだった。
「よし……これなら!」
隼人は敵のロボットに向けて一気に加速し、エネルギーブレードを振り下ろす。
敵は再びブレードを持つ腕で防御しようとするが、隼人の一撃はその装甲を切り裂き、内部から火花と煙を吹き出させた。
それでも、敵はまたしても周囲のロボットを吸収し、損傷箇所を修復しようとする。
隼人はシステムに問いかけた。
「今の武装であいつを完全に破壊できるか?」
――「敵の修復能力を上回る火力が必要です。さらなる兵装の展開を推奨します」――
隼人は右腕にも意識を向けた。
今度は巨大なライフルが現れ、エネルギーがチャージされていく。
「よし、ここからが本番だ!」
隼人は照準を敵のロボットの腹部に定め、引き金を引いた。
その瞬間、エネルギー弾がライフルから放たれ、空気を裂く音とともに敵の装甲を貫いた。
衝撃波が周囲に広がり、敵のロボットの腹部に大きな風穴が開く。
「よし……効いたか?」
だが、隼人の安堵は一瞬で掻き消えた。
敵のロボットは瞬時に周囲の小型ロボットを更に吸収し始め、風穴がみるみるうちに修復されていく。
敵のロボットの目が赤く輝き、その胸部に異常な光の収束が始まった。
隼人はすぐに警戒態勢に入る。
――「警告:敵ロボットがライフルの対抗策として高出力レーザーを生成中。直撃すれば甚大な被害が予想されます」――
「くそっ!やらせるか!」
隼人は「パラディン」を操り、敵の狙いをかわすように移動を開始した。
敵のロボットが胸部から放ったレーザーは地面を焼き焦がし、大きな爆発を巻き起こす。
隼人はその爆風に巻き込まれそうになりながらも、素早い機動で間一髪回避する。
「こんな威力のレーザー、当たったら終わりだ……!」
敵のロボットも「パラディン」の動きに合わせて再度照準を定める。
だが、隼人はその動きを見越して先回りし、再びライフルを構える。
「負けるわけにはいかないんだよ!」
隼人はエネルギー弾を連続して放ち、敵のロボットの胸部を狙う。
攻撃は的確に命中し、敵の装甲が再び損傷を受けた。
しかし、それでも敵のロボットは修復を続け、さらなる反撃を準備しているようだった。
敵のロボットが再度爪を振りかざして突進してくる。
隼人は素早く「パラディン」を後退させながら、左腕にエネルギーブレードを展開し、防御体勢を取る。
爪とブレードが激しくぶつかり合い、金属音と火花が飛び散る。
――「注意:敵の攻撃パターンの進化を確認」――
「そんなことは見ればわかる!」
隼人の怒声が響く中、「パラディン」の動きはさらに加速した。
敵のロボットとの戦闘は、まさに一進一退の攻防戦と化していた。
「まだ終わらせないぞ……!」
敵の猛攻に対し、隼人は反撃の隙を探り続ける。




