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古の力、目覚める

 空中で拘束された隼人のシステムが、冷静な判断で新たな策を提示した。


――「提案:接触中のケーブル経由で敵システムにクラッキングを実施。制御権奪取を試行」――


「直接クラッキングか……頼んだ!」


 隼人のシステムはケーブル経由の制御奪取を実行した。

 彼の体に絡みついたケーブルが振動し始め、僅かな電子的な火花が散る。


 ロボットは異常を察知したのか、体中のケーブルが激しくうねり始める。

 その動きが束の間止まり、次には暴れ狂うように隼人を締め上げようとした。


――「抵抗を検知。クラッキング進行中。予想成功率:78%」――


 隼人はケーブルの圧力に耐えながら叫んだ。


「早く……!このままじゃ潰される!」


――「クラッキング進行率95%」――


 ロボットが異常な電子音を放ち、赤く光る目が明滅する。

 その瞬間、絡みついていたケーブルが一斉に弛緩し、隼人の身体が自由になった。


――「クラッキング成功。一時的制御権を奪取。拘束解除を実施」――


「やった!」


 自由を得た隼人は即座にバックパックの推進力を最大出力に切り替え、空中からの脱出を図る。

 猛烈な推進音とともに、彼は素早く上昇し、迫る地面を避けるように柔らかな草地へと滑らかに着地した。


 背後で巨大な衝撃音が鳴り響き、人型ロボットの重厚な身体が地面に叩きつけられる。

 大きな砂埃が巻き上がり、その中からロボットの姿が見え隠れする。


 「さすがに終わりだろう」


 隼人は警戒を緩めないまま呟いた。


 しかし、ロボットは地面に叩きつけられた衝撃でさらに壊れていたものの、完全には機能を失っていなかった。

 逆に、そのダメージがさらなる暴走を誘発する結果となった。


――「警告:目標が新たなエネルギー信号を発生。周囲のロボットとの統合プロセスを開始」――


「統合……だと?」


 隼人の目の前で、地面に散乱していた警備用ロボットや清掃用ロボットが次々と動き出し、人型ロボットに向かって集まり始める。

 それらはまるで吸い寄せられるかのようにロボットの体中に合体し、瞬く間に巨大な機体へと変形を遂げていった。


「おいおい……まるで悪夢だな」


 目の前で完成したのは、先ほどの人型ロボットをはるかに上回る巨体のメカ。

 鋭利な爪や巨大なブレードを備えたその姿は、隼人の戦闘本能を総動員せざるを得ない威圧感を放っていた。


――「警告:目標の戦闘能力が飛躍的に増大。戦術変更を推奨」――


「ここからが本番かよ……!」


 隼人は冷静に次の一手を考えながら、巨大化した敵を睨みつけた。


 巨体のメカが放つ重い攻撃と圧倒的な質量を前に、隼人は防戦一方だった。

 巨大なアームが振り下ろされるたびに地面が揺れ、鋭利な爪の一撃は隼人をかろうじてかわすたびに、背後には爆発的な土埃が巻き上がった。


「くそっ、これじゃ反撃どころじゃない!」


 隼人はバックパックの推進力を使い、次々と迫る攻撃をギリギリで回避していく。

 だが、その動きにも限界が近づいているのを肌で感じていた。


――「警告:エネルギー消耗率が急上昇中。現状の回避行動の継続限界」――


「分かってる……けど、攻撃する隙が見つからない!」


 隼人は巨体メカの動きを注視しながら、システムに問いかけた。


「何か対処方法はないのか?」


――「解析中。過去のクラッキングデータを参照します」――


 システムが迅速に過去のデータを照合し、解析結果を提示してきた。


――「解析完了:以下のデータを使用した戦術提案を行います。


 ・人型ロボットへのクラッキング:対象の制御システム構造を部分的に解析済み。

 ・王座の間の脱出口クラッキング:古の機械に関する封印データを取得済み。


 提案:脱出口に封印されている古の機械を制御し、目標に対抗」――


 隼人の目が一瞬光った。

 だが同時に、別の案が浮かび、急いで問いかけた。


「待て。相手のロボットを直接制御できないのか?あいつを抑え込む方法があるなら、それが一番早いだろ?」


――「否定:解析したデータは部分的なものに留まっており、現在目標は別の制御下にあるロボットは現状では掌握することは不可能です」――


 隼人は舌打ちしながら、別の手段を検討する必要性を痛感した。


「なら仕方ない……。封印されている機械……?そいつを動かせる保証はあるのか?」


――「確約はできません。ただし、封印解除の際に収集した制御データを流用すれば、一定の確率で制御可能」――


「なるほど……確率がゼロじゃないなら賭けてみる価値はある」


 隼人は地面を蹴り、巨体メカの攻撃範囲から離脱すると、王座の間の脱出口の方向を振り返った。

 そこに眠る「古の機械」が鍵となる可能性が高かった。


「よし、やるか……!」


――「提案:目標を牽制しつつ脱出口付近への移動を試みてください」――


 隼人は決意を固め、エネルギーブレードを展開して巨体メカに向け牽制の斬撃を送りながら、徐々に脱出口の方へと後退していった。


「頼むぞ、システム……これでどうにかならなきゃ、終わりだ!」


 隼人は脱出口付近に到達すると、すぐにシステムへ指示を送った。


「古の機械の制御を開始してくれ!急げ!」


――「承認。制御システムへの接続開始……完了まで推定30秒」――


「その間、攻撃を避け続けろってことだな!」


 隼人は視線を巨体メカに向け直す。そのメカは隼人を執拗に狙い、複数のアームを同時に動かしながら、押し寄せるような猛攻を繰り出してきた。

 振り下ろされる鋼鉄の拳やスパイク付きの爪が地面を砕き、無数の瓦礫が周囲に飛び散る。


「こっちを見てるのはいいが……手数が多すぎるだろ!」


 隼人はバックパックの推進力を活用し、予測不能な動きで回避を続ける。

 しかし、巨体メカの猛攻はさらに加速し、追撃の鋭さが増していた。


――「警告:回避限界に近づいています。制御掌握まであと20秒」――


「早くしてくれ!持たない!」


 巨体メカの攻撃は激しさを増し、隼人は地面を転がるようにして間一髪で一撃をかわす。

 振り下ろされた拳が地面に衝突し、轟音とともに大きなクレーターを作り出した。


「くそっ……!化け物め!」


 隼人はエネルギーブレードを振り回して反撃の姿勢を見せるが、その攻撃は巨体メカにとっては牽制程度にしかならない。

 むしろ、隼人の動きを読んだかのようにさらなる追撃を繰り出してくる。


――「残り10秒。古の機械の制御が間もなく可能」――


「もう少しだ!」


 隼人はバックパックを最大限に稼働させ、巨体メカの攻撃を避けるために空中に跳躍する。

 しかし、巨体メカは隼人を見逃さず、伸縮可能なアームを伸ばして追撃を仕掛けてきた。


「本当にしつこいな……!」


 ようやくシステムが通知を送ってきたのは、隼人が地面に滑り込み、攻撃を間一髪でかわした直後だった。


――「制御掌握完了。古の機械の起動を開始します」――


 隼人がその言葉に反応する間もなく、地面が突如として振動し始めた。

 彼が立っているすぐ近くの床が展開し、隠されていた巨大なエレベーターがせり上がってくる。

 そのエレベーターの上には、巨大な人型メカが立っていた。


「……あれが古の機械か?」


 巨大メカは全体が黒鉄のような色合いで、光を反射する金属的な表面が威圧感を放っている。

 全長は隼人の目測で20メートル以上あり、圧倒的な存在感を示していた。


――「搭乗口を開放しました。搭乗を推奨します」――


 システムの言葉と同時に、巨大メカの胸部がスライドして開き、内部への通路が現れた。

 階段のように設置された足場が降りてきて、隼人を誘うように光を放っていた。


「マジかよ……操縦できるのか?」


――「機械の操作はシステムが支援します。迅速に搭乗してください」――


 隼人は追撃してくる巨体メカに一瞥を送り、即座に決断した。


「……やるしかないか!」


 彼は一気に足場を駆け上がり、巨大メカの内部へと飛び込んだ。

 その瞬間、搭乗口が閉じられ、内部が薄い青い光で満たされる。隼人は用意されていた操縦席に座り、両手を操作パネルに置いた。


「頼むぞ……こいつで逆転する!」


 一方、巨体メカは巨大メカの起動を阻止しようと、その方向にすべてのアームを伸ばし、攻撃を仕掛けてきた。

 だが、隼人が操縦席に座ると同時に、巨大メカが目を光らせ、低く唸るようなエネルギー音が響き渡る。


「さあ、行こうか……!」


 隼人の目に再び戦意が宿り、戦場に新たな展開が訪れようとしていた。

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