表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/228

王城の古代技術と「星降りの大祭」

 隼人たちは王都に到着して新たな拠点も確保し、次は冒険者ギルドで依頼を探すことにした。

 賑わうギルド内では、冒険者たちが談笑し、掲示板を見上げて依頼を選ぶ姿が見られ、彼らの熱気が王都ならではの活気を感じさせる。


 隼人たちは受付に並び、自分たちの番が回ってくるのを待った。

 順番が来ると、受付の女性がにこやかに応対してくれた。


「いらっしゃいませ。またお越しくださりありがとうございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」


 隼人が軽く会釈をし、話し始めた。


「昨日ご紹介いただいた賃貸も借りたので、しばらくはこちらで活動したいと思っています」


 受付の女性は手元の帳簿にさっと目を通しながら、頷いて応じた。


「承知しました。それでは、滞在期間中の名簿にお名前を記載させていただきますね。長期の滞在ですと、依頼の紹介や報告もこちらで一貫して行えるようになりますので、ご安心ください」


 彼女が隼人たちの名前を名簿に記載し終えると、隼人は続けて質問をした。


「それと、何か王都内で完結する依頼があれば、受けたいと思っているのですが」


 受付の女性は少し考え込んだ後、申し訳なさそうに口を開いた。


「現在、王都内の依頼は少々混雑しておりまして……。祭りの準備で多くの冒険者が動員されているため、人手も増えております。実のところ、良い依頼は既に消化されてしまっていて、残っているのは交通整理やどぶ攫い、落とし物の探索といったものが主な状況です」


 ノアが少し苦笑しながら、感想を漏らした。


「王都だと依頼も競争が激しいんですね」


 リーシャも少しがっかりした様子で呟いた。


「せっかくだけど、そんな依頼を引き受けるために来たわけじゃないしね」


 隼人も少し考えた後で、彼女たちに同意するように言葉を添えた。


「そっか、まあ仕方ないか。祭りが終わって落ち着くまで待つとしよう」


 受付の女性も微笑みを浮かべながら、彼らに伝えた。


「承知しました。依頼は掲示板に随時掲出されますので、どうぞご確認くださいね。何か良い依頼が見つかれば、私の方でもお知らせいたしますので」


 冒険者ギルドでの受付を済ませ、依頼の確認をした隼人たちは、祭りが終わるまで王都で待つことを決めた。

 その後、隼人がふと気になったことを受付の女性に尋ねることにした。


「そうだ、王城って古代の技術が使われているって聞いたんですけど、実際にはどんなものが利用されているんですか?」


 隼人の問いかけに、受付の女性は少し目を輝かせながら説明を始めた。


「はい、王城は古代技術の恩恵を多く受けています。王都の一部の設備やシステムにもその技術が利用されており、住民の生活にも密接に関わっています。例えば、冒険者ギルドの統括システム、城門や正門でのセキュリティシステム、それから清掃用のロボットなどが代表的な例です」


 リーシャが驚いた様子で割り込んだ。


「えっ、そんなにたくさんあるの?まだ一度も見たことがないんだけど!」


 受付の女性は少し微笑みながら答えた。


「はい、統括システムなどはセキュリティの観点から、一般の方には公開していないため、お目にかかる機会は少ないですね。ただ、城門や正門で稼働しているセキュリティシステムは目に見えない形で作動しているため、通常は意識されることがありません。また、清掃用ロボットも決まった時間にしか稼働しないため、たまたま会えていないのかもしれません」


「なるほど……王都全体に隠れた技術が生きてるんだな」


 隼人は感心しながら呟いた。


 受付の女性もその言葉に頷き答えた。


 「ええ、王城や王都は古代の知識と技術の結晶によって守られ、生活が便利に保たれているのです」


 王都には目に見えない形で古代の力が息づいていることを知り、受付の女性に再度質問を投げかけた。


「ところで、王城で使われている古代の技術って、一般の人でも見ることができるんですか?」


 受付の女性は軽く微笑みを浮かべて答えた。


「通常、王城の内部は貴族や関係者のみしか入れませんが、実は『星降りの大祭』の期間中、一般に開放されるんです。そのため、大祭の本番の日には、王城内を見学できる機会が設けられます」


 隼人はさらに興味をそそられ、尋ねた。


「それって、本当に誰でも入れるんですか?」


 受付の女性は丁寧に説明を続けた。


「はい、明後日から始まる『星降りの大祭』は15日間にわたって行われます。1日目から6日目までが“前祝”と呼ばれ、町中でさまざまな催しが行われます。そして7日目、祭りの本番にあたる日に限って、王城が特別に一般開放されるんです。観光目的で一部の回廊や大広間に入ることができ、古代の技術が施された設備や装飾を見ることができるかもしれません」


「そんなに長い間、町中がお祭りで賑わうなんて素敵ですね」

 

 ノアが嬉しそうにと感想を漏らすと、リーシャも興味津々な様子で受付に向き直った。


「王城内に入れる機会なんてなかなかないし、私もすごく楽しみだわ。入れる場所は限られているのかもしれないけど、古代の技術を目にするチャンスがあるなんてすごいことよね」


 受付の女性も微笑みを浮かべて説明した。


 「ええ、王城の一般開放は王都の住民や訪問者にとっても貴重な機会です。そして、祭りは8日目から15日目まで“後祝”として続きます。大広場や町全体が賑やかで、まさに王都ならではの祝祭期間となりますので、ぜひ楽しんでくださいね」


 隼人は興味と期待に胸を膨らませ、「祭りの本番が待ち遠しいですね」と呟いた。


 ギルドを出た隼人たちは、王城に使われている古代の技術を確認できる機会があると知り、ほっと安堵していた。

 今回の旅の一つの目的が、古代技術とそれを生かした王都のシステムを見ることだっただけに、このチャンスは隼人たちにとって大きな意味を持っていた。


 隼人はギルドを出た後、少し空を見上げるようにしながら深く息をついた。


「王城に入れる目途がついたな」


 彼はしみじみと呟いた。


 ノアもその言葉に同意するように微笑みながら頷き、続ける。


「そうね……思ったよりも難しいんじゃないかって、実はちょっと不安だったけど。無事に見られる日が来るのは嬉しいわ」


 リーシャは明るい調子で声を上げた。


「王城のロボットも気になるけど、見られる日は限られてるし、依頼もなかったから、今は思いっきりお祭りを楽しむしかないわね!」


 リーシャの言葉に、ノアと隼人も顔を見合わせて頷いた。


「確かに、そうするしかないな」


 隼人がそう言うと、ノアも明るく返事をした。


「そうだね。どうせ王都に滞在するなら、楽しまなきゃ損だよね」


 まだ祭りの本番は始まっていないものの、王都の街並みにはすでに活気があふれており、周囲には屋台が立ち並んでいた。

 早くも祭りの準備が整った屋台からは、美味しそうな香りが漂い、人々が楽しげに食べ歩きをしている様子が見受けられる。


「ねえ、せっかくだから食べ歩きでもしようよ!」


 リーシャが笑顔で提案すると、ノアと隼人も賛成し、三人は町の賑やかな屋台を目指して歩き出した。


 彼らはこれから始まる祭りの中で王都の文化を満喫しつつ、王城での一般開放の日が来るのを心待ちにしながら、賑わう町並みに溶け込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ