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バステオン・アークの概要説明

 ブリッジに到着し、広々とした艦内の様子にリーシャは目を輝かせた。

 見渡す限りの広大な装備と、未来的なデザインの操作パネルが並ぶブリッジを見つめながら、リーシャは興味深そうに口を開いた。


「ねえ、この船ってどんな機能を持ってるの?ものすごく大きいし、何か特別な役割があるんじゃない?」


 ルクシアはリーシャの興味に気づき、にこやかに応じた。


「ええ、もちろんです。この艦にはさまざまな機能が備わっておりますので、もしよろしければ会議室にて詳しくご説明いたします」


 ノアや隼人もリーシャに続くようにルクシアの後に続き、ブリッジの隣にある会議室へと案内された。

 ブリッジから隣の会議室へと案内された隼人たちは、ルクシアに促されて席に着いた。

 少し緊張している様子の隼人たちに、フロリアがお茶を運んでくる。

 ほっと一息つく間もなく、ルクシアがバステオン・アークの概要について説明を始めた。


「それではバステオン・アークについてご説明いたします」


「バステオン・アークは、恒星防衛軍の中型変形母艦です。全長は320メートル、乗員はおおよそ200名で、防衛任務を想定して設計されています」


 隼人たちはそのスケールに驚きつつ、真剣な表情で耳を傾ける。

 ルクシアは続けて武装の説明に入った。


「艦の武装には、高出力のパルサーキャノン・アレイやイオンバースト・タレットが搭載され、星上の防衛拠点としての砲撃力を発揮します。また、ネクサスランチャーは状況に応じてさまざまな弾頭を使用可能で、さらに精密追尾型のタイタンミサイルシステムも装備されています」


 ノアは防衛の要としての役割を持つこの艦の武装に関心を寄せた。

 ルクシアは防御システムについても言及する。


「防御システムは、広範囲を守るオムニ・シールド、高密度装甲のインパクトアーマー、そしてグラビティフィールド・バリアを備えております。これにより、宇宙空間や着陸後も高い防御性能を維持できるのです」


 隼人は艦内の強固な防御機構についても感心した様子だ。

 そして、ルクシアはこの艦の最大の特徴に触れた。


「この艦の特徴は変形機能です。バステオン・アークは星に着陸後、拠点モードに変形し、防衛砲台や追加装甲を展開して長期的な防衛戦にも対応可能となります」


 さらに、ルクシアは発艦設備についても説明を続ける。


「艦には機動兵器の発艦用カタパルトデッキがあり、機動兵器を収容可能です。星面戦への対応として、強襲降下ポッドによる兵員や物資の迅速な展開も可能です」


 そして隼人の機能を応用して追加された新技術について触れた。


「最近、この艦には光学迷彩システムが追加されました。これにより、探知を避けながらステルス行動が可能となっています」


 隼人は確認するように話しかけた。


「そういえば、来るときバステオン・アークが透明だったのは、光学迷彩システムのおかげってことだよな?」


 ルクシアは小さく頷き、詳細を伝えた。


「はい。元々この艦には光学迷彩機能は搭載されていませんでした。しかし、ハヤト様を解析させていただいた際、ハヤト様が持つ光学迷彩の技術を我々でも再現可能であることがわかりました。そこで、艦の装備に導入させていただいたのです」


 隼人は自分の機能が艦の一部にまで取り込まれたことに驚きを隠せなかった。


「俺の技術がこんな形で使えるなんて……すごいことだな」


 ルクシアは隼人たちに向けて、さらにバステオン・アークの詳細について説明を続けた。


「さらに、この艦には恒星間の広大な距離を瞬時に移動するためのワープ航行技術が備わっております。通常の推進技術では数百年かかるような距離も、ワープ航行を使えば短期間での移動が可能です」


 隼人とリーシャはその話に目を見開いたが、ルクシアは少し残念そうに続けた。


「しかし、現在は専用のエネルギー源が枯渇しているため、ワープ機能は使用できない状態です。この艦が設計された当時、ワープエネルギーには特殊な資源が必要とされていましたが、長期間の休眠によってその補充が困難になっております」


「つまり、ワープで別の場所へ行くことはできないってことか……」


 隼人が少し残念そうに呟くと、ルクシアは肯定するように頷いた。


「はい。その他にも、長期間の休眠によって停止している機能は複数ございます。例えば、より複雑な情報解析装置や一部の武装システムなども完全には作動しておりません」


「でも、復旧はできるんだよね?」


 ノアが尋ねると、ルクシアは力強く頷いた。


「はい、時間はかかりますが、順次復旧させていく予定です。マスターユニットであるノア様の存在により、徐々にですが艦のリソース管理が安定してきており、修復作業を進めることが可能になりました」


 隼人たちは、その話に希望を感じながらも、過去の壮大な歴史を感じさせるバステオン・アークが再び動き出そうとしていることに、胸の高鳴りを感じていた。

 

 リーシャも、興味深そうに質問を重ねた。


「ところで、さっき説明に出てきた『恒星防衛軍』って一体どういう組織なの?」


 ルクシアは一瞬目を伏せ、遠い記憶を探るように静かに答えた。


「恒星防衛軍とは、一万年以上も前に存在した、繁栄する惑星同士が協力して立ち上げた防衛組織です。当時、いくつもの有人惑星が互いに技術や知識を共有し合い、豊かで安定した文明を築き上げていました。しかし、あるとき、銀河の彼方から現れた未知の脅威が次々に惑星に宣戦布告をし、各星の人々を攻撃してきたのです」


「その脅威って……敵はどれほど強かったんだ?」


  隼人が険しい表情で尋ねる。

 ルクシアは少し目を伏せ、言葉を慎重に選んだ。


「その敵の技術力は非常に高度で、個々の惑星の力だけでは到底対抗できないものでした。最初は各星が孤立して防衛を試みましたが、ほとんどの惑星が圧倒され、各地で壊滅的な被害を受けました。しかし、技術を共有していた星々はそこで一致団結し、共通の防衛機構として『恒星防衛軍』を発足させ、連携しながら脅威に立ち向かったのです」


 そしてルクシアは少し悲しそうに、当時の出来事をさらに語り始めた。


「ですが、約6千年前、この惑星にバステオン・アークが拠点を築いた後、私たちの母星との通信が途絶えました。それ以来、本星との連絡は完全に断たれ、以降の状況も、私たちには知るすべがありません。またその際にマスターユニットも失ってしまい、休眠状態となりました」


 今、彼らの足元にあるバステオン・アークが、かつて遠い過去の戦いで重要な拠点として活躍し、いくつもの星を守るために築かれた防衛艦であることを実感していた。


 ルクシアの説明が一通り終わり、隼人たちは改めてバステオン・アークの規模と可能性に圧倒されていた。ルクシアは全員を見渡し、軽く一礼して締めくくった。


「これで艦の概要説明は以上です。また何かご質問がございましたら、どうぞお気軽にお尋ねください」


 隼人たちはそれぞれ頷き、少しホッとした表情を浮かべた。

 するとルクシアはふと何かを思い出したかのように隼人に向き直る。


「それから、ハヤト様のためにご用意していたバックパックが完成しております。お伝えした通り、武器庫にて装備の引き渡しを行いますので、どうかこちらへお越しください。フロリア、ハヤト様のご案内をお願いいたします」


 フロリアは微笑みを浮かべて隼人たちの前に立ち、優雅に頭を下げた。


「ハヤト様、こちらへどうぞ」


 隼人は「了解」と一言返すと、フロリアの案内に従い、武器庫へ向かって歩き出した。

 ノアとリーシャもその様子を見守りながら、どんな装備が隼人に提供されるのかと興味津々だった。

 フロリアの案内でターボリフトに乗り込んだ隼人。

 フロリアが壁のパネルに軽く触れて指示を入力すると、機械音が静かに響いた。


「4番デッキへ」


 その言葉とともに、ターボリフトが滑らかに動き始めた。

 しばらくするとターボリフトが到着し、扉がゆっくりと開いた。

 フロリアは隼人を先導しながら4番デッキの一角にある武器庫へと向かう。


「こちらがバステオン・アークの武器庫です」とフロリアが案内する先には、広々とした部屋が広がり、壁一面に兵器が整然と陳列されていた。

 精密な造りの武器から、見たことのない形状のものまで、さまざまな兵器が並んでいる光景に隼人は息をのんだ。


「……すごいな」 隼人は思わず声を漏らした。


 武器庫はまるで小さな兵器博物館のようで、そのどれもが長い歴史と高度な技術を物語っているようだった。

 隼人は1つ1つの兵器を興味深そうに見回しながら、ここでどんな装備が自分に提供されるのか期待を胸に抱いていた。


 隼人はフロリアの案内で、武器庫の奥深くへと足を進めていった。

 やがて、大型のロッカーのような設備が静かに佇んでいるのが見えた。

 威圧感すら感じるそのロッカーの側面に、フロリアが手を添えると、低い機械音が響き渡り、金属が滑らかに動き出した。


 ゆっくりと展開していくロッカーの中から姿を現したのは、隼人専用に設計されたバックパックだった。

 光を反射する黒い外装に、幾何学的なラインが走り、機能美を感じさせるデザイン。

 下部には推力を発生させる噴出孔が複数配置され、戦闘や高速移動を支えるための装備であることが一目でわかる。


「これが……俺用のバックパックか」


  隼人は感嘆の声を漏らしながら、隅々まで目を配った。

 各部に埋め込まれた機械部品が、隠し切れない先進技術の気配を漂わせている。


 フロリアはバックパックを見つめる隼人に微笑みかけ、柔らかい声で促した。


「ハヤト様、こちらを装着いたします。バックパックに背を向けて立っていただけますか?」


 隼人は一瞬だけ目を細めてバックパックを見つめ、ゆっくりと頷いた。

 そして、フロリアの指示に従い、しっかりと背を向けて立つ。

 隼人の体がバックパックに近づくと、まるで装着の準備が整ったかのように、バックパックがわずかに展開し、両肩のあたりに固定具が自動的に伸びた。


 フロリアは彼の背後で軽やかな指示を出しながら、微調整を施していく。


「ハヤト様、この装備は移動中の安定性を高め、推力の方向を自由に調整できる機能も備えています。装着が完了しましたら、使い方についても詳しくご説明いたしますね」


 隼人は微かな緊張と共に、自分の背に装着されるバックパックの重厚さを感じ、戦闘や移動の新たな可能性が広がっていく感覚に内心の興奮を覚え始めていた。

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