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スキャン結果

 隼人がポッドに収まると、周囲のモニターに緑色の光が走り、ポッド内部が静かに振動を始めた。

 ルクシアが操作盤を操作しだすと、彼の内部構造のスキャンがゆっくりと開始され、モニターには進捗と共に一部のデータが浮かび上がってくる。


 スキャン開始……

 

 《進捗 10%》

 表層データ確認中……


 しばらくして、ルクシアが興味深そうにモニターを見つめ、考え込むように呟いた。


「ハヤト様の外見構造はほぼ完全に“人間”と同様ですね。表面の組成データからは、人工的な物質を全く検出していません。まるで生体組織で形成されているかのように……」


 フロリアもモニターに目を向け、眉をひそめた。


「これは、通常の機動兵器とは異なる意図で作られているようですね……ハヤト様がこうも“人間”に見える理由が少し理解できました」


 《進捗 20%》

 表層組成の解析完了。


 スキャンがさらに進行すると、モニターには隼人の体内の筋組織に関する詳細なデータが次々と表示され始めた。

 緑色のラインが彼の筋組織を走査し、解析が進むたびに微細な構造まで浮き上がってくる。


 《進捗 30%》

 筋組織解析中……


 ルクシアが集中した表情でモニターを見つめていると、解析データが次々と表示された。


 《解析データ》


 筋組織:有り

 生体組織に極めて近い構造を持ち、伸縮や柔軟性も人間の筋組織と同様

 一部、未知の繊維状物質が組み込まれており、特殊な力学反応が確認される

 ルクシアはそのデータに見入りながら、思わず感嘆の声を漏らした。


「ハヤト様の筋組織も、ほぼ“人間”と変わりありません。しかし……この未知の繊維状物質が非常に興味深いですね。特殊な耐久力を持たせているのかもしれません」


 《進捗 40%》

 筋組織の解析完了


 スキャンはさらに深部へと進行し、モニターには隼人の骨格に関する情報が浮かび上がり始めた。

 ポッド内の振動が少し強まり、隼人の骨格組織が緻密に解析されていく。


 《進捗 50%》

 骨格組織の解析中……


 しばらくすると、骨格に関する詳細なデータがモニターに表示され始める。

 ルクシアは画面に目を凝らし、まるで興味を抑えきれないかのようにそのデータを読み取っていった。


 《解析データ》


 骨格組織:強化骨格構造を含む

 高密度の繊維と特殊金属が組み込まれた骨格組織

 通常の骨格と見分けがつかないように外観がカモフラージュされているが、耐久性と弾力性が飛躍的に強化されている

 

 ルクシアはモニターに見入ったまま、少し興奮気味に口を開いた。


「ハヤト様の骨格は、驚くべき耐久性を持っています。高密度の金属繊維が組み込まれているのに、外からはまるで普通の骨のように見えるように設計されていますね……これは非常に高度なカモフラージュ技術です」


 《進捗 60%》

 骨格組織の解析完了


 スキャンがさらに奥深く進み、ポッド内部が静かに光を放ちながら隼人の内臓組織へと解析が進んでいく。

 隼人の体内で起動するスキャンは、まるで人体そのものを研究するように詳細に進行していた。


 《進捗 70%》

 内臓組織の解析中……


 モニターには内臓組織のデータが次々と表示され、ルクシアの目がさらに輝きを増していく。


 《解析データ》


 内臓組織:擬似的な構造を確認

 一部の機能は正常な内臓の役割を果たすが、大部分は機械的な補助装置

 酸素供給や栄養分吸収のシステムが組み込まれているが、実際の機能は限定的

 一部はエネルギー変換装置として稼働

 

 ルクシアはその解析結果を食い入るように見つめ、さらに深い考察を口にした。


「ハヤト様の内臓組織もまた興味深いですね。一見すると人間と同じ機能を持っているように見えますが、その多くは機械的な補助で構成されています。酸素や栄養分の供給も限定的に行われているようですが、実際の機能としてはエネルギー変換装置の方がメインの役割を担っているようです」


 《進捗 80%》

 内臓組織の解析完了

 

 《進捗 90%》

 神経系および感覚器官の解析に移行中……


 スキャンは次に、隼人の神経系と感覚器官へと進んでいった。

 ポッド内で静かに流れるエネルギーが隼人の頭部と神経ネットワークを照らし出し、モニターには脳を中心とした複雑な神経回路の映像が映し出される。


 《解析データ》


 神経系:高感度の機械的構造を確認

 人間の神経系と同等の感覚を再現するために、繊細なセンサーが組み込まれている

 一部の神経回路は自動修復機能を持ち、損傷時にも迅速に復元

 感覚器官:機械的感覚増強機能を確認

 視覚、聴覚の範囲と精度が通常の人間を超えるレベルで拡張

 触覚や痛覚も擬似的に再現され、極めて人間に近い感覚機能を持つ

 

 ルクシアは解析結果を読み取り、口元に微かな笑みを浮かべた。


「ハヤト様の神経系と感覚器官は、想像以上に精密ですね。痛覚まで擬似的に再現されているのも、限りなく人間に近い感覚を再現しようとした意図でしょうか……特に視覚や聴覚の精度は人間以上の範囲を持っています」


 《進捗 100%》

 スキャン完了。総合データ解析中……


 ポッド内での振動が収まり、モニターには「スキャン完了」のメッセージが静かに表示された。

 隼人の全身にわたる構造と機能の解析が終了し、ルクシアはそのデータの一覧を確認していた。

 モニターには彼の身体の内部構造が映し出され、彼女は驚きと興味を隠しきれずに解説を続けた。


 《システムログ》

 進捗 100%……スキャン完了

 総合データ解析中


 《総合解析結果》


 外見・表層組成:人間と同等の構造を持ち、偽装が高度に施されている

 骨格:高密度金属繊維を組み込んだ強化構造

 内臓組織:機械的補助を主体とし、エネルギー変換装置を含む

 神経系:高感度センサーを組み込み、視覚や聴覚を超感覚レベルで強化

 総合評価:外見上は完全に人間を再現。内部構造は機動兵器として設計されているが、稼働機能の一部が未完成であり、限られた範囲でのみ機能可能

 

 ルクシアはデータを読み込みながら、ポッドに収まる隼人へと向き直った。

 口調には静かな感嘆がこもっている。


「ハヤト様、今回のスキャン結果から……あなたの身体は極めて高度に設計されていることが判明しました。外見は完全に人間と変わりませんが、その内部は機械的構造によって構成され、未完成ながらも機動兵器としての稼働が可能です」


 フロリアも画面に視線を落とし、データを確認しながら小さく頷いた。


「ただ、どうやらこの状態では完全な稼働には至らないようです。つまり、ハヤト様は……現在の状態では、機能の全てを発揮できていないということですね」


 隼人は静かにポッドから降りると、彼女たちの説明を真剣な表情で受け止めた。


「……なるほど。だから自分の力が限られていると感じていたのか」


 ルクシアは隼人を見つめ、真摯な口調で問いかけた。


「ハヤト様、この情報をもとにさらなる解析や機能の再調整が必要な場合、私たちがサポートいたしましょう。今の状態から強化させるために何らかの対応も考えられますが、いかがなさいますか?」


 隼人はその言葉にしばらく考え込み、スキャンの結果を受けて、今後どのようなサポートが可能なのかを真剣に考え始めていた。

 自分の体の構造や機能について新たに理解したことで、いくつかの疑問が湧き上がる。


 隼人はルクシアに向き直り、静かに問いかけた。


「ルクシア、俺の身体のことが分かってきたのはいいんだが、これからどんなサポートができるんだろうか?正直、自分でも全ての機能を使いこなせているか分からなくてな」


 ルクシアは隼人の問いにしばらく考え込むようにしてから、小さく頷き、冷静に答えた。


「ハヤト様の基本的な機能はかなり高度ですが、少しでも改善や補強が可能であれば、こちらで対応したいと考えています。現在、ハヤト様に搭載されている機能として、例えば……他に何かご存じのものはございますか?」


 隼人は少しの間、考えを巡らせた後、自分の持つ機能について順に話し始めた。


「今分かっている範囲だと、右腕にライフルが搭載されている。それから、一定回数バリアを展開できるのと、地上にいる限りは衛星からの支援機能も使える。そして、光学迷彩で透明化もできるんだ」


 ルクシアは隼人の説明に目を輝かせ、興味深そうにデータを確認していた。

 数秒の沈黙の後、彼女の瞳に鋭い光が宿り、新たな提案を思いついたかのように口を開いた。


「……ハヤト様、それだけの機能をお持ちなら、さらなる機動力を追加するのも有効かもしれません。例えば、短時間空を飛ぶ装備があれば、より自由な立ち回りができるでしょう」


 隼人はその提案に驚き、彼女を見つめた。


「空を飛ぶって……そんなことができるのか?」


 ルクシアは虫型機動兵器の設計図を呼び出し、モニターに映し出して説明を続けた。


「虫型機動兵器はフォトンエネルギーを使って空中飛行しています。この装備を改造し、ハヤト様用のバックパックとして設計できれば、短時間の飛行が可能になります」


 隼人はその説明に聞き入りながら、心の中で次の戦闘における新たな戦略を想像し始めた。

 フロリアは隼人に向けて微笑みを浮かべながら、改めて説明を続けた。


「ハヤト様、バックパックの改造には少々時間がかかります。この装備の調整には、ハヤト様の身体データをもとに安全性と耐久性の確認を行う必要がありますので、今しばらくお待ちいただけますか」


 隼人はそれに理解を示し、軽く頷いた。


「もちろん、焦らずにじっくりと頼むよ」


 その後、フロリアがさらに穏やかな表情で続けた。


「ハヤト様のノア様とご友人の方々は、現在指令室でお待ちいただいております。装備が完成するまでしばらく時間がありますので、一度そちらでお仲間と合流されてはいかがでしょうか」


 フロリアの提案を受け、隼人は再び指令室へ戻ることにした。

 ノアのことが気がかりな彼にとって、仲間たちの様子も気になるところだ。

 指令室の扉が静かに開くと、そこにはリーシャ、ノア、エディ、フィオナが待っていた。


「隼人!無事だったか?」とエディが明るく声をかけると、ノアもどこか安心した表情を浮かべていた。


 隼人は仲間たちと合流し、彼らの視線を受けながら、これまでの経緯を簡単に説明した。

 仲間たちもそれぞれの考えを巡らせつつ、次の行動に備えるのだった。

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