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神々の策略

 ここは天界の中央にそびえる荘厳な大殿堂。

 静寂を湛えたその空間は、澄んだ光で満たされ、あらゆる神々の影を受け入れてきた神聖な場だ。

 柱が並ぶ大広間の中央に、気まぐれな雰囲気を漂わせたアロハシャツの神が、厳格な装束を纏った神と向き合っていた。


 アロハシャツの神はリラックスした口調ながらも、目だけはしっかりと厳格な神を見据えている。

 にやりと笑みを浮かべながら、一歩近づいて問いかけた。


「アノサ~、ユー、ワタシノコトヲ……リサーチシタンダヨネ?メイビー~?」


 厳格な神は、その言葉に一瞬たじろいだが、すぐに表情を整え、何食わぬ顔で答える。


「なんのことだ?そなたが勝手に誤解しているだけではないか」


 だが、アロハシャツの神はじりじりと間合いを詰め、さらなる問いを投げかける。


「リアリーィ~?ユー、サッキ ノ “ゴタゴタ”ノコト……ナンニモノーノーッテイウワケ?」


 厳格な神はその問いに鋭い目を返し、少しだけ言葉を強めた。


「当然だ。その件に関して、私が手を出すことなどありえぬ」


 アロハシャツの神はにやりと笑みを深め、さらに低い声でじりじりと詰め寄る。


「ストレンジダナ~。ユアスタッフ タチ、ディスカッションシテタッテ、キイタケドナァ~」


 その時、奥から柔らかな銀の光を纏った神が穏やかに現れ、場を和らげるように割って入った。

 この神は純白の長衣に身を包み、いつも他の神々の間に立って仲裁に入ることで知られている存在だった。

 穏やかな声でアロハシャツの神に話しかける。


「まあ、そう迫るでない、アロハよ」


 アロハシャツの神は肩をすくめながらも、若干不満げに口をとがらせて少し距離を取った。

 一方、厳格な神は微かにほっとした表情を浮かべつつも、目だけは鋭く、アロハシャツの神を注視している。


 穏やかな神は二人を交互に見つめ、静かに微笑んだ。


「疑いあっては、神々も乱れよう。こうして互いを認め合うことが、天界の秩序を守るために必要なのだ」

 

 天界の中央に立つ荘厳な大殿堂。その静寂を破り、健やかな神の穏やかな声が響く。


 その言葉に対し、アロハシャツの神はゆるく肩をすくめてみせたが、その表情にはどこか納得していない様子が見て取れる。


「フム~、ソレ、ワカラナイワケジャナイヨ~。バット、オールシークレット デイケルノカナ?」

 

 言葉に含みを持たせたアロハシャツの神は、厳格な神ににじり寄り、鋭い目を向けて問いかけた。


「ソウイエバ~、ワタシガオクッタ テンセイシャ、リサーチサレテタヨネ~?"ヘルプ"シタンダヨネ?」


 厳格な神はその言葉に一瞬、眉をひそめたが、すぐに毅然とした口調で応じた。


「ああ、衛星を提供したな」


 その一言には堂々とした威厳が宿り、他の神々に対しても確固たる存在であることを示していた。

 しかし、アロハシャツの神はまだ問いを終えていなかった。


「オーケー、ソレダケ?ホカニモ、サポート シタノカナ~?」


 アロハシャツの神の目が厳格な神を見据え、さらに問いかける。

 厳格な神は薄い笑みを浮かべ、何かを含んだ目で静かに応じた。


「いや、お前が送った転生者にはそれ以外は手を貸していない」


 厳格な神の声には、意味ありげな余韻が込められていた。

 その余韻を感じ取ったアロハシャツの神は、少し目を細め、さらに深く探るような視線を向ける。

 二人の間には一瞬、沈黙が流れ、緊迫した空気が大殿堂に満ちていた。


 穏やかな神は二人を交互に見つめ、その間に静かに割って入った。


「さて、このようなすれ違いを抱えたままでは、天界の調和を乱すだけ。互いに信頼を持ち、天界を見守っていくことが肝要ではないか」


 アロハシャツの神はため息をつきながらも、最後に厳格な神へ軽く視線を送り、口元に含み笑いを浮かべて小さく呟いた。


「アンダスタンド~、キヲツケテヨネ、ユア スタッフ……インテリジェント ダカラネ」


 そして、アロハシャツの神は軽やかに踵を返し、去っていく。

 厳格な神はその一言を受けても表情を変えず、ただ静かにアロハシャツの神を見返していた。


 ――


 アロハシャツの神が去り、大殿堂に再び静寂が訪れた。

 残った穏やかな神と厳格な神は、互いに視線を交わすことなく、ゆっくりとその場を離れ始めた。

 荘厳な柱の列の間を歩きながら、穏やかな神が静かに切り出した。


「……支援用機動兵器が、再び起動したようだ」


 その報告に、厳格な神の瞳がわずかに鋭さを増す。

 しばしの沈黙の後、彼は重々しく口を開いた。


「予定通りか」


 厳格な神の声には揺るぎない確信が宿っていた。

 穏やかな神は小さく頷き、どこか遠くを見つめるような眼差しを大殿堂の奥へ向けた。


「ええ。起動の兆候は先日から確認されていました。周囲の変化、特に転生者の存在が影響を与えたと推測されます」


 厳格な神はその言葉に深く頷き、重々しく歩みを進めた。

 その目には、遥か先にまで見通すような深い思索の色が浮かんでいる。


「全ては計画の一環だ。だが、転生者が予期せぬ変化をもたらす可能性もある。秩序の維持に影響を及ぼさぬよう、進行状況を慎重に見守る必要があるな」


 穏やかな神は厳格な神の横顔を見つめ、少しの間を置いてから静かに言葉を返した。


「転生者が導く運命は未知数ゆえに、時には混沌を伴うものです。しかし、あなたの判断があれば、いかなる変化も天界の秩序を揺るがすことはないでしょう」


 厳格な神は微かに笑みを浮かべ、わずかに目を細めた。


「ふむ、そうだな。ならば引き続き監視を怠るな。私の計画に支障をきたすことがないよう、徹底的にだ」


 二人の神は、再び深い静寂の中を進み、やがて姿を暗がりに溶け込ませるように消えていった。


――

 

 厳格な神と穏やかな神が大殿堂の静寂に溶け込むように歩み去る中、巨大な柱の影にこっそりと身を潜め、耳をそばだてていた姿があった。

 誰にも気づかれることなく、アロハシャツの神は二人の会話を聞き終えると、顔にいたずらな笑みを浮かべて、そっと呟いた。


「へぇ~、なんとなく分かってたけど、やっぱりそうなんだねぇ……」


 そして、少し低い声で自分に言い聞かせるように続けた。


「あんた達、面白いことしてくれるじゃない……もう少し、眺めていようかな」


 彼の目には興味深そうな光が宿り、口元には不敵な笑みが浮かんでいた。

 アロハシャツの神は軽やかな足取りで再び物陰に身を隠し、天界の秩序に揺らぎをもたらす機会を楽しむようにその場を去った。

 

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