母を訪ねて再び旅へ
隼人たちは数日間の準備を終え、ついに王都へ向かうことを決意した。
必要な物資や装備も揃え、朝早く宿を出発する。
静かな街を後に彼らはこれからの冒険に思いを馳せながら、一歩ずつ道を進んでいた。
「ここまで来たら、あとは王都を目指すだけね」
リーシャが肩の荷物を調整しながら、少しワクワクした様子で言った。
「そうだな。でもその前に、ノアの母親がいる町に寄る予定だろ?」
隼人が笑いながら言葉を返す。
「うん。少しだけ寄るつもりだけど、母さんに会うのは久しぶりだから、楽しみでもあるの」
ノアが控えめに微笑みながら言った。
王都に向かう前に、まずは道中の町で休憩を兼ねて、ノアの母親に会いに行くことを計画している。
旅の長さも考慮しつつ、隼人たちはその町を目指して足を進めていった。
「王都までの道のりは長いけど、まずは無事にその町に着くことが大事だな」
隼人が地図を確認しながら言う。
「そうね。それに、町に着いたら少し休憩もできるし、旅の途中に寄り道ができるのもいいわ」
リーシャも穏やかに微笑む。
道中は静かで、自然の風景が広がっていた。
隼人たちは、王都を目指す前にまずノアの母親が滞在している町へ向かっている。
日が高く昇るにつれて道は少しずつ険しくなり、風景も広がり始めるが、町まではまだ距離がある。
しばらく歩いていたところ、隼人がノアに話しかけた。
「ところで、ノアの母親がいる町ってどんなところなんだ?俺たちが今向かってる町について、少し教えてくれよ」
ノアは考え込みながら応じる。
「そうね……母さんがいる町は結構大きいわよ。農業や商業が盛んで、周りの村や集落からも人が集まる場所なの。市場も賑やかで、商人たちがよく集まるのよ」
「へえ、そんなに活気のある町なんだな。ノアと知り合ったエルズ村とは随分違う感じがする」
隼人は、エルズ村のイメージを思い浮かべた。
「そうかもね。エルズ村とは違って、母さんの家も少し大きめで立派な造りなのよ。母さんは昔から商人たちとの付き合いが多いから、そういう繋がりもあって、町の中でも少し目立つ家に住んでいるの」
リーシャがその話に興味を持ち、横から口を挟んだ。
「お母さんの家が大きいって、ちょっと意外ね。商人たちとの付き合いが多いってことは、母さんも結構活動的な人なのかしら?」
ノアは少し照れくさそうに笑いながら答えた。
「そうね、母さんは社交的な人よ。特に市場に行けば、商人たちといつも話してるの。私が小さい頃も一緒に里帰りした時、よく市場でいろんな人と話していたのを覚えてるわ」
「へえ、面白そうな場所だな。俺たちもその市場を覗いてみるのが楽しみになってきた」
隼人は笑いながら、ノアの話に耳を傾けた。
道は徐々に険しくなってきたが、彼らはゆっくりと足を進めていた。
まだ町までの道のりは遠いが、話をしながら進むことで、彼らは少しずつその道を乗り越えていく。
「町まではまだ少し距離があるけど、休憩を挟みながら進めば大丈夫よ。母さんには町を出る前に何日ぐらいで着くか手紙で知らせているから、ゆっくりでもしっかりと進んでいきましょう」
ノアが笑顔で励ましの言葉をかける。
「よし、じゃあもう少し進もうか。町に着いたらしっかり休んで、それからお母さんに挨拶するのが楽しみだな」
隼人はリュックを軽く背負い直して、再び歩き始めた。
数時間後、隼人たちはノアの母親が滞在している町を目指し、山道を慎重に進んでいる。
険しい道の中、彼らは周囲の静けさに不安を覚えながらも、注意深く歩みを進めていた。
ふと、違和感を感じる。
足元に不快なぬるりとした感触が伝わり、隼人は思わず足を止めた。
「これは……何だ?」
隼人は驚いた表情で足元の半透明な緑色の塊を見つめた。
リーシャがすぐに確認し、魔獣であることを教えてくれた。
「それはスライムよ!雑魚モンスターだけど、数が多いから油断すると厄介よ!」
スライムは音も立てずにゆっくりと隼人たちに近づいてきていた。
動きは遅いが、その数は多く、包囲しようとしている。
隼人は少し戸惑いながらも、右腕をライフルに変形させ、一発を放った。
スライムの一体が飛び散り、地面に広がった。
「なるほど、こうやって片付けるんだな でも、数が多いと面倒だな」
隼人がスライムの群れに目を向けながら言った。
「私も行くわ!」
リーシャは金槌を構え、力強く振り下ろしてスライムを一撃で粉砕した。
「私も加わるわ!」
ノアは弓を引き、スライムを正確に撃ち抜いていく。彼女の矢は次々と命中し、スライムたちは次々と崩れ落ちた。
戦闘が終わりかけたその時、上空から巨大な羽音が響き渡った。
見上げると、何匹もの巨大な昆虫が彼らに向かって飛んできた。
「ハチか……?」
隼人が空を見上げながら、戸惑ったように尋ねた。
ノアがすぐに答える。
「違うよ、あれはジャイアントホーネット。普通のハチよりずっと大きくて危険なやつ!」
隼人はライフルを構え直し、ジャイアントホーネットに狙いを定めた。
「あのサイズで飛んでくるんじゃ厄介だな」
隼人が言うと、ノアはすかさず弓を構えた。
「飛んでくる敵は私に任せて!」
ノアの矢は正確にホーネットの翼を撃ち抜き、一匹を地面に墜落させた。
リーシャがすかさず金槌でとどめを刺す。
「もう一匹来るぞ!」
隼人が叫び、ライフルで狙いを定め、ホーネットを撃ち落とした。
数分の激しい戦闘の末、彼らは無事にジャイアントホーネットを撃退した。
「なるほど……ジャイアントホーネットか。でかいし、飛んでくるとやっかいだな」
激しい戦闘が終わり、隼人たちは戦場となった場所に立ち尽くしながら、少し息を整えていた。
彼らはスライムやジャイアントホーネットの残骸を見渡し、次に行うべきことを考えていた。
「まずは魔石の回収だな……スライムやホーネットには魔石があるんだろう?」
隼人が周囲を確認しながら言った。
「そうね。とりあえず、損傷が少ないものから探してみましょう」
リーシャが言いながら、金槌を収め、スライムの残骸へと近づいた。
ノアもスライムの残骸を覗き込みながら、弓を背負い直して魔石を探し始める。
そして、スライムの体の中心部から小さな青白い光を放つ石を見つけた。
「こっちのスライムは無事に魔石が残ってるわ」
ノアは慎重にそれを取り出し、手のひらに乗せて見せた。
リーシャも別のスライムから、損傷の少ない魔石を発見し、無事に回収することができた。
「スライムの魔石ってこんな感じなんだな……意外と小さいな」
隼人が感心しながら言った。
しかし、隼人が倒したスライムの方に目を向けると、状況は少し違っていた。
彼がライフルで撃ったスライムは、激しく損傷しており、体のほとんどが吹き飛んでしまっていた。
「俺の方はちょっとやりすぎたみたいだ。魔石は……残ってないかもしれないな」
隼人が苦笑いしながら、スライムの残骸を調べたが、そこには魔石の欠片すら見当たらなかった。
「仕方ないわね、あれだけの威力で倒せば、魔石も壊れてしまったのかも」
リーシャが隼人の隣で状況を見ながら言った。
「そうだな……次はもう少し加減して倒せるようにするか」
隼人は反省しながらも、次回の戦闘に備えて気を引き締めた。
次に、ジャイアントホーネットの方にも目を向けた。
ホーネットはスライムほど損傷しておらず、隼人たちはその体内から比較的大きな魔石を取り出すことができた。
黄色く輝くホーネットの魔石は、スライムのものとはまた異なる不気味な輝きを放っている。
「こっちはジャイアントホーネットの魔石ね」
ノアが魔石を掲げて見せた。
「思ったより大きいな……ジャイアントホーネットと言うくらいだし魔石も大きいのか」
隼人が興味深そうにそれを見つめた。
こうして、無事に魔石を回収した彼らは再び旅の準備を整え、次の目的地へ向かうための力を蓄えていた。




