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新機能:光学迷彩

 隼人はライフルの一撃でヴォルクハウンドを仕留めたことを確認すると、息を整えながらノアとリーシャの方に振り返った。


「やった……ヴォルクハウンドを撃破した」


 ノアは安堵の表情を浮かべ、リーシャも大きく息を吐いた。


 「よかった……本当にやったのね」


 リーシャはすぐにヴォルクハウンドの魔石を取り出すためにその身体に近づいた。

 ヴォルクハウンドの身体を調べながら、彼女は無事に魔石を見つけたが、取り出した魔石に違和感を感じた。


「これ……また、変な魔石よ。イノシシの時と同じように……」


 彼女が不安げに魔石を見つめると、それは不自然な色合いと形状をしており、普通の魔石とは違っていた。


「隼人、これを見て。何かおかしいわ」


 リーシャは魔石を隼人に手渡した。

 隼人が魔石を受け取った瞬間、彼のシステムが自動的に反応を示した。


 ――「エネルギー特性を確認……機能吸収が可能。自動吸収プロトコルを開始します」――


 隼人の手に持たれた魔石が、光を放ちながら彼の体内に吸収されていった。

 隼人は驚いたが、システムが自動的にプロセスを進めていることを感じた。


「……吸収してるのか?」


 光が消え、魔石が完全に隼人の体に取り込まれた後、システムが新しい能力を解析し始めた。


 ――「新たな能力を解析中……能力確認:光学迷彩」――

 ――「任意の部位を光学迷彩化可能。使用回数と持続時間に制限あり」――


 隼人は新たに得た能力の情報を受け取り、驚きと同時に、その可能性に気づいた。

 光学迷彩の力は、今後の戦いで大きな助けになるはずだ。


「……光学迷彩か。これは……」


 隼人は静かに自分の手を見つめ、次の戦いへの準備を心の中で整え始めた。


 隼人が魔石を吸収し、新たな能力を得た瞬間、リーシャとノアは驚愕の表情を浮かべた。

 リーシャは目を丸くし、手を口に当てながら隼人の様子を見つめていた。


「隼人……今、何が起こったの……?魔石を吸収したの?」


 ノアも同じように信じられない表情を浮かべ、隼人に近づいた。


 「そんなことが……魔石を体に吸収するなんて……」


 隼人は二人の驚きに気づき、肩をすくめて答えた。

 

「どうやら魔石を吸収してしまったみたいだ。俺も驚いてるけど、これで新しい能力を得たみたいだよ。『透明化』するらしい」


 リーシャは呆然としたまま、魔石が隼人の体内に消えていったことに納得がいかない様子で、「そんなことって……」と呟いた。


「でも、それってすごい力だよね……!」


 ノアは少し気を取り直したように言った。


 リーシャも冷静さを取り戻してうなずきつつ、「そうね、隼人がその力を持ってるなら、これからの戦いに役立つはず。でも……」と続けた。


 ふと、リーシャは前回のイノシシの魔石のことを思い出した。


「そういえば、前回のイノシシの魔石って、王族に献上されることになったんだよね……。もし今回の魔石も持っていってたら、さらに報酬がもらえたんじゃないかなー。ちょっと残念かも」


 ノアはその言葉を聞いてもあまり気にしていない様子で、隼人を見つめながら前向きに言った。


 「でも、隼人がどんどん強くなっていくのは良いことじゃない?きっと、これからもっと私たちを守ってくれるはずだし」


 隼人は微笑みながら、二人を安心させるように言った。


 「まあ、報酬は次の機会に期待しよう。今はこの新しい力をどう活かすかだ」


 リーシャも少し笑みを浮かべ、「そうだね、次の討伐でまた大きな報酬を狙えばいいかも」と冗談めかして言ったが、その後にこう続けた。


「それより、討伐対象の普通のヴォルクハウンドもまだ残ってるわよね。さあ、そっちも片付けに行こう!」


 ノアも頷いた。


 「うん、次は普通のヴォルクハウンドだね。隼人が強くなったことを証明するいいチャンスだよ!」


 隼人は二人の言葉を聞いて、笑顔を見せた。


「そうだな、これからが本番だ。行こう!」と、力強く答えた。


 透明化するヴォルクハウンドを撃破した後、静けさが戻った森の中。隼人たちはしばらく警戒していたが、新たな動きがあった。


「遠方に新しいヴォルクハウンドの反応がある……」


 隼人は衛星システムを使って周囲をスキャンし、遠方から複数のヴォルクハウンドが接近してくるのを確認した。


「でも、まだ距離があるな。ここで試す価値はありそうだ」


 隼人は考えを巡らせ、ふと新たに得た光学迷彩の力を試してみようと思いついた。

 彼はノアとリーシャの方に視線を向けた。


「ノア、リーシャ。敵はまだ遠い。ここで俺が新しい力を試してみる。少し待機してくれ」


 ノアが頷き、「うん、わかった。気をつけてね」と静かに答えた。

 リーシャも同じように、「安全第一でね」と言いながら隼人を見送った。


 隼人は光学迷彩の力を全身に展開し、視界に残り時間が表示された。


 ――「光学迷彩:使用開始……残り時間 5分」――


 隼人の体が周囲と同化し、まるで透明になったかのように見えなくなる。

 彼は息を潜めながら、慎重に足を運んでヴォルクハウンドの方へと接近していった。


「これが……光学迷彩の力か」


 隼人は驚くほどの静けさの中、素早く移動しながら周囲の警戒を怠らない。

 敵に気づかれることなく距離を詰めることができるこの力は、彼にとって非常に有効な武器となるはずだった。


「残り時間は5分……この短時間でどう動くかが鍵だ」


 ヴォルクハウンドがいる方角へとさらに慎重に進みながら、隼人は自身の新たな力に確信を抱いていた。


 隼人は光学迷彩の力を使いながら、慎重にヴォルクハウンドがいる方角へと近づいていった。

 森の静けさの中、彼の足音や動きは完全に消え去り、姿さえも風景に溶け込んでいる。

 光学迷彩の効果は抜群だった。


「あと少し……」


 隼人は視界に表示された残り時間を確認しながら、周囲を警戒し続けた。

 残り時間は4分を切っている。焦ることなく、じっくりと敵に接近し、隠密行動を徹底した。


 やがて、木々の合間にヴォルクハウンドたちの姿が見え始めた。

 彼らは群れを成して移動しており、遠くにある彼らの姿は一見無防備に見えたが、警戒を怠ることはできない。

 いつ襲撃されるかわからない緊張感が漂っていた。


「群れ……予想よりも多いか」


 隼人はひとまずその場で様子を伺い、目立たない場所から群れの動きを観察した。

 ヴォルクハウンドの数は想像以上に多く、彼一人で挑むには少し厄介だった。

 光学迷彩の効果があるとはいえ、無謀な戦いは避けなければならない。


「この数をどうするか……」


 隼人は瞬時に作戦を考えながら、視界の中に表示される残り時間がさらに少なくなっていくのを確認した。もう3分を切っていた。


「ノアとリーシャがいる場所まで戻るのも手か……いや、まずは一匹を先に倒して数を減らすか」


 隼人は迷いながらも、目の前の群れの中で動きの遅い個体に目をつけた。

 今の状況で最も安全に攻撃できるタイミングを見極める。残り時間が少ない中で、素早く敵を仕留めるための準備を整えた。


「光学迷彩が解除される前に……」


 隼人は息を潜め、ライフルを構えた。

 音もなく狙いを定め、慎重に引き金を引こうとしたその瞬間、ヴォルクハウンドの一匹が突然振り向き、鋭い目でこちらの方向を見た。


「……気づかれたか?」


 光学迷彩が解ける前に行動を起こすしかなかった。

 隼人は一気にライフルの引き金を引いた。


 隼人がライフルの引き金を引くと、銃声が静寂を破り、ヴォルクハウンドの一匹が倒れ込んだ。

 獣の断末魔が森に響き渡るが、隼人はすぐに次の標的に狙いを定めた。


「ここからは一気にいく」


 隼人は光学迷彩の力を最大限に活かし、次のヴォルクハウンドに向かって静かに接近する。

 残りの時間2分を切っていたが、敵に気づかれることなく、複数を倒す作戦を心に決めた。


 群れの中で、他のヴォルクハウンドたちが一瞬の静けさに警戒し、動きを止めている。

 隼人はその一瞬の隙を見逃さなかった。ライフルを再び構え、別の個体の頭部に照準を合わせる。


「次はお前だ……!」


 ――ドン!


 狙いは正確で、再び銃声が響いた。

 ヴォルクハウンドが地面に倒れ、他の個体たちがようやく隼人の存在に気づき始めた。

 しかし、その時には既に隼人は別の場所に移動していた。


 光学迷彩の恩恵で、敵は隼人の姿を完全に見失っていた。

 ヴォルクハウンドたちは混乱し、仲間の倒れる音に驚き、バラバラに動き出した。


「今がチャンスだ」


 隼人は三匹目のヴォルクハウンドに向かって急接近した。

 敵がこちらに気づく前に、彼は素早く動き、ライフルを構えたまま無音で接近する。

 そして、至近距離から銃口を向け、引き金を引いた。


 ――ドン!


 三匹目も倒れた。

 隼人は自分の力が増しているのを実感しつつ、さらに動きを続けた。

 残りのヴォルクハウンドたちは、恐怖に怯えながら森の中を逃げ回っている。


「……まだ時間はある」


 隼人は光学迷彩を活かして、ヴォルクハウンドからできる限り距離を取ることに集中していた。

 彼の姿は完全に消え去り、獣たちの目には隼人がどこにいるのか見えていなかった。


 ――「光学迷彩:残り時間 1分30秒」――


「もう少しだ……ここで距離を稼ぐしかない」


 隼人は近くの森へ移動し、ヴォルクハウンドたちの視界から完全に外れた位置まで進んだ。

 彼は慎重に木々の間をすり抜け、姿が見える前にできるだけ離れることを優先した。


 しかし、視界の隅に表示される残り時間は少しずつ減っていた。隼人は時間との戦いを続けながら、今後の動きを考えていた。


 ――「光学迷彩:残り時間 30秒」――


「そろそろだな……一旦、ここで解除される」


 隼人はさらに進んだところで、徐々に光学迷彩の効果が薄れていくのを感じた。

 彼の体は再び姿を現し、隠密行動が終了する瞬間が訪れた。


 ――「光学迷彩解除」――


 隼人はその場で立ち止まり、全身が再び元の姿に戻った。

 光学迷彩の効果が切れたことを確認しつつも、周囲に潜むヴォルクハウンドたちの気配を感じ取っていた。


「敵は……まだ見えてないか?」


 彼が確認する間もなく、遠くでヴォルクハウンドたちの気配が急速に近づいてきた。

 数匹が隼人の方に向かってくるのがわかる。敵は彼の存在に気づき始めていた。


「まずいな……近いぞ」


 すぐに連携して動き始めたヴォルクハウンドたちは、狡猾な動きで隼人を包囲し始めた。

 獣たちの素早い動きに対し、隼人も素早く防御体勢を取った。


「これを避けきれるか……!」


 一瞬の隙を突かれて、数匹のヴォルクハウンドが一斉に襲いかかってきた。

 隼人は避けようとするが、その速さと数の多さに圧倒され、回避しきれなかった。


 その時、防御システムが自動で作動し、バリアが展開された。


 ――「防御システム起動中……バリア展開」――


 ヴォルクハウンドの爪がバリアに当たり、激しい音を立てて弾かれた。

 驚いた獣たちは一瞬、攻撃を止めて引いた。

 隼人はその一瞬の隙を見逃さず、素早く反撃に出た。


「今だ!」


 隼人はライフルを構え、ヴォルクハウンドに向けて正確な一撃を放った。

 弾丸が命中し、獣たちが次々に倒れていく。

 全てのヴォルクハウンドを撃破し、森は再び静寂に包まれた。


「これで……終わりか」


 隼人は息を整えながら、敵を倒したことを確認し、防御システムの作動にも感謝しつつ、次の戦いに備えた。

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