第1話 ~世界の終わり~
「おーい、ナーハ~~~、サボってねぇで薪運ぶの手伝ってくれよ~~~。」
「あ、ごめんごめん~、今行くよ~~~。」
夕暮れ。うたた寝をしていたら兄が僕に声をかける。
夕飯の魚を釣っている父さんが帰ってくる前に必要な分の薪を集めなくては。
「気を付けてもてよ。木のささくれに刺さるといてぇぞ~~。」
「わかってるよ!子供じゃないんだから。」
「そうかそうか、ナーハももう大人だもんな。」
今年で15。ここ帝都ニアライズではもう立派な大人だ。子供じゃないんだからそんなへましないよ。
「今日は何匹釣ってくるかな?いっぱい釣ってきたらいいなぁ。」
「家族みんなで仲良く分けあって食べるんだぞ。」
「そういって兄ちゃんはいつも1匹多く食べてるじゃん!わかってんだからね!」
「ありゃ、バレてたか~。ま、いつものことだろ?」
「も~~今日は僕がもう1匹もらうよ!」
「お、じゃあ先にこの薪を運んだ方がたくさん食えるってことで、おっさき~~。」
「あ、ずるい!まってよ~。」
都心から離れた田舎の村だからなにかと不便。街まで片道3時間もかかるからあまり頻繁に買い物には行けない。
そのため食料や水は自分たちで確保する必要がある。
正直大変だけど自然の中を生きるって割と楽しいし、ほかの村の人もみんな優しい。
昔は都心に住んでいたらしいけど僕が生まれた時にはもうこの村に住んでいた。
なんでこんなとこに来たんだろ?
たしかに悪くない生活だけど都心に住んだ方がいろいろ便利じゃない?
「おーい置いてくぞ~~~。」
「あ、待って~~~!」
まぁそれでもここでの生活はやっぱり楽しい。
優しい村人たちに大切な家族。
何気ないこの生活も僕にとっては宝物だ。
そんな生活が明日も明後日も続くと思っていた。
ずっとずっと、幸せに。
ゴロゴロゴロ、ピカッ!
「なんだ?雷か?」
「もう~待ってって言ってるのに~!どうしたの?急に立ち止まって?」
「いや、なんでもな、ナーハ、危ない!!!!」
「えっ、」
瞬間、雷が木々を割いていった。
瞬間、竜巻があまねく地表を荒らしていった。
瞬間、大洪水が地表のすべてを流し去った。
瞬間、兄が……
「ひぃ疲れた~。」
「ついに始まったか。」
「そうみたいね。心が痛むわ。」
「仕方がないだろう。これも世界を護るためだ。」
「やっと務めが果たせるのね。」
「我も準備を急がなくてはな。」
「…………。」
「あたし面倒なんだけど~~~?」
「そういうな。これで約束を果たせるというものだ。」
「そうよ。ついに運命の鎖が動き始めたわ。」
「いいじゃねぇか、俺はワクワクするぜ。なぁ?叡智卿。」
「あぁ。余はこの戦いに全てをかけてきた。皆の者、己の務めを果たすよう。」
星の始まり。夢の終わり。繰り返す歴史の陰に潜むは再生への希望か、それとも終焉への絶望か。すべての終わりから始まったこの物語は泡沫の夢で支えられている。夢が潰えしとき世界は終焉へと歩み始める。この世界の命運を分けるのは星の子か、それとも創世の神々か。
終焉の運命に抗いし者たちの戦いが今始まる。




