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死神が僕にくれた幸福な運命  作者: 風乃あむり
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6


 そのあと、僕たちはひとしきり泣いた。


 やっと落ち着いた頃にはもちろん紅茶は冷めていた。そんなことですらおかしくて笑いながら、温め直した紅茶とチーズケーキで、おだやかな昼下がりを過ごした。


 やがて、お父さんが自分の部屋からアルバムを持ち出した。

 初めて見る、古い表紙。くすんだスカイブルーは、かつてはもっとあざやかだったんだろう。


「これは希美の遺品だ」


 お父さんは懐かしむようにその表紙を撫でる。


「優磨、見てみるか? 君の実のお父さんの写真もある」


 心臓が跳ねた。

 ずっと、顔も知らなかった実の父親が、ここにいるんだ。


 決定を僕に委ね、アルバムがテーブルに置かれる。


 僕は緊張しながらそのページをめくる。


「君の実の父親は……なんというか、少し個性的な男だったよ」


 その写真にたどりついて、僕は大きく天を仰いだ。のぞきこんだ涼乃も「あっ」と声をあげる。


 ――あぁ、やっぱり。


 鼻の奥がつんとした。枯れたはずの涙が、また瞳からあふれ出す。


 あの声が聞こえてくる。自分の胸の中から、そして、写真の中の父親から。


 ――さようなら、優磨くん。私ね、あなたのことを心から愛していましたよ。


 写真の中の父親は、変な髪型をしていた。

 まん丸で、もじゃもじゃで、鳥の巣みたいで。


 アフロだった。冴えない顔に全然似合わない、奇抜な髪型。


 僕はアルバムを閉じた。それを抱きしめる。ぎゅっと、力強く。この中に閉じ込められた、今は亡き人たちに僕の体温が届くように。


 ――変だと思ったんだ。「ずっと見守ってた」とか、「愛してる」とか言うから。


 最後に空色電車の中であいつの顔を見た時に、どこかで見た顔だと思った。その理由がやっと分かった。


 僕だ。あいつの顔、僕にそっくりなんだ。


 涙をぬぐう。


 なんだよ、死神じゃないじゃん、と文句を言ってやりたかった。父親なら、最初からそう言えよ。死神のフリなんかしやがって――。


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