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死神が僕にくれた幸福な運命  作者: 風乃あむり
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「それと、あの、本山たちは……?」


 お父さんがうなずく。


「彼の説明を聞いても事情がいまいち飲み込めなかったが、なんにせよ彼らは優磨に頼まれて道を塞いでくれたんだろう? 駆けつけた警察に『暴漢を逃さないように、通りを止めた』と説明したよ。それで一応納得してくれた」


 よかった。本山たちが厄介ごとに巻き込まれなくて。


「あと、トラックの事故とかはなかったですか……?」


「事故? なんでだ?」


 お父さんは眉をひそめた。


 一度目の僕を轢いたトラックがどうなったのか気になったけど……さすがに本当のことを説明するわけにもいかない。


「そういえば」


 杏奈が口を挟んだ。


「あの日、駒沢公園の近くで事故あったよ。塾で噂になってた。居眠り運転のトラックが道端の木に激突したって」


 きっとそれだ。そうか、あれは居眠り運転だったのか。どうりでブレーキも踏まずに突っ込んできたわけだ。


「優磨、なんでそんなことを知ってるの?」


 お母さんが心配そうに身を乗り出した。もう一度、脳の精密検査を受けた方がいいんじゃない? なんて言い出すので焦った。


「いや、違うんです、大丈夫。……ねぇ杏奈、その事故って……誰か亡くなったのかな?」


「ううん、樹が一本折れただけ。あんなに激しくぶつかって運転手も死なないなんて、エアバックってすごいねってみんな話してた」


 あぁ、それなら良かった。僕の代わりに誰か別の人が死ぬことにならなくて。


 安心すると、唐突に睡魔が襲ってきて、僕は大きくあくびをした。


 それでまたお母さんが心配しだす。


「ちょっと話が長くなりすぎたわ。看護師さんをよびましょう。それより、もう寝た方がいいかしら?」


 その声を聞きながら、僕はすでにうとうとしていた。ふわりとした感触がした。お母さんが毛布をかけ直してくれたんだ。


 なんだか幼い頃に戻ったみたい。山丘家に引き取られてすぐの頃の。あの頃もお母さんは僕のために毛布をかけてくれたんだ。


 僕はふっと力を抜く。体のふしぶしが痛んだけど、それは長く寝過ぎたせいかもしれない。それなのに、まだ眠いなんて。


「もう少し眠ろうかな……」


「うん、そうしなさい。ゆっくり休んで、はやく退院しよう」


 お父さんが笑う。


「退院したら、家族五人でもっと楽しく暮らせそうだな」


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