15
夜に沈みゆく駒沢通りを、僕は再び疾走していた。
――さぁ、今度こそ、二人で生きるためのルートを選び取るんです。
死神はそう言った。
そうだ、今度こそ僕は涼乃と生き残る。
けれど前回と変えられることが、僕には多く残されていない。
あのクソ野郎どもと出会ってから、僕が振る舞いを変えれば、何かが大きく違ってくるだろうか?
殴られることが分かってるぶん、うまく戦えるだろうか。
それで、運命が変えられるのか?
男たちを止められたとして、トラックは?
まとまらない考えに翻弄される僕のポケットで、スマホがぶるると震えた。
わかってる、本山だ。あいつのくだらないメッセージだ。そんなもの無視すればいい。もう黒猫に会わなくてもいいんだから。僕は行くべき場所を知っている。
その時不意に、荒坂先生ののんきな声が聞こえてきた。
――困難に立ち向かうなら、一人より、二人だ。
反射的に僕の手がスマホを引っつかんだ。自転車を漕ぎ続けながら、電話をかける。
『もしもし優磨? 俺のメッ』
「本山っ! 助けてくれ!!」
『はぁ? 優磨、どうし』
「駒沢通りだ!! 駒沢公園より少し手前……僕たちの中学校寄りの方! そこの通行を止めてくれ!!」
『はぁ!? 何言ってんだよ、駒沢通りを止める!? 意味わかんねーよ!! ていうかそんなことできるわけ』
「頼む! 僕の命がかかってるんだ……!!」
いのちぃ!? と本山の声が裏返る。
視界に駒沢公園の緑が飛びこんできた。もう到着してしまう。僕はスマホを投げ捨てた。
一般人が駒沢通りを止められるわけない、分かってる。賢都だってきっと僕の言うことなんて信じてくれない。ましてや警察を呼ぶなんて大げさなことを実行してくれるとは思えなかった。
でも。
もう僕一人じゃどうにもできないんだ。情けないけど、僕だけの力じゃ、涼乃と一緒に生き残るなんて不可能なんだ……!
駐車場にたどりつき、僕は自転車を放り出す。
さぁ、二度目のチャレンジだ。
何が起こるか分かってるんだ、なんとかしろ! 負けるんじゃない、山丘優磨!!




