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強烈な衝撃に跳ね起きた。
さっきまで空色電車で死神と話していたはずが、僕は自分の部屋のベッドの上にいる。
――時間を少し巻き戻しましょう。
死神の声が耳にこびりついていた。やけに生々しいその声音が、僕が現実にいることを思い知らせた。
生きてる。本当に。
死神は、また僕をこの世に送り返してくれたんだ。九年前のあの時のように。
あたりを見回す。
今はいつだ? ここは、どこだ?
時間を確かめようとスマホをつかみとる。
その画面に、涼乃からのメッセージ。
『なんかちょっとマズイかも』
逼迫した冷気を放つその言葉に、僕は盛大に歯を食いしばった。
――くそっ、ここかよ! ここからやり直すのか!
僕は記憶をたぐる。
前回、僕はこのメッセージを確認してすぐに走り出した。自転車で、全速力で。不思議な黒猫に導かれ、真っ直ぐ彼女のもとにたどりついた。
猶予はかけらもなかった。僕が少しでも遅れれば、彼女は簡単にあの車に押し込まれてしまうだろう。
もしくは、抵抗して時間を引き延ばしたとしても、あの暴走トラックが突っ込んでくるはずで。
『駒沢通り脇の駐車場だよね。すぐ行く』
涼乃の説明を待たずに僕は返信を送る。
そうだ、なにが起こるか分かってるだけ、僕にはアドバンテージがあるんだ。その有利をいかせ。頭を働かせるんだ!!
階段を駆け下りて玄関に向かう。そして、前回と同じように目の前でドアが開き――賢都が帰宅した。
「あっ!」
僕は叫んだ。賢都が思わず僕と目を合わせる。
――ここだ。
直感が僕を貫く。
変えるなら、ここしかない!
「賢都っ!!」
僕は彼の肩にすがった。必死の勢いで揺さぶる。
「頼む、警察をよんで!! 駒沢公園で女の子が襲われてるんだ!」
賢都は口をあんぐり開けた。突然話しかけられたことにも、その話の内容にも、どちらにも驚愕しているようだった。
でも、説明してる暇なんてない。
「お願い! バス停近くの駐車場だ! 昔みんなで行ったことがあるだろ!? 君しか、君しか頼る相手がいないんだ!!」
それだけ言い残し、僕は家を飛び出した。




