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こうして僕たちのかつての日常が帰ってきた。
朝の公園で会って、涼乃が朝食をとったら登校する――でも、一つだけ変えたことがあった。
「おっ! やっと仲直りしたのかよー!」
教室に入ると、一番に声を上げたのは本山だった。並んで登校してきた僕と涼乃に、ためらいなく近づいてくる。
そう、僕たちは二人で登校することにしたんだ。涼乃の恋人でいる罪悪感に震える必要も、死の恐怖に怯える必要もないんだから。
「ほんっとに心配してたんだからなー、お前らのこと」
本山はいつもの軽い調子で僕の背中を叩く。そして僕の耳元で話し出した。
「夏原さんに“優磨に告白したい”って相談された時は、漫画みたいに目が飛び出そうだったんだぜ。“お前ら付き合ってたやないかーい”ってツッコミ入れたよ俺は」
「うん、その節はお世話になりました」
僕は折り目正しくお辞儀をした。
涼乃が本山に相談していたことは、本人から教えてもらった。僕と二人で話す機会を作ってほしいって頼んで、それをきっかけに涼乃と本山はよく話をするようになったらしい。
いつも調子は軽いけど、本山はいいやつだ。涼乃の相談にもずいぶん親身になって、彼女を励ましてくれたらしい。
それなのに本山に嫉妬するなんて、本当に僕ってただの阿呆だ。
本山は涼乃ににんまり笑う。
「俺の言った通りだっただろ? ぜってー優磨は夏原さんのこと大好きだって」
「くっそー……悔しいけどそのとおりなんだよな」
僕が口を尖らせると本山は満足そうだった。
「だって俺って優磨の親友だからさ。なんでも分かっちゃうんだよ」
「はいはい。うん、たしかにお前は僕の親友だよ」
「おっ! やっと認めたかー! ほんっとに素直じゃないんだよなー優磨って」
「本当にね」
涼乃が本山に同調するので、僕はげんなりした。
「もう、二人で僕のこといじめないでよ」
僕の情けない声に、二人は声を合わせて笑い出す。そこにモモちゃんが登校してきた。そこから話題がまた繰り返したり、京都の話に移ったり。
――なんかいいなぁ。
涼乃と同じクラスにいて、友だちとくだらない話で盛り上がって。
――まるで僕たち、普通の中学生みたいだ。




