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死神が僕にくれた幸福な運命  作者: 風乃あむり
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 十数分後、黒猫を追ってたどりついたのは、住宅街の小道の奥にあるこ綺麗なマンションだった。


 そのエントランス――オートロックの扉の前に、影が丸くうずくまっている。


 膝を抱え込むように座り込んだ、中学生。

 プリーツスカートに顔をうずめて、ぴくりとも動かない。


「夏原さん……?」


 無造作に流れる黒い髪は、間違いなく彼女のものだ。


 十二月の夜は、体の芯を突き刺すように寒い。

 屋外で座り込んでいるなんて――呼びかけても返事がないだなんて、どう考えてもおかしい。


「ねぇ、夏原さん……!」


 最悪の想像に身を震わせながら、彼女のもとにしゃがみ込んだ。もう一度声をかけて抱き起こそうとすると、彼女はゆっくり顔を上げて、ぼんやりと僕を見た。


「……山丘くん?」


「よかった、生きてた……」


 一瞬の安堵の後、彼女の唇に全く色がないのに気づいて、僕は急いで自分の上着を彼女の肩にかけた。


「えっと……?」


 夏原さんは思考がはっきりしないようだ。寝ていたのかもしれない。

 こんな寒い夜に? 屋外で? でも、白く冷え切った彼女の頬を見れば、そうとしか思えなかった。


「このマンションが夏原さんの家? なんで帰らないの!?」


「え……あの、鍵をどこかに無くしちゃって……親が帰ってくるまで待とうと思ってたら寝ちゃって……ていうかどうして山丘君がいるの?」


 あぁ、もう。冬に外で寝るなんて。


「ばかっ!! 凍死したらどうするんだよ!」


 彼女は目を見開いた。バカにバカなんて言われて驚いたのかもしれない。でも今はそんなことに構っていられない。


「とにかく、体を温めないと! 家に入れないんだったら……そうだ、とりあえずファミレスに行くよ!」


「……はい」


 奇妙に行儀の良い返事をする夏原さんの腕を引っ張って、僕はずんずん歩き出した。




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