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その日から、彼女はたくさん笑ってくれるようになった。
油断すると見逃しちゃいそうなんだけど。他の人には分からないかもしれないけど。
ちょっとした目線の動きとか頬のやらわかさとかで、彼女が楽しそうにしてるのがわかる。
これが夏原さんの笑顔なんだなって、ちゃんと伝わってくる。
それが嬉しくて。
彼女を眺めているだけで、毎日はくるくると過ぎていく。
優しい秋をおしのけ転がるように冬がやってきて、彼女は毛糸のマフラーに顔をうずめる。
どんなに寒くても、公園に行けば彼女がいて――その確かさが、どんなに心強かったか。
公園には椿が咲いた。白々とした世界を笑い飛ばすあざやかな真紅。その生垣に守られて、僕らの世界は平穏だった。
――僕は、そう思いこんでいたんだ。




