✒ 商店街 / 医療街へ行ってみる
冒険者ギルドで薬剤を買い取ってもらった後、僕は商人ギルド,薬局ギルド,傭兵ギルド,旅人ギルド…等々のギルドへ顔を出して、薬剤を買い取ってもらった。
確かに虚偽鑑定をする鑑定士は冒険者ギルド公認の鑑定士ベガトル以外にも居た。
僕は虚偽鑑定をした鑑定士に対して、ベガトルと同様の態度を取って、全ての薬剤を正規の価格で買い取ってもらった。
ふぅ……かなり疲れた……。
この≪ 街 ≫の鑑定士は本当に腐敗してるなぁ……。
ギルドに薬剤を持ち込む前に、信頼の出来る鑑定士に薬剤を鑑定してもらって、正式な鑑定書を発行してもらってから、ギルド公認の鑑定士に鑑定を頼んだ方が良いな。
正式な鑑定書を見せながら論破した方が虚偽鑑定士の鼻もへし折れるってもんだ。
正規の価格で買い取って貰えたから結構な金額を稼ぐ事が出来た。
また材料を調達して薬剤を調合しないとな。
工房が無くても調合の出来る調合キットがほしいけど、未々足りない。
暫くは調合薬剤師組合に工房を借りる日々が続きそうだ。
《 ギルド街 》を出た僕は材料を調達する為に《 商店街 》へ向かった。
フィールドに出ても入手が困難な薬草や入手の出来ない薬草を買い揃える為だ。
薬剤の材料になる薬草や花,木の実なんかの収集はリッドンが烏達にさせてくれている。
烏は智能が高いから、教えた材料を覚えて取って来てくれるんだ。
中には珍しい薬草や花,木の実なんかを取って来てくれる時もある。
烏には本当に色々と助けてもらっている。
リッドンを使い魔にして本当に良かった。
──*──*──*── 商店街
《 商店街 》は何時もと変わらず賑わっている。
僕は《 商店街 》で必要な材料を買い揃えた僕は《 商店街 》の奥にある《 医療街 》へ足を向けた。
──*──*──*── 医療街
《 医療街 》には医療に携わる医師や薬剤師が働いている場所だ。
《 医療街 》へ入る為には、診察券や医師ライセンス,薬剤師ライセンス,調合薬剤師ライセンスが必要になる。
出入り口になっている門の前で、患者は診察券を提示して主治医の元へ向かう。
僕は門の前で調合薬剤師のライセンスを提示して《 医療街 》の中へ入った。
薬局で販売されている薬剤は、薬局ギルドから卸される薬剤が殆んどで、中には薬剤師が自分で薬剤を調合した薬を売っている薬局もある。
薬剤師には、使い魔が居ないし、精霊と契約もしなければ、妖精に手伝ってもらう事もない。
薬剤師が作る薬剤と調合薬剤師が作る薬剤は、明らかに違う薬剤になる。
僕はとある薬局を見付けるとドアを開けて中へ入った。
──*──*──*── 薬局・アンシュ
リット
「 こんにちは 」
?
「 おぅ、久し振りだな〜〜、我が弟弟子よ! 」
リット
「 フェンデスさん、本当に薬局を開いたんですね…。
調合薬剤師が薬局を開くなんて… 」
兄弟子:フェンデス
「 ハッハッハッ、小さい薬局だけどな!
漸くオレの城が持てたよ。
長かったなぁ… 」
リット
「 おめでとう御座います。
確か奥さんは薬剤師でしたよね?
薬剤師の薬剤と調合薬剤師の薬剤の2種類を販売してるんですね 」
フェンデス
「 まぁな。
そうそう、オレのお古になるが、オレが使っていた調合キットをやるよ。
オレは何時でも工房で調合が出来るようになったから、もう使わないんだ 」
リット
「 本当ですか?
有り難う御座います!
助かります(////)
新品の調合キットは高くてとても手が出ないから困っていたんです… 」
フェンデス
「 調合キットがあれば、キャンプしながらでも作れるからな。
1人立ち出来た可愛い弟弟子への餞別だ。
久しぶりに会えたんだ、茶でも飲んでけ 」
リット
「 はい! 」
兄弟子のフェンデスさんに手招きされた僕は薬局の奥に入った。
──*──*──*── 工房
リット
「 うわぁ……!
立派な工房ですね〜〜 」
フェンデス
「 ハッハッハッ、狭いけどな。
工房はアンシュも使うからな作る時に色々と拘ってみたんだ 」
リット
「 いいなぁ…。
僕も何時か自分だけの工房を持ちたいです! 」
フェンデス
「 若い内は世界を旅して見聞を広げながら資金を貯めろよ。
旅で得た知識や体験,経験は必ず役に立つからな 」
リット
「 はい! 」
フェンデス
「 キッチンは此方だ。
調合キットを持って来るから座って待ってな 」
リット
「 はい 」
僕は兄弟子に言われた通り、椅子に腰を下ろして座った。
暫くすると兄弟子が調合キットを持って来てくれた。
フェンデス
「 ほらよ。
師匠から貰ったお古だから重いんだ。
気を付けろよ 」
リット
「 はい 」
僕はトランク型になっている調合キットをマジックバッグの中へ入れた。
師匠から餞別に渡された兄弟子の調合キットが僕の調合キットになったなんて夢でも見てるみたいだ♥
リット
「 有り難う御座います、フェンデスさん 」
フェンデス
「 良いって事よ。
──で、師匠は元気でやってんのかい? 」
リット
「 はい。
元気も元気ですよ。
僕にも弟妹弟子が出来たんです。
師匠からたんまり、しごかれてますよ 」
フェンデス
「 ハッハッハッ、師匠は相変わらずか。
変わらないな〜〜。
元気で安心したよ 」
リット
「 ──これ、美味しいですね。
何てお茶ですか? 」
フェンデス
「 あぁ、これか?
これはなアンシュの弟が配合して作った薬膳茶なんだ。
オレの薬局でも販売する予定で調整中だよ。
アンシュの弟は薬膳師のライセンスを取得したばかりの新人だけどな 」
リット
「 新人…僕と同じなんですね。
薬膳茶も買えるなんて凄いですね。
現役調合薬剤師の薬剤だけじゃなくて、現役薬剤師の薬剤と新人薬膳師の薬膳茶…… 」
フェンデス
「 気に入ったなら分けてやるよ 」
リット
「 いいんですか?
貰ってばかりで申し訳無いです… 」
フェンデス
「 遠慮すんなって!
《 薬局・アンシュ 》の名刺も付けとくから、確り宣伝の方、頼むぞ 」
リット
「 ちゃっかりしてますね。
承りました! 」