トゥグア'sキッチン(後編)
「何故ここにゴリアテちゃんが?」
「シオンからバーベキューの誘いが来てな。たまには食事を取るのも悪くないと思って参加させてもらった」
「食べるならいいよ、うん」
知らなかった。最近の人形って何かを食べることできたんだ。
「言っておくがな、食事が出来るのは毒味の機能を持った個体のみだから気を付けろよ」
「あ、うん。分かった」
にしてもあいつから貰ったデバイスってこの機械便利ね。私だけだと燃やす事ぐらいしか出来ないからね。
「BBQセットオープン」
「網に鉄板に直火と三種類あるね」
「いや、おそらくだか、燻製も作れるはずだ」
「よく知ってるわね」
「コック人形や板前人形と料理に携わる人形もドールズには居るからな」
ゴリアテちゃんって確か、ネームドじゃない一般人形の出来ることなら何でもできるんだっけ?
「味わからないのに美味しいやつ作れるの?」
「マスター仕込みの料理だが?文句あるか?それに、毒味には味を確認するという意味合いがあるからな」
「毒味人形って料理系の人形のことだったんだ」
種火を大きくして、適当に買い漁ってきた食材を焼いていくか。
「いい匂いだね」
「受肉したのか?」
「いや、霊力で仮初めの肉体を作って味わうつもりだからね」
そう。ならアレも作ってあげるか。
「じゃ、霊力回復用の料理も作って置くわね」
「え、いいの!?」
「私をバカにした分、後悔させてあげるから」
「どういう意味だ?」
本当に、何も聞いてなかったのね。
「このバカが私の事を料理出来ない存在だって言ってきたからね」
「そこまでは言ってない!」
「似たような事は言ったんだな」
「あ」
自分で墓穴を掘る様なことはしたくないわね。
「純粋な熱エネルギーのみでいとも容易く生殺与奪を握る事が出来る存在が火加減を間違える訳ないだろ」
「一応眷属には凍える炎を操る子が居るから熱エネルギーもしくはこれに準ずるモノなら操れるわよ」
「具体的には?」
「しいていうなら…光かしら」
だって熱に関することならデバイスのサポートが有れば基本的になんだって出来るからね。
「ねぇそろそろ焼けてない?」
「食べ頃で保ってるから食べるならさっさと食べてね」
「ふむ。絶妙な火加減だな」
「確かに、これは料理出来ないとは言え無いね」
あいつも言ってたけど、一万年有ればだいたい何でも出来る様になるわね。特に、エネルギー操作とかね。