リザの受難
少し短め
「リザさん聞いてください!」
「また愚痴ですか、グレイシアさん」
この竜、グレイシアさんはアタシが竜種として尊敬している竜魔さんのいわゆる彼女なんだけど……お相手がブラック企業ヨロシクの労働環境にあるせいでイチャコラできないってアタシに殴りかかってくるんすよね。なんでアタシは格上にストレス発散のサンドバッグにされなければいけないんですかね。
「竜魔くんが浮気したんですぅ!」
「は?」
アタシの耳がとうとうバグったかな?絶対に浮気はしませんって絶対を司る神に向かって誓っていたのに…あるぇ?あ、コレ絶対に早とちりだ。だってあのボスの口癖の一つが『約束は破れど、契約は破らない』だから、そのボス曰く『誓いは契約の一種と見なす』ってアタシら弟子にさんざん言ってたはずなのに一番弟子である竜魔さんが破るはず無いんだよな。
「グレイシアさん、それ絶対に早とちりですよ」
「そんな訳ないでしょ。竜魔くんが『こんなプレゼントって女の子は喜んでくれるかな?』って私に堂々と聞いてくるんだよ!?私以外に好きな奴ができたに決まってるんだから」
泣きながら無慈悲に正確な槍捌き…技量だけが取り柄のアタシの一番得意な得物をこうもあっさりと格上になるんすからプライドがズタボロにされてますけどね。
しっかし…うーむ…あ!まさかアレを実行してこの状況か。
「グレイシアさん、多分ですけど、竜魔さんは貴女にプレゼントをしようとして、好みを探っていたのでは?」
「どういうこと?」
「いや、以前、竜魔さんから貴女に何かプレゼントをしたいが何を、プレゼントしたらいいかが分からないって相談された時に、こっそりと探りを入れて好きそうなモノをプレゼントしては、と助言したのを思い出しただけです、っよっと!」
「うーん、分かったわ。竜魔くんとお話してみるね」
た、助かった。解決策を見つけるまで、猛攻が続くから戦いながら問題を解決するってとんでもない修行ではあるけど…解決する問題が毎回色恋沙汰って彼氏居ない歴年齢のアタシに対する嫌味か?って言いたいとこだか…ボスに仕える日々が楽して金を稼ぎ、好きなだけ酒を飲み干せる理想の生活なんだよね……考えるだけ虚しいか。まあ、望めば彼女ならいくらでも作れそうなんだけどね、アタシも。
遅れてすみませんでした