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巡り行く運命 世界は貴女に微笑む

「アイギス、この子なに?」

「エンコード子爵家ですか……お姉様の即位前からある家ですし、あり得なくはないですね」

「ターニャちゃんだね!もう一人の義理のお姉ちゃんのアイギスだよ。よろしくね」

「話には聞いてますよ。クロスフィールド伯爵家が長女、アイギス・クロスフィールドですね」

「そそ。私が力になれる事があったら頼ってもらってもいいよ。ジャックはあの通り頼ってくれないからさ……姉としてちょっとショック気味なんだよね」

「ヴェラ、聞こえてるわね。エンコード子爵家の調査を。必要とあれば兄様の近衛への出動要請も」

『了解ですお母様。ただ、伯父様に頼んだ方が早いかと』

「分かってる?私達王族は兄様と同じく己の力をあえて封じてるのは」

『そんなに好きなら自分で結婚したらどうだったんですか?』

「兄様は私を本気では愛してくれない」

「ターニャちゃん?ジャックがなんかやらかした?私が代わりに叱ろっか?」

「いえ、身内の痴話喧嘩みたいなものに巻き込む訳にはいきませんから。貴女の実力なら即死もいいところですよ」

「そっか。なら仕方ないかな。で、仕えたいって言ってたご主人様を目の前にいつまで固まってるの?イリス戻ってこーい!」

「ねぇ、なんで宰相様がこんな僻地にいるの?私達山籠りのトレーニング中だったわよね?」

「え?この国のカースト上位はどこにでもいてどこにも居ないような人ばっかりだし、ましてや王族がいきなり現れるなんて当たり前のことじゃない?」

「「当たり前ではない!」です」

「ええ……息ピッタリじゃん。ターニャちゃん、この子をメイドとして雇ってあげられない?最悪お給金は私が出すからさ」

「それ、遠回しに脅迫ですか?」

「好きなように受け取ってよ。私はただ、これからの行動の選択肢が決まっていて、それの判断を下すのはターニャちゃんってだけだから」

「学園で何か一つでも優秀な成績を残す事ができたなら雇います。私のポケットマネーで」

「あ、あの、私音楽のコンテストで優勝してます」

「…………女に二言はねぇです。その前に、ヴェラ」

『真っ黒。本来の業務に戻ります』

「エンコード子爵家の当主を宰相の権限を以て今この時より貴女にさせてもらいますよ、イリス・エンコード」

「わた、私が当主!?あの、なにかの間違えでは?」

「つい先日貴族家を複数潰したばかりなので爵位が余っているのですよ。なので在庫を増やすよりかは減らしたいので明日よりエンコード伯爵家を名乗りなさい。私のメイドならね」

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