エルフの長のとある一日(夜)
「はぁ~今日は一段と疲れたわね」
「お疲れみたいだね、お嬢」
私を"お嬢"呼びするのは後にも先にもただ一人、私の元家庭教師だったあのバカしかいないわね。
「もうお嬢様でも無いんだからお嬢って呼ぶのやめてよね、ジャック」
「ははは、悪い悪い。こっちもこっちでヴェラに絞られたばっかりだから人をからかっていなきゃやってられないんだよね」
あの子からの説教は死ぬより辛いって風の噂で聞いたことがあるけど、実際どうなんだろ?(・・)
「今夜は一緒に飲む?」
「いいねぇ!」
まさか、本当に乗ってくるとは、お酒普段飲まない癖にさ。………分かった。
「化かすの止めてもらってもいいかな」
『あら、いつ気づいたんですか?』
「なんとなく」
『第六感ですか…だてに長い付き合いしてませんね』
「まあ、一つだけ違和感が有ったけどね」
『教えてもらえませんか?』
「やだね」
違和感の答えは「からかって」ではなく「ふざけて」って本人なら言うはずだしね。
「で、なんの用なの?」
『私の眷属がご迷惑を掛けたみたいなので謝罪に参りました』
「眷属って誰のこと?」
『今朝の婚約者を名乗る不審者の事です』
「あれ、あんたの所のやつだったわけね」
『まったく、少し力を与えた程度で調子に乗り、格上を騙そうとするなど眷属失格ですね』
「……ねぇ、単眼ちゃん。あなた本人なの?」
『よく働く人格とだけ』
だよね。だって「単眼ちゃんはニア・トワイライト以外の前では怠い、眠い、働かないの三拍子が揃った存在」って話だしね。
「謝罪ってことは、何か手土産でもあるの?」
『銘が死神とカレラを持って来ました』
お酒だ!?エルフは野菜や果物しか食べないとか、生で食べるとか、肉や魚は食べないとか、偏見でしかないんだよね。私は肉も魚も好きだし、お酒は酒豪って呼ばれるレベルで強いしね。※単純に薬毒耐性が強いだけです
「美味しくいただくわね」
『ええ、わざわざ異世界に行ってまで取り寄せた品ですからね』
「樽ごと産み出したのまちがいじゃ?」
能力を程度で表す時があるけど、目の前のサキ・ア○ミヤみたいな髪型をした金髪の悪魔は『夢幻泡影を司る程度の能力』って申告してた気がするし。
『味はオリジナルを飲んだ事がなければ再現できませんからね』
「つまり、もっと出せると」
『それぞれ計五樽で勘弁してください。魔力が足りなくなり、仕事に影響がでますから』
「住所不定無職の悪魔でしょ?」
『副神の右腕ですが何か』
「初耳ね。それは」
『では、ここいらで帰らせてもらいますね』
「ええ、さようなら」
暫くはいいお酒が飲めそうだ。(  ̄▽ ̄)
来週はドールズをメインにしようかな
お酒については適当に銘柄を決めたのに実在の銘柄だったわ