物を被る時は頭のサイズと相談
「シロ…抜けないから取って」
「兄さんなんで頭蓋骨被ってるの?」
「そこ、朝から煩い」
一緒に同居するのは不味ったかな。二人の拠点がモデルハウスみたいなタワマンの最上階だって言うからついてきた私がバカだったわ。
まあ、リビングのソファーで寝てた私悪いと言えば多少悪いけどさ。
「あ、みてみて」
「みてみてじゃないんだわ、ドアホ」
どう見ても異形の生物なのに何で被ってるだろ。まあ、私もやるときはやるけど、流石に自分で脱げる奴しか被らないっていうのにさ。
「死ねば?」
「なんか、辛辣じゃない?」
「まあ、貴方達が昔私にやった事を考えれば当たり前じゃない」
「そうですよね」
エレシァちゃん元気にしてるかな?灯に関しては並大抵の事では殺したところで死なない様な奴だし心配してないけど。
「脱ぎたいから手伝ってよ」
「人から猫になれば?」
「呪われてて無理っぽい」
「ニア様呼べば?」
「本気?」
「正気」
私の正気は一般的には狂気と呼ばれるらしいけど、知ったこっちゃ無いわよ。
「知り合いに呪術士いない?」
「……私が解呪してあげてもいいけど、それなりに対価は貰うわよ」
「シロ、灯探してきて」
「兄さん…灯さんは解呪は専門外だよ」
まあ、できて切る事だけだからね。それにしても、あの脳筋に何処まで頼れば気が住むのかな?
「いや、灯に対価払って貰う」
「「……自分でやって」」
まさか、シロと同じ意見になるとはね。
「それでなんで私は呼ばれた訳?」
「この頭蓋骨外してよ」
「残機幾つ?」
「残り3だけど……まさか!」
「デスベホマ程効率のいい回復は無い」
見事に頭蓋骨ごと縦二つに分けられてるわね。相変わらずの切れ味と太刀筋よね。
そして二つに割れた頭蓋骨は床にことりと落ちたわね。
「……マリアだよね?」
「久しぶり。仕事の都合上しばらく此所を拠点にするからよろしく」
「裏のタワマンに三人が住んでいたのか……」
「兄さんには迷惑掛けさせない様にするので」
「……私は切ることのできる相手が増えて少し嬉しいかな」
「私はお世話にはならないわよ」
「まあ、マリアなら並大抵のことは自力でどうとでもできるだろうからね」
不死鳥と魔法使いを師に持つ私のフリーダムに不可能はほぼ無いからね。
「ところで兄さんが復活しないんだけど」
「シロ、回復飛ばしたら?」
「了解」
「……残機ごと切られた説に一票入れとく」
断面図は黒くて中身が見えない死体擬きに回復系の魔法当てたらどうなるんだろ?
「俺、復活!!」
某赤鬼の真似で復活宣言しなくてもよくない?




