滅びを知るモノ達
「だるい眠い何もしたくない」
「ボス、そろそろ隠れ家変えないと感知されますよ」
「マスター、私のこと売り払っていいから生きてね?」
「え?私が二人を手放す訳無いでしょ。それにこの時代に奴隷なんて所有しているとバレたその日には務所暮らしが始まるからねぇ」
「流石にだらけ過ぎでは?」
「貴女の稼ぎが私を助けるのよ」
「私は役に立てないですよね……」
「貴女がいるから最低限主人として頑張れるのよ」
「そもそも保護してもらうって考えは…」
「は?迷惑にしかならないのよ。そもそも向こうが私を知った時点で向こうは死ぬ可能性があるし、私も無事では済まないから無理よ」
「だからと言って星の反対側の地中にて暮らすのはどうかと…」
「仕方ないでしょ。地上は原初のバカップルを探す為にいろいろと包囲網が敷かれてるはずなんだから」
「なんでそこまで解るんですかボス」
「ん…秘密」
「マスター、頭撫でて」
「ん…」
「ありがと」
「今日もかわいいなぁ」
「……ボスってアタシの扱い雑ですよね」
「そりゃ雑に扱えば伸びる子だからね」
「全肯定まではいかなくてもいいのでたまには褒めて欲しいんですが」
「うちの大黒柱様ですからね」
「ボスの食料減らしますよ」
「へ?」
「財布の紐、誰が握ってると思っているのですか」
「今日は一緒に寝よ?」
「………アタシって甘いのかな?」
「マスターに対して甘い分には良いと思うよ」
「うんうん」
「その甘さが原因で動かなくなってないよな?」
「さあ?」
「ボスが知らなかったら誰も知らないことなんだが」
「まあ、拠点移したから疲れてるだけよ」
「本当に元女王なんですかねこれが」
「私も分かるわよ。こんな大罪人が王様やってよかったのかと未だに時々考えてしまいますからね」
「行動が中年のオヤジにしか見えない幼女とはこれいかに」
「あはは……美女の私と寝たいの?」
「……正直な話ボスに密着できるならどっちでも」
「わ、私は今日は一人で寝ますよ。たまには一人で寝ないとマスターのありがたみが薄れますから」
「良い子達でおねぇさんホントうれしいなぁ」
「……アタシ達の方が年上ですよね」
「そだね」
「マスター、夕食のリクエストは?」
「一号ちゃんの作る物なら私を殺す毒でも食べるわよ」
「名を封じる意味ってあるんですか?」
「私はありふれているから問題は無いのだけど、貴女達二人の名前は縁が結ばれるとこっちが探知される可能性があるから駄目よ」
「だからって一号二号はあんまりじゃ」
「なら自分で考えなさい」
「リンクル」
「そうね、一号ちゃんはこれからラナって名乗りなさい」
「え、アタシは?」
「自分でリンクルって名乗ったでしょ」




