とある英雄と少女の過去
「死ねやオラ!」
「くたばりやがれ!」
「何やってるの?」
「え、喧嘩」
「死ぬことは生きてることの証明だからな」
「理由になってない」
昔っからこのバカ二人は……いったい今は何をやっているのやらね。
「で、喧嘩に至った理由ぐらいはあるわよね?」
「「そんなの決まってるだろ」」
「じゃ、教えて」
「お前には教えられねぇ」
「そうだな、オレはバカだが、それは理解できる」
「そ、じゃぁ金輪際あなた達二人には会わないでおくわね」
脅し文句としては十分効果があるはず……だよね?
「どうしても言わないといけないのか?」
「私への隠し事は私への裏切りと見なす……覚えていない?この約束」
「覚えているからこそ、どっちが伝えるかこうして喧嘩で決めているんだよ」
「オレ達はバカだからそのくらいしか思いつかないんだよ」
私に伝えるつもりはあるけど伝えられない?どんな状況よ。
「ならさ、二人同時に伝えればいいでしょ」
「流石姐さん、天才です!」
「その案最高だな!」
「じゃあはい、せーの」
「「姐さん、ずっと前から好きでした。付き合ってください!」」
私に告白?ふざけては……ないみたいだけど、正気とは思えないわね。だけど、モテるのはちょっと嬉しいかもね。
「お断りします」
「捨てられた」
「理由だけでも教えてくださいよ」
「理由?好きな人が既にいるからに決まってるでしょ」
「誰なんですか?」
「そいつをぶっ飛ばせば姐さんがオレ達に惚れてくれる可能性よ!」
「お前天才だな!」
天才かどうかはさておき、あの人がこいつら二バカ倒させるねぇ……ありえない話ね。
「盛り上がっているところ悪いけど、二人がかりでも私に勝てないバカどもが束になろうとあの人があなた達に倒させるわけないの。覚えておきなさい」
「姐さんより強い人?」
「世界最強と名高い姐さんより強い人なんていないだろ」
「いるわよ普通に。なんなら五万とね」
向こうに行った時は自信に満ち溢れて、強気でいたんだけど、負け続けたから流石に私も実力不足を理解できたわよ。
「姐さん、いつから冗談を言うようになったんすか?」
「たちの悪い冗談っすよ?」
「ちなみに私、既にその人と相思相愛で恋人に馴れたからね。あなた達といっしょにいる理由がほとんどないわけ。あなた達バカとはここでさよならね」
「おいて行かないでください姐さん!」
「オレ達姐さんが居ないと生きていけないんですよ!」
そんなこと言われたって……浮気って疑われる要因はすべて排除しないと安心できないしね。どうしようかしら?
「雑用として使えると思うが」
「御主人様!?なんで、ここに?」
「部下に別れを告げてくるって書き置きが有ったからそんなことする必要はないって伝えにきた」
「いいんですか?」
「問題ない」




