遥か昔のクリスマス
タイトル通りのクリスマス回
「にぃ…私の目が間違ってなければご馳走が見える」
「用意したからね」
「今日って何かのお祝い?」
「まあ、そんなところだな」
「家の中に不思議な木が生えてるのも?」
「そうだね」
「どんなお祝い?」
「クリスマス、子どもが大人に欲しいプレゼントをねだる日」
「にぃ…私ご馳走が欲しいって言ってないよ?」
「あのな、このご馳走は僕も食べるんだぞ?」
「そうなの?」
「ああ、二人で食べるだ」
「……お母さんとお父さん見つかった?」
「あの二人は隠密に長け過ぎてるからな。下手をすれば一万年かかっても見つけられないかもな」
「死んでる可能性は?」
「それこそあり得ない。だって僕ら兄妹を産んだ存在だぞ?」
「確かに」
「運命凌駕を持っている以上、殺しても死なないしな」
「私も早く至りたい」
「で、欲しいプレゼントはないのか?愛しい妹からのお願いだ、基本的になんだって受け入れるつもりだぞ」
「にぃのお嫁さんにして」
「……ダメ。いくら可愛くおねだりしてもそれはダメ」
「世界」
「もて余すだろ」
「できないとは言わないんだ」
「頑張れば天地創造ぐらい出来そうな気がするしな」
「流石にぃ」
「で、流石そろそろ真面目に何が欲しいのか教えてくれよ」
「……なんで心を読まないの?」
「お前の心読むと僕への愛で溢れすぎてこっちがパンクする」
「読めないの?」
「やりたくないから本人の口から聞いてるんだよ」
「にぃといっしょにいること」
「お前が成人するまでは一緒にいるつもりだぞ」
「エンジェルリンク」
「何に使うつもり?」
「にぃと子どもを作る」
「はぁ?てか誰から教わった?」
「酒場のおっちゃん。罵るとお小遣いくれる」
「何やってるだよ……」
「にぃの助けになればいいなって思って……」
「お兄ちゃん今からお前の将来が心配だぞ?」
「大丈夫、にぃ以外の人のお嫁さんになるつもりはないから」
「そろそろ教えろ」
「……にぃとデートしたい」
「それは暇な時な」
「……にぃ、私の事捨てないよね?」
「はぁ……こんなにもかわいい妹を捨てるとか正気じゃないからな」
「ほんとに?」
「本当だぞ」
「頭撫でて」
「いいけど、物欲ないねぇ」
「私が死ぬより、物が壊れる方が早い」
「それは同意だな。さぁ、ご馳走を食べようか」
「うん!」
「んあ?夢?」
「どうかしたの?」
「私が五歳だった時のクリスマスの夢を見てた」
「どんなの?」
「兄様にプロポーズしまくって振られた」
「そんなことしてたの?」
「今でも兄様以外の人と結ばれるつもりはないからね」




