キューとロンド
「はぁ……」
「キュー様どうなされたのですか?」
「隣で寝ているこの子について悩んでいたのよ」
「とりあえず、客取りますか?」
「主様からの預かり者ですからダメよ」
なぜかいつも私のところには厄介ごとが持ち込まれる。この子、ロンドについてもそう。忌々しいことに主様と同じ"暴食"の持ち主…いえ、主様の暴食が自我を持ち、姿を得たと言ったほうが正しいと思いますけども。私達と同じ立場に有りながら種族由来の得意フィールドが水中と言う誰とも被らないが故のアドバンテージが大きすぎる。いやまあ、得意な技で己の領域に引きずり込むぐらいはしますけども。
「キュー様の主様ってどのような方なのですか?」
「私が最重要VIPに指定している人よ」
「あの人なんですね!ところでなぜ仕えてるんですか?」
「きっかけは些細な事よ。ただ純粋に、この身に宿る全てのモノをあの人に捧げているのだから」
「恋する乙女ですね」
「貢いでいる金額も私が一番のはずなのに…」
「貢ぐ?」
「それともストーキングがいけなかったのでしょうか…」
「キュー様?」
「家の中のガサ入れの頻度は落としてるはずなのに一向に好感度が上がらないなんて…」
「キュー様、やってること犯罪者のソレですよね」
「え?」
「そこの人間とバカ狐うるさい。食べるよ」
「どうやっ」
ちゃんとジェスチャーで伝わって良かったわ。だってこの部屋私の自室だし、血で汚れるといろいろと面倒くさいことになるし、第一日本の警察から完全に隠蔽しきらなくていけないからね。
「キュー、昔にやんちゃにし過ぎで好感度が基本的に零よりのマイナス状態。お父様は有事以外で貴女とは会いたがらないから」
「主様と父と呼べるのは貴女だけですね」
「実際、落とし子だし」
「眠らないのですか?」
「お腹空いたからご飯ちょうだい。食費がヤバいって理由で此処に送られてるんだから」
初耳ですが今回"も"金銭関係でしたか。
「一応聞いておきますが、どのくらい食べます?」
「百」
「百キログラム分の食事を用意して」
「キュー様、お言葉ですが食べきれるのでしょうか」
「この子が本気で食べようよすれば1日で私の稼ぎが飛ぶぐらいの胃袋の持ち主だから安心して」
「人間じゃ無いですよそんなの」
「"そこ"に深く入り込むとこの業界、生きてられ無くなるわよ」
「さっさと行け、殺されたく無かったらな」
「は、はい!」
二人揃って脅迫…この日本の裏社会にもずいぶんと馴染んだものですね私も。
「過剰妖力でいいから分けて」
「自分で生成できないの?」
「自分で作ったの食べても味しないし、お腹膨れない」
本気出せば世界をも喰らうサメ、それがロンド




