ハロウィンの朝
「おはようございます、兄様」
「ターニャ、僕に乗っかって何の用?」
朝からかわいい自慢の妹が目に入るという異常事態で完全に目が覚めたんだよな……。
「この吸血鬼のコスプレが目に入りませんか?」
「つまり?」
まさか……。
「Trick or Treat」
「今から作る」
イタズラの申し子のイタズラとか受けたくないし。
「ではTrickでいいですよね?」
「は?」
渡す意思表示はしたんだけどな~。
「そんなに睨まなくても……」
って頬にキス?
「これがイタズラなの?」
「私が兄様に一番したいイタズラです」
「いつもながらかわいいな」
「兄様から口説きに来てくれるなんて!」
「口説いたつもりはないぞ」
「知ってますよ。本題のイタズラはあそこに置いてある書類の山です。私が本来処理すべきのも含めて届けに来たついでなので」
たまには自分の仕事は自分でやれってことか。
「朝食食べてくか?」
「スズお姉様の分もお願いします」
「そっちはテイクアウトな」
さてリビングに行くか…!
「ニア?」
「Trick or Treat。お菓子くれないと呪いますマスター」
「ターニャ、ニアに何言った?」
「やはり私よりニアさんの方が大切なのですね」
「お前も似たような事するだろ」
例えば僕と娘であるヴェラだったら絶対に僕を選ぶはずだし。
「……否定しきれませんね」
「朝食にフレンチトースト作るから待ってろ」
「「は~い」」
てか、サーニャはまだ寝てるのか?
「サーニャ知らん?」
「あの子ならリザの所でハロウィンパーティーしてるわよ」
「そっか。一応あいつら姉妹だしな」
「いい匂いですね」
「完成…こっちはテイクアウトの品な」
「そんなことしなくても出来立てを直接食べに来たから」
これでヴェラが居たらロストナイツ王国の王家が全員そろうけどな。
「居ますがなにか?」
「……追加で作るわ」
「私は部外者みたいだから出て行こうかしら」
「ニアが出ていくぐらいなら他の連中を追い出すから」
「兄様のこれ…冗談ではなくマジなんですよね…」
「私は追い出されたくないわよ」
「私は別にノリで此処に来ただけですから問題無いです」
まあ、ヴェラは僕に辛辣なだけあって人畜無害ではあるからな。ヴェラは追い出すつもりはない。
「味覚センサーがバグったようですね」
「生体部品だったはずだからバグりようがないけど?」
「甘ったるくて不味いと言っているんです」
「……まあ、確かにな。しかし、大の甘党が多数派なのにそれに合わせないのはな…」
「まるで太ってるように聞こえるけど?」
「スズは前回会った時からウエスト■センチプラスだろ?」
「え…なんでバレたの!?」
「体重も■キロ増えてるしな」
「うぐっ!」
「痩せろとは言わないけど、可愛くは有れよ」
「うん♡」
「兄様、私は?」
「ターニャは変わらないな」
本当に、愛い奴らだよ。
ハッピーハロウィン




