地獄姉妹のお茶会
「お姉様、どうしたの?」
「いえ、少し昔の事を懐かしんでいただけよ」
「それって何時の事?」
「日本に住んでいた時の事よ」
「確かに楽しかったよね」
「当初は双子の妹に嫉妬する醜い姉だったわね」
「え?そうなの?」
「家柄だけに期待が凄かったわよね?」
「そうだね」
「家庭教師達からは『何故妹のことね様にはできて姉であるあきね様には出来ないのか』って良く言われてたのよ」
「知らなかった」
「そりゃそうよ。あなたの耳に絶対に入らない様に私も家庭教師達も隠蔽をしていたからね」
「ふーん。ねぇお姉様、私達二人だけのお茶会もいいけどたまには他の人も呼ばない?」
「……時々三人でお茶会してるわよね」
「え?」
「一応今日も招待状を送った覚えの無い客が三人目として参加してるわよ」
『バレてた?』
「割りとガッツリ」
「気づかなかったよ」
『仕事があるので私はこれで』
「私の世界でサボるのはいいけど、こっちに責任を押しつけないでよね」
『ええ、もちろん』
「単眼ちゃんってああして参加してたの?」
「探知は私よりあなたの専門分野でしょ」
「ガンバれば全く同じ事の出来るお姉様に言われても」
「ことね、あいつから茶葉をもらってきてもらえないかしら」
「了解!今すぐ行ってきます」
「盗んで来てもいいわよ」
「お姉様、それって遠回しに死して来いと?」
「そんな事言う訳無いじゃない」
「……お姉様って此処から動かないよね」
「そうね」
「この世界に存在しているモノならお姉様の能力で取り寄せられるだろうけど、存在しないモノって……」
「アマゾ○スドットコムを利用してるわよ」
「あのユニバース世界の通販の?」
「在庫が存在しない場合の回収用座標と共に注文するとどんなモノでも確実に届けてくれるわよ、あそこの業者。しかもCEO自らね」
「知ってるよ」
「ん?ああ、消滅指定世界が出来たみたいよ」
「って事はお出かけ?」
「一緒に行きましょうか」
「お姉様となら何処までも」
「あなたもいい加減男の一人や二人、作ったらどうなの?」
「グレーな恋してるお姉様にはそこ指摘されたくない」
「まあ、いいわ。私もあなたを守る為にこの力を振るってきたのだからね」
「地獄姉妹、久々の揃っての出撃。イェーイ、ドンドン!パチパチ!」
「あなたの発声した擬音に合わせて効果音が鳴る。ふふ、いつもながら面白いわね」
「お姉様を楽しませる為に開発したんだからね」
「いい妹ね」
「所でお姉様、今回消滅指定理由って何?」
「他のパラレルワールドごと平行世界を飲み込み、成長を続けようとしているからって書いてあるわよ」
「つまり?」
「「飲み込め無い量のエネルギーを叩き込む、どんな極楽だろうと地獄へ叩き落とす、それが我ら地獄姉妹」」
「これ久々にやったね」
「私はあまりやりたくないわね」




