リザの受難2
「一つ聞いていいか」
「なんでしょうか?」
「なぜ海で遊ぶって言ったのに着物で来てるんだ?」
「てっきり雲海で遊ぶものかと……」
「水着は?」
「常に持ち歩いてますよ」
「着替えろ」
こいつが淫乱女狐でよかったわ。まあ、好きな人の為に乙女であり続けながら風俗の元締めになったのは正直いって凄いとは思うけど…理由がアホなんだよな。
「少々胸の辺りがきついですね」
「破ぜろ」
CよりのBであるアタシに対する嫌みか?フォックスだけにFってか?ふざけんなよ。しかもその水着、布面積は普通だか、装飾がおかしいしよ。
「黄昏てどうしました?」
「お前の妹分見とかなくていいのか?」
「あら、私達の、ですよね」
「確かに。だが、ジャンル的にはお前の妹分だ」
「行ってきますね」
アタシが黄昏てる理由?怒っててもむなしいだけだなって悟ったからだ。
「リザさん、今回はなんで集まったんですか?」
「ケル聞いて…いや言ってなかったか。キューをボスから離しておくのが目的で集まったんだ。アタシ一人じゃ間が持たないからお前らも呼んだしな」
大方、あいつの部下に愛でたい子が居るけど、あいつが居ると台無しになるから離させたとかだろ。
「誰がなんだって?」
「ボス!?」
「ご主人様!」
「久しぶりだな、ケル」
「元気にしていたよ。もう一人のご主人様も優しいしね」
「そうか、あいつも上手くやっているのか」
「なぜボスがここに?」
「ロンドの様子を見に来ただけだよ」
シャークウォッチングですか。ってあれ?
「ボスが此処に集まる様に指示したんですよね?」
「一つ目に化かされたんだろ」
そうだよな。ボスがキューと直接会いたがる訳無いしな。
「みんな元気そうにしてるし、帰るか」
「ん?この海ってロンドがいるんすか?」
「群れのボスになって君臨してるよ」
「リソースは?」
「本人から」
あちゃ~。あいつはいつもどこに居るのかがわからんからな。なぜか連絡とれんし。ボスはいつもどうやって連絡取ってるんだろ?
「主(様)!!」
「リザあと頼んだ!」
え?あ!発情してるし、マジかよ。あれ宥めるのしんどいんだけど。
『手を貸しましょうか?』
「化かしてくれた張本人が言うセリフか?それ」
『これが私の仕事ですからね』
「ロンド!女狐にみずてっぽうだ!」
「え、だるいし、やだよ」
うん。ダメ元で指示を出してはみたけど…ああ、やっぱり今回もダメだったよ。あいつは話を聞かないからな。
「自分でやるか」
幸いにも、なぜか愛槍はこの手にあるしな!うん。今日は帰ったら自棄酒だ!
後日、その海附近の酒屋から酒が消えており、酒が買えない人が続出したという。




