セントラルシティへ
ベルセルクの封印が解けるまで、残り6日。
オルティー山という場所に封印されたベルセルクを目指し、まずはセントラルシティに向かうことにした。
朝。宿を出て歩き始める。
「なぁカイエンジ、セントラルシティってどんなとこなんだ?」
「その名の通りこのギアフォルンの中央都市圏だ。クレセントシティとはまた違った港町だ。装備や食料を詰んだ貨物船も多い。まぁ、行ってみれば分かる」
「そうか。....港町かぁ」
「どうした?」
「いや、俺が住んでたところは田舎だったからさ。海とか船なんて、いつぶりに見るかなぁ」
「まぁ、今回は観光じゃないが、時間はある程度あるから多少はゆっくり出来る。新しい装備とかも見たり出来るぞ」
「新しい装備....ってこの前装備買ったばっかじゃないか?」
「まぁそうだがな」
「まぁ、あと2時間ぐらいは歩くけどな」
「長いな....これもベルセルクを倒すためかぁ」
道を歩く。にしても、馬車とかないかなぁ。
確かに俺の知る大体のRPGは次の町行くまで歩きだけどさ、実際こうやって自分が歩くと案外辛くなるな。
生きてた頃よりは多少体も強くなってる、というかなってくれてると思うんだけど。
今までやってきたゲームの勇者たち、本当にお疲れ様と心から言いたくなった。
しかも、道がそこそこちゃんとしたものが出来てるから、敵が出てこない。
こう、エンカウントしてレベル上げながら進む、とかそんなんじゃなくて、もっと草むらとか人通りの少ない場所じゃ無いと敵が出てこない。ポケ○ンかよ。地味にめんどくさい。
あー、生きてた頃見てたアニメの続きとか見たいなぁー。とか思って気を紛らわす。とにかく、暇だ。何も無いただ整った目的地に向かって道を歩くだけ。面白みが無い。これゲームだったらクソゲーなんじゃ無いのか?
やめだ。こんなことばかり考えてたら鬱になる。
俺はこの世界にして、戦闘王アレウス、つまり魔王を倒すと決めたんだ。
いずれ街に着く。今は、ただ歩こう....
あれ、今唐突に思ったんだけど、この世界で俺死んだら、どうなるんだ....?
[はい、その問いにお答えいたします!]
うおっ、アルテミス、こいつ直接俺の脳内に!っていつもそうだった。
[この世界で死んでしまったら、今度こそあの世行きです!]
やっぱりか....予想はしてたけど!このまま死んでジジババみたいな何もない生活は嫌だ!
やる!やってやる!ベルセルク、ウィザード、アレウスを倒す!そして!生きる!
「よーし!頑張るぞ!」
大きく腕を上につきあげる。
「....お前急にどうしたんだ」
「......あ、いや、なんでもない、すまん。忘れてくれ」
「お、おう」
そんな時、看板が見える。
[セントラルシティまで あと 600m」
「だいぶ近くなったな、時期に着く」
「ああ....疲れたぁ」
時期に街の入り口を示すアーチが見えた。
アーチを通り過ぎてすぐ、潮の香りが鼻につく。
それと同時に、アナタブの画面が光る。
[新しいマップデータを習得しました。-中央の港町 セントラルシティ-]
これが、港町。
入り口近くは、クレセントシティの商店街と大して変わらない風に見える。
でも、潮の香りがすることもあって、だいぶ違う雰囲気に感じられた。
「さて、どうするケイ。オルティー山に着くには大草原をレベルを上げつつ抜けて行く、ってのが予定ルートだったんだが。少しまわり道になるが船に乗って行くってルートもあるぞ」
「......歩いて行こう。正直歩くのは疲れるけど、実は俺、船酔いが酷くてさ。そっちの方が辛い。レベル上げも出来るし、歩きで行こう」
「分かった」
「なんか、わがままで悪いな」
「いや、そんなことないさ。とりあえず、ある程度この町をゆっくりすれば良いだろう」
「そうだな....」
今回もありがとうございました。




