封印の場所
模擬戦を終え、サキ達と分かれたカイエンジとケイ。
宿に行き、ケイをベッドの上に寝かせる。
「ケイさん、そろそろ起きてくださいよ」
.....あ、アルテミスか。
まだ眠いんだが....
「まぁそのままでいいです。とりあえず、状況を整理しましょう」
状況....えーと。
「まず、貴方はサキさんとの試合に一応、勝利という形で終わりました。にしても、貴方のユニークスキルはまさに見た事の無い物でした。[スタイルチェンジ]、すなわち変身能力。今まで私が見てきたのは、とてつもない電撃を放ったり、隕石を落としたり、空間転移、といった強力な技でした。ですが今回のは技、というより強化。自分自身のステータスや武器、魔法が大きく絡んできます。同時に、技よりもそれを扱い切れるか、言い方を変えると自分を制御できるかどうかも掛かってきます....」
あ、そっか。俺、エネルギーを使い果たして....
「スタイルチェンジの使い所も、今後の課題ですね」
ああ....そうだな。だんだん目が覚めてきた....
「えーと、アルテミス....そういやさ、アナタブってさ、異世界冒険タブレットデバイスだよな?何でカイエンジとか、サキとか持ってんの?あいつらも転生者?」
「いえ、彼らはこの世界の住人です。こっちの世界では、[貴方の冒険をサポートするタブレットデバイス]、略してアナタブとなってますから。ちなみに、ケイさんのアナタブは転生者用に少し仕様が変わってますが、気にしなくて大丈夫だと思います。話を変えますが、ベルセルクの封印されてる場所が特定出来ました」
急に真面目な話になったな....
「場所はマップデータを転送しておきますので、確認しておいて下さい。この世界、ギアフォルンの運命は貴方達にかかってます」
この世界、ギアフォルンって名前だったんだ....
「さて、そろそろ起きた方がいいんじゃないですか?また後で寝ればいいんですし」
ん、それもそうだな....
俺は目を開ける。
ベッドの上。カイエンジに運ばれてきたと。
「おっ、お目覚めだな。気分はどうだ?」
「普通。特に良くも悪くもない」
「そうか」
俺はアナタブを操作し、マップ画面を開く。
赤い×印。
それがベルセルク封印の地。
場所はオルティー山付近の遺跡。
オルティー山....聞いたこともねぇんだけど。
「えっと....カイエンジ、唐突で悪いんだが、ベルセルクの封印されてる場所が分かった」
「へぇ?何処だ」
「オルティー山、とかいう場所の近くにある遺跡らしい」
「オルティー山かぁ....ちょっと遠いな」
「でも、行くしかないだろ」
「ああ。ここがクレセントシティ、そしてここから中央の都市圏、セントラルシティを抜けて長い草原を通った先だ。今日含め7日、実質6日だ。最短でも3日は掛かる。明日の朝、この街を出よう」
「....分かった」
「にしてもお前、サキに勝ったんだってな」
「一応、な」
「なんか変身したらしいじゃねぇか」
「あぁ...自分でもよくわかってないが、[スタイルチェンジ]っていうユニークスキルらしい」
「ユニークスキル....固有技か。話には聞いたことがあるが、まさかお前がユニークスキルを手に入れたとはな」
「でも全然使いこなせてない。使えるようにしていければいいんだけどね。まぁ、とりあえずベルセルクに対抗する手段が僅かに増えたってことだ」
「そうだな」
その後軽く食事を取って、今日は寝ることにした。
次回もよろしくお願いします。




