武器という器(うつわ)
ケイはサキとの模擬戦を終え、エネルギーを使い果たし倒れてしまう。
一方、カイエンジはアル、ラージェと二対一の模擬戦を繰り広げていた。
残りのMPから考えて、ヒートの魔法2発分。
「[ヒート]っ!」
ヒートの魔法を放つ。
アルへ火の玉が飛んでいくが、交わされる。
「もう1発、[ヒート]!」
「[ヘルスライサー]っ!」
ヒートをかき消され、MPが減少する。
もう魔法が使える量は無くなった。
「たあっ!」
「はあっ!」
ラージェが攻撃。それをフレイムソードで弾く。
キィン、と高い金属音。
「ラージェ、武器の特性をもう少し理解した方がいいな」
「何をっ!」
カイエンジがすっ、と後ろに下がる。
「パルチザンは少々特殊な武器だ。槍タイプの武器でありながら斬撃が出来る。その使い分けが」
「くっ....!」
その瞬間、フレイムソードをラージェの首元に突きつける。
「いまいちってところだ」
「......はぁ....僕の負けだよ、流石だ」
「くっ、ラージェがやられたか、だがっ!」
ラージェの方を向く。
「でぇやあぁぁぁぁ!」
ラージェがデスサイザーを振り下ろすが、カイエンジが素早くアルの後ろに回り込む。
「お前もだ。アル。デスサイザーは1発が強力な分大振りだ。使う際に確実に隙が出る。それにらMPを削る技だけじゃ、俺みたいに魔法をそんなに使わないやつには勝てないぜ」
アルのデスサイザーをフレイムソードで切り払う。
デスサイザーが地面に突き刺さる。
「.....まだあんたには勝てねぇか、俺もまだまだだな」
「要は単純にレベルが上がっただけじゃ、勝てないんだよ。レベルは基礎。その力を示すのが武器という器だ。自分自身がその器にどうすれば収まるかどうかをしっかり理解する必要がある」
「あんま説教くせぇのは好きじゃねぇんだがな....」
「やれやれ、完全にやられちゃったねぇ、僕達」
「悪い悪い、だがお前らはしっかり強くはなってる。これからはレベルを上げるだけじゃなく、武器を理解していけ。それじゃ、俺はそろそろサキとケイを見に行くかな」
その時、向こうからケイを抱えたサキがやって来た。
「こっちは終わったぞ、カイエンジ」
「おっ、お疲れ。ケイはやっぱりお前に勝てなかったか」
「いや、負けたよ。こいつは私たちとは違う。今は自分でエネルギーを使い果たして気を失ってるだけだ」
「そうか....お前に勝つとはな...」
「....この子は戦闘中に変身した」
「あ?変身」
「そう。見た目も強さも別物だった」
「ほう....後でじっくり、こいつに聞く必要があるな。とりあえず、今日はもう休ませてやろう。俺も疲れたし、お前らも疲れただろ」
「ああ。....いい仲間を持ったな。カイエンジ。では、私たちはそろそろ失礼する。また何かあったら呼んでくれて構わない」
「あばよ」
「それじゃあ」
「おう、お前らも元気でな。....よっこらせ」
ケイを抱え、宿屋に向かうことにした。
「部屋代2人分...後でこいつから請求するか」
部屋のドアを開け、ケイをベッドに移す。
呼んでくれてありがとうございます。
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これからもよろしくお願い致します。




