4. 特殊系?
あれ以来、生物の周りだけ白く靄が見える現象が続いている。
これは冷静に考えて、何らかの能力なんだろうと思う。
…良かった。ただの大食らいの幼児じゃなかったわ。
やっぱり能力者だったからこそのあの食事量なのよね。まぁ、大した能力でなかったとしても、納得できたからもう良いわ。今のところ、どういう能力か不明だけど。
というか、特殊系とでも言えるわね。この世界の能力は、はっきりと目に見えるパワーとして認識されてる。火、水、風、土を操ったり、発現させたりするパワー。
だから能力の有無をはかる検査だって、人工的に用意した火、水、風、土に対して、反応があるかどうか見るというやり方なの。火でいうと、蝋燭大の火に手をかざしてみて、能力があれば炎が揺らめく。水、風、土も同様に、それぞれに手をかざしてみて、それらの反応をみる。
だから、対象に反応が無ければ、能力無しと見なされるんだけど、……火、水、風、土以外にも、能力があると考えた方が良い。
私以外にも能力者がいるのに申告せずに隠しているのか、私が唯一の特殊系なのか、今のところ全く分からない。
まずは、自分の能力がどんなものなのか把握しないと、家の者に自分が能力者だと説明することもできない。そのために、この数日、能力を見極めようとしてるんだけど、生物に靄がかかってるだけなのよね。
ただ、最初は小さな動物にしか見えてなかった靄が、だんだん人間にも見え出したの。
レベルが少しずつ上がってるってことなのか、力を使いこなすための過程なのか。
昨日からうっすらと使用人たちに白い靄が見え始めた。
こうなると、靄というよりは、オーラって呼んだ方がしっくりくるかな?
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人にもオーラが見え始めて一週間。
オーラに色がつき始めた。
はっきりと何色とは言い難いんだけど、白じゃないの。その色が何を意味するのか、今探っているところ。
母のオーラが、橙色のような、オレンジ色のような、落ち着いた暖色系なの。
母だったら聞きやすいし、ちょっとインタビューしてみよう。
「お母様、何か良いことでもあったの?」
母は面食らった表情になった。予想外の質問だったのか、的外れな見立てだったのか。
「どうして?」
「いえ、何だか、お顔色が良いような気がしただけ」
「そう。ええ、実は今、気分が良いの」
「そうなの。それは良かった」
「エミリ、あなたがね、元気になったみたいだから」
……お母様。心配かけてたのね。
そりゃそうよね…。あからさまに落ち込んでたもんね、私。
そっか……普通に心配されてたんだ。
あんまり関心もたれてないと思ってた…。
心配されてたと聞いて、正直嬉しい。
「…心配かけてごめんなさい。ありがとう」
笑顔で礼を言ったら。
母が驚いた表情になった。
え、なんで驚き? 私の笑顔ってレア?
「元気が出てきたのかしら? 本当に良かったわ!」
珍しく興奮気味に言う母。
それだけ心配してくれてたのね。ありがとうね、お母様。