28. 初日の結果
結局、二千人を鑑定して、能力者は二名でした。
割合は0.13%か。
正直、実施前はもう少しいるかと甘い予想を立ててたわ。
実際に始まってみたら、本当にいるのか不安になったけど。
0.13%ってことは、今回対象の五万一千人中65人くらいかしら。
現在、検査初日の夕方。
能力者の二名とはこれから面談することになってる。
私と補佐役の事務員一人とで四者面談の形でね。
どちらも10代だったので、これから鍛練してもらえれば、レベルがどんどん上がると思うんだけど。
さあ、どんな反応かしら。
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「私が……ですか…?」
「ええ、間違いありません」
特殊能力者であると告げたところ。
13歳と15歳の少女のうち、年長の少女が泣き出した。
しまった。
もっとオブラートに包んで徐々に言うべきだった。
心のケアがいるわよね。
そのあたり、完全に想定外だわ。
「あの、配慮が足りなくてごめんなさい。何も怖いことはありませんから、安心してください」
こき使って無賃労働させるだとか、そんなことは断じてないから!
安心させるように、柔らかいトーンで話しかける。
「ちがうんです…!」
え? 違うって何が?
「嬉しくて…」
「え?」
「私、家族の中で一番食べる量が多くて…。親は何も言わないけど、すごく申し訳なくて…」
ああ。そうか。
私ったら。なんて浅はかなの。
私も、それで泣いていたんだったわ。
もう一人の少女も涙をポロポロと流した。
「わたしも…いつも悩んでいました」
少女たちの小さな肩には、大きな罪悪感がのっていたんだ。
心を解放したことで、彼女たちのオーラの透明度が増した。とてもクリアな美しさだ。
相変わらず極小さな輝きだけど。
良かった。
もしも彼女たちの能力がそれほど有用なものでなかったとしても、彼女たちが能力者だと分かっただけでも今回の検査はやる意味があった。
「今まで、よく頑張ってこられましたね」
心からの労いの気持ちをこめて、二人の少女の手を取った。
今まで人知れず悩んでいたのね。
今日、初めて心の重荷を降ろせたんだわ。
「あなたたちは、この地の宝です。これから、国の宝となるかもしれない。どうか、あなたたちの力を貸してください」
「は、はい…!」
二人とも涙ぐみながら、強く頷いてくれた。
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さて、二人が能力者ということは間違いないんだけど。
問題は何の能力かってことよね。
「二人は、何か得意なことや、人から変わってると指摘された性質はありますか?」
聞き取りするしかないわよね。
二人は顔を見合わせた後、しばらく考えた。
「これといって特に…。すみません」
「私も…思い浮かばないです。ごめんなさい…」
「そうですか。大丈夫、謝らないでください。ふとした事がきっかけで分かるかも知れません。もし何か気付いたことがあれば、どんなに些細なことでも言ってくださいね」
「はい! 私、早く役に立ちたいです。何か…私の特徴……。あの、私、よく癒されるって言われます。一緒にいたら疲れが取れる気がするって。そんなのじゃヒントになりませんか…?」
「いいえ! ヒントどころか、それが答えだわ」
なんてこと! この人、癒やしの能力者だわ!
「ほ、本当ですか?」
「ええ、ひとまず今日はここまでにしておきましょう。あまりにも色々といっぺんに言われると混乱しちゃうでしょう? ただ、今日から毎日、意識的に誰かを癒してみよう、疲れを取ってあげようと思って過ごしてみてください。例えば、手を握ってあげたり、肩を撫でてあげたり、動作をつけると意識的に力を使いやすいと思います。そして、毎日記録をつけてください。その記録は十日後に役所に提出してください」
「はい、分かりました」
「あ、あの! 私は、ええと、何となく、天気が変わるのが分かります。人にはうまく説明できないので、あまり誰にも言ってないんです。でもほとんど間違ったことはありません」
ちょっと…最高よ。
この人は、気象予測の能力者だ。
災害対応の精度が上がるかも知れないわ…!
即戦力になるかは分からないけど。
とにかく、すぐに鍛練してもらって早くレベルを上げなきゃ。
「あなたも、意識的に予測に取り組んでください。晴れ、曇りだけじゃなく、朝は晴れ、いつから曇り、というふうに、できるだけ詳細に予測してみてください。その記録は、提出じゃなく、そうね、朝一番に予測してくれる? 早朝に職員に聞き取りに行ってもらうわ。予測と実際の天気の正誤を毎日チェックしましょう」
「分かりました! 一生懸命取り組みます」
二人とも、オーラが赤みがかってきた。やる気が漲ってる。
「もちろん、二人とも無償ではありません。記録の提出ごとに賃金が発生します。その他の手当てについては追って連絡します。とにかく、今日はお疲れ様でした。疲れていると思うから、ゆっくり休んでくださいね」
今日の収穫、大きすぎるわね。
初日としては最高の出来よ。




