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17. 上司…?

 ウォールデン家の屋敷は、またしても驚愕に揺れていた。お騒がせの三女・エミリから信じられない報告を受けたのである。現最高責任者のジェーン・ウォールデンは、その報告に間違いはないかを娘に確かめた。


「エミリ、本当なの?」


「ええ、本当です。オーラを見ることで、対象者の能力の有無および魔力の多寡が分かるようになりました。これは、私の能力がレベルアップしていっていることの裏付けでもありますが」


「なんと…!」


 ジェーンとともに報告の場に居合わせた毎度おなじみのメンバー、ハワード、アン、エマは驚きに二の句が告げない。


「ただし、私は決して一か八かで力を使ってみたわけではありません」


 能力がレベルアップするという仮説の正否を確かめるために力を使ってみるという賭けにでたのではないことをエミリは主張した。


「私の能力は、言わば常時オンの状態になっているのです。意識的にオーラを見ないようにしない限り、いつでも能力を使用している状態なのです。基礎消費、随時消費と言ってもいいと思います。おそらくですが、火水風土などの能力を攻撃目的で使用するには莫大な魔力の消費があるため、この場合は逆に使用するときに意図的にオンにし、普段はオフになっているか魔力を使用していたとしても微量なのだろうと思われます。やはり火水風土の使い手は魔力の総量が多いです。ちなみにお母様は中の下、私は下の中程度の魔力量です」


「相変わらず、情報量が多いわね…。今の説明には能力使用における仮説も含まれていたわね。これも驚くべき仮説だし…ちょっと情報処理が追いつかないわ…」


 ジェーンは告げられた内容を自らの内で噛み砕きながら、これからどのように行動すべきなのか瞬時に思い巡らせる。毎度のことながら、エミリの報告には動揺させられる。ついでに告げられた自分の魔力量など気にしている暇もない。


「事態が好転していっているのです、ジェーン様。今我々が事務方に掛け合っている件についてもエミリ様にご協力いただけるではありませんか」


 なぜか慰め口調でハワードが言った。二人の困惑や複雑な心境にはお構いなしにエミリが続ける。


「これまでに見落としている能力者の選別の件ですね。ええ、もちろんお手伝いいたします。識別にはそれほど時間は要りません。一人ずつ判別していくやり方ではなく、横一列に並んでもらって30人くらいを一度に見ましょう。30人のオーラ鑑定で五秒くだされば十分です。少なくとも一刻は見続けることができますので、単純計算だと二刻で二万人はチェックできますが、入れ替えや手続きなどの時間を考えると七割程度の一万四千人でしょうね」


「…エミリには、打ち合わせ段階からかんでもらった方が効率的ね…」


 ジェーンは今対面しているのが娘だとは思えない気がしてきた。ついこの前、エミリについての認識を改めて、少女ではなく年頃の女性を相手にするつもりで話をしてきたが、ここにきてさらに認識を改めた。この子は上司だ。上司なのだ。

 今やウォールデン家の最高権力者は5歳の少女に取って代わられ始めていた。


「その打ち合わせのことですが、事務職員の方とはどこまで話が詰められていますか? そもそも火水風土以外の能力、つまり特殊能力の存在については理解してもらえているのでしょうか?」


「そこが実は難しくて…」


「だったら、能力者のあぶり出しよりも、能力がレベルアップするという説の立証から始めた方が良いですね。こちらは数字で示せるし、何よりデータを分析するところを職員自身にやってもらうのですから、信じるざるを得ないですもの。一度常識を破ることができれば、もう一つの特集能力の話も通しやすいわ。お母様、僭越ながら私に職員説得のための演説をサポートさせてくれませんか?」


「え、演説?」


「はい。現在は全員と対面せずに、統括者に対してトップダウン式で指示を出している状態ではありませんか? これで膠着しているのなら、次なる一手として、職員を一堂に集めて、お母様ご自身が演説をなさるのです。必ず全員を頷かせられるようにサポートしますわ!」


 最早この場にはエミリに否と言える者はいなかった。自分たちの置かれた状況を言い当てられて目を白黒させている間に、あれよあれよと話が思わぬ方向に進んでいくのだ。まさに怒涛に翻弄されている心境である。

 そこから休憩を挟んで二時間いっぱい、エミリによる「説得力のある演説講座」および実演が始まった。第一印象で勝負の九割が決するという注意に始まり、一文は短くやら、効果的な抑揚の付け方、目線の使い方、間の取り方などが細かく指導された。講義後には、ジェーン・ウォールデンは立派なカリスマ領主と化した。


「素晴らしいです、お母様! たった二刻でモノにされるなんて。長年この土地を治めてこられた実績がおありだからこそですね!」


 本当は発声練習から始めて二、三日かけて取り組むつもりだったの、と無邪気に告げられ、膝からくずおれそうになったジェーンであった。我が子のスパルタっぷりにジェーンの美しい顔がモアイ像の如く固まった。

ずーーっと領地経営してます。

しばらくこのペースです。。

お付き合いくださりありがとうございます。

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