強敵との戦闘でも我が道を進む
ゴブリン、ウルフ、時にはスライムを倒しながら道を進んでいくと、暗い森の入り口にたどり着いた。いくつかレベルアップしたけど、まだレベル上げ足りないから行くしかないでしょ!
≪東の森≫
森、っていっても木漏れ日で神秘的な森とは正反対で、日の光はほとんど入ってない。そのせいで、視界もそれなりに狭くなっているから戦闘も注意しなきゃ。
しばらく慎重に歩いていると、木の陰から骸骨が出てきた。左手に長剣、右手に槍を構える。
森に着くまでの戦闘で、左手でパリィをしてからとどめの一撃をいれるまでの、タイムラグが気になったから試しに右手に武器を持ってみた。その後何回か戦闘を重ねて、槍が一番使い勝手が良かった。
骸骨は手の棍棒で殴り掛かってくる。光の合図で武器パリィを狙う、が、
「重ッ!」
剣と棍棒を合わせた瞬間、あまりの力の強さに驚愕した。骨の体のどこにそんな力があるんだ。槍を長剣に十字に重ね合わせ全力で押し切る。するとパリィしたのと同じ結果が生じ、骸骨は倒れこんだ。とどめと思って長剣を振るうが、なかなか死なない。しょうがないから不格好に槍も同時に振るう。骸骨が立ち上がる前になんとかとどめをさせた。
さっきまでの敵よりも格段に強くなってる。ちょっと休憩したい。
『ブモゥ』
「え?」
声がした方を振り向くと大きな牙を持った猪が待ち構えていた。
「嘘、連戦?」
猪は獲物を見つけたと言うように前足で地面を地面をかく。1回、2回、3回、牙先で光りが走る。そして猪が突っ込んでくる。辛うじて突進をよけて、再び猪を見ると、既に突進のモーションに入っていた。
ていうかさっきの光のタイミングってあの突進へ突っ込んでけって事!?2度目の突進を避ける。
「や、やってやろうじゃない。」
再び突進の構えをとる猪に対して私は長剣を構える。3度目の突進に正面から牙に剣をたたきつける。
剣を合わせたと思う間もなく、私は宙へ弾き飛ばされていた。そして地面に強く叩きつけられる。VRだからそこまで強い痛みではないものの痛いものは痛い。
立ち上がる前に4度目の突進をモロにくらう。なんとか立ち上がり、今の状況を確認する。
猪はまた突進攻撃。私の武器は………あいつの足元。避けて回収するしかないかな。幸いなことに単調な突進だ。
4回見た動きをしっかりと避けて武器を回収。
大丈夫。冷静だ。改めて考えれば、あんな車みたいに突っ込んでくるのに斬りかかったら、そりゃ吹っ飛ばされるよ。ここまでうまくいきすぎてて調子に乗ってたかな。反省反省。
これからの立ち回りを考えると、1、いや2通りかな。突進を避けてすぐ斬る、それかパリィ。
突進のあとあまり隙がないから、できるならパリィをしたい。だけど普通にパリィしたんじゃ歯が立たない。ならどうするか。
猪の攻撃を何度も避けつつ少しずつ対策を考える。
いろいろ考えたけど、この予想があってるといいな。もう何度目かわからない猪の突進モーションを確認してすぐ、ありったけ距離をとる。そして猪が動き始める前に全速力で走り出す。
速度が乗って威力が倍増しているだろう剣を、動き出した猪に思い切りぶつける。
結果は真逆。猪が弾き飛ばされ、木にたたきつけられる。その衝撃で猪は気絶したのか動かなくなった。
左手の長剣は半ばから折れて先がなくなっていた。槍できっちりとどめをさして一息。
≪レベルが上がりました。≫
≪アビリティポイントを10ポイント入手しました。≫
≪スキルポイントを10ポイント入手しました。≫
≪実績はじめての危機を入手しました。≫
「疲れた~」
今までで一番疲れたし、頭も使った。予想が当たっててよかった。いろいろ思いが湧き出てくる。
「とりあえず、どこか休みところが……あ。」
どうやら猪と戦闘しながらだいぶ移動したみたいで、森の深くにいた。そして、鬱蒼とした森には不自然な広い空間が目の前にあった。
「ここで休憩しよ。それに色々と確認してみよう。」
次回は、現在のステータスと、実績の確認、その他諸々です。