NPCイベントでも我が道を進む3
クリアさんに別の部屋に連れていかれ、部屋の中央にある椅子に座らせられる。部屋には何やらよくわからない物、変な刺繍の入った布、天秤、杖などが壁に備え付けられた棚に綺麗におかれている。クリアさんはその中から大きめの板を持ってきて、私の目の前にある円形の机の上に置いた。
置かれた板を見ると、正六角形をしていて、読めない文字や記号、図形がいくつも書かれている。
向かいの椅子に座ったクリアさんは、
「この板は魔法盤といって、属性を識別することが出来るのよ。さっきの話の続きだけれど、魔法の属性について説明するわね。この世界では魔法の属性は全部で6もしくは7つといわれているわ。属性は、火、水、雷、土、光、闇、そして星と言われているわ。けれどこの星は属性として認知されてはいるけど、星魔法を実際に見た人はいないとされているの。だから属性は基本的には6つ、ということになるかしら。」
「わかりました。だけど、属性を識別するんですか?」
「そうよ。適性のある属性だけ使うことできるの。適性が全くなければ、例え死ぬほど努力しても、文字通りの意味でよ?使えるようにはならないわ。逆に少しであれば使うことはできる、実用性は別としてね。そして属性を識別するのにこれを使いましょう、ってことよ。」
「(死んだ人がいるってことかぁ)わかりました。」
「この盤を見て。中心にあるこの図形が星を表しているの。そして相反する属性が星を挟むように描かれているわ。光と闇、火と水、雷と土がそれぞれ相反しているわ。相反した属性は、魔法を打ち消すのに使われるの。逆にある属性の両隣にある属性は親和性が高く、より強力になるわ。さて、属性に関してはこれで全部だけど何か聞きたいことはある?唯ちゃん。」
「えっと……さっき星魔法は『見た人はいないとされている』って言ってましたよね。実際はいるんですか?」
「あらあら。結構鋭いわね。そうね、質問の答えはイエスよ。星魔法の使い手はいるわ、というか私よ。」
「!。クリアさんが、ですか?」
「そ。昔私と友人たちで検証してね、一応みんな使えたから星魔法は実在するわ。」
「それってどんな魔法だったんですか?」
「説明してあげてもいいんだけど、まずは魔法というものをわかっていた方がすんなり理解できると思うから先に適性を調べちゃいましょ。さ、盤の中心に血を落として。」
そう言ってナイフを差し出してくる。これで指を切れということだろう。でも、血?血なんて出たっけ。戦闘を何回もしたけど血が出た覚えはない。試しに渡されたナイフで人差し指を切ってみるがやはり血は出ない。
「え?血が出ない。う~ん………。どうしましょう。うーん。……。」
考え込んでしまった。まぁ普通に考えて血が出ないなんておかしいもんね。クリアさんは暫く唸って考えていると、私の姿をじっと見て何か思いついたようで、
「そうよ。人間じゃないなら問題ないじゃない。唯ちゃん、尻尾の毛を一本頂戴。それで大丈夫なはずよ。」
尻尾の毛を抜いてクリアさんに渡すと盤の中心に置いた。その途端毛が吸い込まれ中心が白く光りだした。次第に盤の中心の光が強まっていき、ある程度まで達すると今度は六角形の頂点の方向へ伸びていく。光が頂点まで達すると色づき、一際強く輝き始めた。
クリアさんが盤の様子の変化が止まったのを確認すると、紙を一枚持ってきて書き写していく。
書き終わると盤に手をかざし二、三度振るだけで光は消えてしまった。そして紙を私に見せながら説明を始める。紙には大きな丸が二つと小さな丸が二つ書かれている。
「唯ちゃんはね、火と雷が割と高い適性を持ってるわね。低くはないけど頭抜けて高いわけでもないわ。そして水と土には全く適性がないわ、ついでに光と闇もね。……さて、これで唯ちゃんの適性がわかったから実際に魔法を使ってみましょ。確か術式魔法を使いたいのよね?こっちにいらっしゃい。」
そういって席を立つと棚からいくつか物をとって部屋を出ていった。