表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

それぞれのコイバナ

ワイワイと賑やかな声が聞こえる。

今日は弦楽部の友達で集まって、みんなで一晩泊まりで遊ぶ、というとても楽しみにしていた日だ。

…日だった、はずなのだが。


「「それで!みうは〜?」」


「えっ?っうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


================


こんな事態になったのは、さかのぼること1時間前。


「コイバナはやっぱりお泊りの定番だよねっ!」


「「だっよねだよね〜!」」


怪しい笑顔をしたみんながこちらを振り返る。

満面の笑みを崩さないまま膝立ちで歩み寄ってきて、強制的に布団の上に座らされた。


「もう10時だし、電気消しちゃうよーっ!」


いつもはみんなと比べると少しおとなしい子も、今日は人一倍テンションが高かったりする。

お泊まり会はそういうものだ。


「じゃぁ…まぁ、まずはお楽しみはあとに、時計まわりで順番に聞いてこー!」


「私!?…わかったよぅ…」


「あー、次かー!」


「「はい!なるみ、話してー!」」


みんなの言葉でこの部屋。この空間に華が咲く。


「じゃぁ…私ね。

私は、うーん。まずはタイプかな…?

お人好しで、優しくてちょっとMな人。」


「で、好きなのは?」


「………………………え、これ言わなきゃ駄…」


「「駄目だよ!」」


「………なつめくんだよっ!!」


「「「「おぉー」」」


「じゃあ次いっちゃおー!」


================


この1時間を経て、今に至る。


何段にも積まれた枕の上に座らされ、マイクに見立てられたテレビのリモコンを突きつけられ、5人の友達から好奇の視線を向けられている。


「っえ、いや私ないからそーゆーの!ね?ほらみんなのきこうよ!」


「いやぁ…その焦りようってぇ…ほんとぉぅにぃ?」


「ちょいお前声いやらし〜!」


ひとまず話は逸れたようなので、さりげなくトイレを借りようとする。


「あ!逃げちゃダメだよ主役さん!」


「そうだよ今日はその話を聞くためにー!」


……駄目だった。そりゃそうか。


最近壊れかけている自分の心の声がもう嫌になる。

そんな時、特徴的な着信音が鳴り出した。


「…あ、私の…」


「おおっ?」


今日はなんてタイミングが悪いのだろう。こんな時になった携帯の画面に表示された名前は「あつき」


ーーー着信拒否をしてやりたいが、電話に出ないのはもっと嫌。


「ほらでて!」


あやが言ったのとほぼ同時に、私は電話をとっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ