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こんなはずじゃなくて。

帰りの長い、長い電車の中、まばらに制服姿の高校生は見かけても、同じ中学の生徒はいないようで。

ほぼ貸し切りのような車両なら、普通音量でも喋れるかと思って上がりの上がったテンションで先輩に話しかける。


「ねーねー先輩~」


今の私のテンションが最高潮なのは、たまたま拾ったポスターに私の大好きな「ミセス・ドーナツ」の新店舗開店についてのドーナツ無料のチケットが付いていたからという単純な理由だった。

そこに、先輩と一緒に行こう、と誘おうと思ったのだが…


「なっ…なんだ?」


ピコピコとフードが動く。ハッと我にかえった先輩は平然を装おうとしているが、あきらかに声に動揺が滲んでいる。


「あ、その反応。もしかしてなんか考え事してました?…恋の悩みとか!」


「?!」


「恋愛相談とか、めっちゃのりますよー?私、そういう系のはなし、めっちゃ好きなんでぇ~…」


周りには特に人はいないので思う存分頬を緩ませる。にやにやと先輩を見つめているとどんどん先輩の顔がりんごになっていって…


「い、いや、そんなのいいから!」


恥ずかしさでちょっとキレかけたようなので、日課の「恋する先輩つつき」も一時中断して、話をミセス・ドーナツに戻す。


「むぅ。そーですかそーですか、それでですね、さっき言いかけてたミセス・ドーナ…」


「……やっぱり相談していいか?」


こんな時になんとも間の悪い先輩だ。これじゃあミセス・ドーナツにたどり着つけるかも危うくなってくる。


「…っちょ…いまですかっ…まぁ、でも聞きますよ!めっちゃ聞いちゃいますよ?」


「お、おぅ…」


何やら神妙な顔つきになって、我らが愛すべく先輩は話し始めた。


「あ、あのなぁ…

今度何人か友達を誘って、都会に遊びに行くんだよ!

…うぅ、それでさ、私も参加するんだが…さらに… あいつも来るんだよ…

ほらこの前会っただろ?うん、見て優しいと思わなかったか…?

というかそれはどうでも良くて!問題は周りの目と、そう、冷やかしのやつな。

他にも何人か人はいるんだがな。あ、それはあたりまえか。

それでだな!明日みんなの連絡先を交換することになって、つまり…あぁもう自分で言うのは嫌だ察してくれ…。

……………あと私服なんだよ………うん…」


「先輩話長いです。一回止めてください。」


「あ、ごめん」


照れ隠しからか一気にしゃべった先輩は心底恥ずかしそうに下を向いた。

もう、1つ年上とは思えないくらいかわいい。本当にかわいい。駄目だ私。


「で、一緒に出掛けて、ザ・青春。と。

ーーーーーーどこが悪いんですかぁぁっ!!」


私服デート。

都会で。

連絡先の交換も。


「え、待ってちょっとおまえ理解力…」


「どうせ進展の遅い純真焦れ焦れカップルだ、と信じてたのに、そんなん私の出る幕無いじゃないですか!もう、心から見損ないましたよ!」


一方的な羨みで。冗談で言ったはずなのに。



ーーーーこんなタイミングで、私の降りる駅につくなんて。


微妙な空気と先輩のあんな顔に見送られて、電車をおりたくはなかったのに。

二人はちょっと喧嘩?のような状態になりました。

次回は恋より友情を書こうと思います。投稿遅れすみませんでした。

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