私はピーちゃん
ピーちゃんはとっても早起き。
朝6時になると自分の巣箱から飛び出して、寝ている彼の頭にのっかります。
そうして彼をおこすため、歌をうたうのです。
でも、彼はなかなかおきてくれません。
なので、ときどきプリっとしちゃうこともあります。ごめんね?
やっとおきた彼とおはようのチュウをして、肩にとまって毛づくろい。
そして一緒に朝ごはん。今日は大好物のバナナです。うれしいな。
でも彼は、そのあと決まってお外にいってしまいます。
ピーちゃんはさびしくなって泣いてしまいます。
でもピーちゃんは強い子。巣箱に戻って今日は彼がどんな食べ物を持って帰るか
考えます。
りんごかな?みかんかな?小松菜もおいしい!レタスも大好き!
ごはんを食べたら、一緒にお風呂にはいって、くびをカキカキしてもらおう。
ピーちゃんは、ウキウキと彼がはやく帰ってこないかなぁと思うのでした。
でも、いつもの時間に彼は帰ってきませんでした。
こんなことははじめてです。ピーちゃんの心は不安でいっぱいです。
巣箱のなかで、おろおろ歩きまわるばかり。さびしいよぅ。
暗い部屋の中、ピーちゃんのかぼそい鳴き声は朝までなきやむことはありません
でした。
ピーちゃんはとっても早起き。
朝6時になると自分の巣箱から飛び出して彼のもとへとむかいます。
でも、彼はいません。ピーちゃんはバタバタと探しまわりました。
どこ?どこ?どこにいるの?
どこにも彼はいませんでした。つかれたピーちゃんは巣箱にかえり、体を丸めて
心ぼそさになくしかありませんでした。
ガチャリ。玄関の扉が開く音がしました。
帰ってきた!いつのまにか寝てしまっていたピーちゃんは飛び起きて、急いで玄
関までお出迎え。
でも、立っていたのはおばあさんだけでした。ピーちゃんはとてもびっくり。
そのおばあさんはピーちゃんを見るとそっと両手を差し出しました。
ピーちゃんは少し迷ってから、その手のひらにおりたちます。
おばあさんの手の中はとっても温かく、彼のような心地よさをあたえてくれま
した。
おばあさんはピーちゃんの背中をやさしくそっと撫でつづけるのでした。
ピーちゃんはとっても早起き。
朝6時になるといつものように飛び出して彼のもとへとむかいます。
彼はピーちゃんと同じぐらいの大きさになってしまいました。
顔の裏にまわっても厚みがありません。ピーちゃんは首をかしげて表にもどり彼
を想います。
平たく小さくなってしまった彼は、温かくもありません。話しかけてもくれませ
ん。おいしい食べ物をくれることもありません。カキカキもしてくれません。
ですがいつもピーちゃんに笑いかけてくれます。
ピーちゃんはそんな彼の上にちょこんと飛びのると、いつものように歌います。
その歌は夏の青い空高く、何処までも何処までも響き渡るのでした。
遠い空の向こう。遥か彼方の彼の元にも届くくらいに。
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