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悪戦苦闘

 トラップによりダンジョンのどこかに転移をさせられた俺は目を開けると真っ暗闇の中にいた。ここがどこなのかと考えていたら、謎の衝撃が身体を走り壁に激突した。



 かつて経験したことのない痛みが全身を襲う。あまりの痛さに涙が滲み、先程の衝撃で苦しみを覚え胃の中を撒き散らす。



「ゔっおゔぇっうぼええっ……ハァ……ハァ……」



 何が起きた?


 なんで俺は吐いたんだよ……


 考えることねえか。


 攻撃されたんじゃねえか……


 それで派手に吹っ飛んだのかよ。


 それより体が痛い。痛すぎる。


 なんだよこれ!!


 聞いてねえよ!!


 転移されたと同時に不意打ちとか反則だろ!


 しかも、かなり強力な魔物だ。



 俺のスキル《武神》は物理的ダメージは八割減少なのにこれだけのダメージを与えるって事は相当レベルが離れてるに違いない。幸いなことにスキルのおかげで骨は折れてないみたいだ。確証はないけど。



「きゃああああああああああ!!!」



 うるせえな?


 ん?


 誰だ??




「沙羅!!!」



 この声は!


 桐谷大輝か!!



 そういえば桐谷も転移に巻き込まれていたなと思い出す。先程の悲鳴は桐谷が呼んだことで分かったが清水だったんだろう。



「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」



 なんだよ、この馬鹿でかい鳴き声は!


 俺を吹き飛ばした魔物か!!??


 くそっ!


 まだ、強制転移の時の光のせいで目が慣れない!!



「だ、大くん!!」


「沙羅!無事か!?」


「う、うん!」



 イチャついてる場合じゃねえだろ!



「二人とも安心するのはまだ早いぞ!」


「そうですよ!! 大輝さんと沙羅さん! 気を付けて下さい!! 魔物がいるんですから!」



 おお!珍しくこいつらと意見が合致した!


 ナイスだ!


 会長に、御嬢様!



「大輝! あの魔物の解析を頼む!! 沙羅は私の援護に!! 留美は大輝の解析が終わるまで防御してくれ!」



 流石ですわ。的確な指示です。


 いやーやっぱり会長してるだけあって指揮とるの上手いなぁ!



「山本!! お前も一緒に戦え!!」


「はっはい!」



 あれ?


 俺にはもう命令形ですか??


 てか、まだ体痛いんですけど…


 せめて清水沙羅のスキルで回復して欲しいんだけど??



 何故か俺に対しては雑な指示だが、戦う事に異議はない。むしろ、戦わなくてはたちまち殺されてしまうだろうから。



「ゴアアアアアアアアア!!」



 やっべ!向こうも暴れてるわ!



「何をしている! 山本! 早くこっちに来て戦えええ!!」



 痛みが残っている身体を動かしながら助けに向かう。



 会長そんなに怒鳴らなくても戦いますよ。


 てか、弓矢を放ちながら怒鳴られると怖いんですけども。



「ガアアアアア!!」



 うおっ!


 びっくりした。


 会長の矢が結構ダメージ入れてるみたいだな。



「くっ! これだけ矢を射てもビクともしないか…!」


「楓ちゃん!! 今、魔力を回復するからね!」


「助かる!」



 清水沙羅のスキルは他人の魔力や体力なんかを回復させる。しかも傷や骨折などの治療も可能である。出来れば俺にもスキルを使ってもらいたいけど、多分無理だろう。



「みんな!!!奴の正体がわかったぞ!!」


 今更かよ!!


 てか、遅えよ!


 解析くらいもっと早くしろよ!!



「あいつは人造魔獣ウル・キマイラだ!」



 えっ!?


 それだけ!!


 あんだけ時間かけてそれだけ??


 馬鹿にしてんのかてめえは!!



「弱点とかはないのか?」


「すまない、そこまでは、わからなかった……」


「大輝さん! ステータスの方は??」


「あ、ああステータスなんだけど……正直俺達じゃ倒せない。」


「えっ! で、でも私達のレベルは20だよ!! それにステータス値も1500はいってるよ」


「……みんな落ち着いて聞いて欲しい。奴のステータス値はオール75000だ。体力なんかは12万だ……」


「えっ……」


「そ、そんな……」


「馬鹿な……じゃあ私達では……」


「勝てない。」



 四人があまりの戦力差に絶望している時、俺はたった一人でウル・キマイラを相手に大健闘していた。



 お前らいい加減にしろよ!!


 って!


 うおおおおおおおお!!!


 でりゃああああああ!!



「ガアアアアアアアアア!!!」



 ウル・キマイラの角や爪を支給品の剣で必死に防ぎつつ攻撃していく。どれだけ斬りつけても一切傷が付かない。しかも、向こうの攻撃は一発喰らうだけで致命傷になり得る。



 くっそ!!


 てめえらはいつまで三文芝居続けるんだよ!!


 会長に言われて戦ってるけど!


 これ!


 ピンチじゃねえ!?


 づあああああああ!!



 必死に四人の分まで戦い、頑張っているのに誰も褒めてはくれない。怒りと悲しみに狂いながらも渾身の一撃を繰り出す。



「ゴアアアアア!」



 おお!ようやく斬れた!!


 お前らを守ってるのは俺だからな!!



 恩を着せるかのような物言いだが、実際に四人が何もしない間、一人で戦い守っていたのだから命の恩人といっても過言ではない。



 くそったれええええ!!


 てか!!


 福田君はあああ!?



 戦いながらも、俺たち同様にトラップで転移をさせられた福田君を心配した。

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